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 ユニーが「アピタ」や「ピアゴ」などのネーミングで展開しているGMSのうち東海地区以外の店舗の閉鎖を検討しているそうだ。GMS?はイオンリテールもイトーヨーカドーも長年に渡って苦戦が続いているが、ローカル地盤の「アピタ」や「イズミ」はまだ健闘して来たという印象(現実の既存店売上前年比は大差ない)があった。 
 ナショナルなGMSよりローカルなGMSの方が健闘しているのは、1)食品や日用雑貨など足下狙いの‘最寄り品’比率が高く、2)食料品中心に地産地消なローカル対応がきめ細かく、3)ファッション衣料など広域を狙う‘買い回り品’比率が低い、ゆえに足下占拠率も販売効率も消化回転も相対的に高いと推察される。逆に言えば、ナショナルなGMSは分不相応に広域を狙ったファッション衣料などの比率が高く、効率の低い大型の売場を抱えて採算性が極めて低い。
 ユニーは「アピタ」、イズミは「ゆめタウン」のネーミングでGMS核の商業施設を布陣しているが、徳島や高松など大型の「ゆめタウン」を除けば何れも足下型のCSCで、衣料・服飾などの自前売場はコンパクトに抑えてテナント専門店のバラエティを重視している。それに較べれば「イオンモール」のイオンスタイルストアは衣料・服飾などの自前売場が未だ巨大でテナント専門店のバラエティを損なっているし、「アリオ」のイトーヨーカドーは一部自前ユニットを専門店化してモールに組み込んでいるとは言え衣料・服飾売場はまだ健在で、グループの大型専門店を合わせればテナント専門店のバラエティが成り立たないほど大面積を占めている。
 ユニーやイズミに較べてイオンリテールやイトーヨーカドーの衣料・服飾売場が未だ大きいのは「自ら開発・調達するコンテンツ」に固執しているからで、ユニーやイズミは「足下型CSC」という流通プラットフォームの魅力を第一義に重視し自前調達のコンテンツにはさほど拘っていないという違いがあるのではなかろか。だとすれば、規模こそナショナルなGMSが勝っていても生存戦略ではローカルGMSの方が勝っている、という事になる。
 前世紀にカタログ通販で成功した大手通販企業が最先端のフルフィル体制を確立しながらECへの対応が遅れ、後発のECベンチャーにマーケットを奪われて業績が悪化したが、その主要因は自前のコンテンツに拘って必勝のフルフィル体制を活かせなかったというオープン・プラットフォーム戦略の欠如に在ったと総括される。ファッションECモールの覇者「スタートトゥデイ」にしても、自前コンテンツへの拘りを捨ててZOZOTOWNというオープン・プラットフォームビジネスに転じた事が驚異の成功をもたらした。
 ECと店舗がオムニチャネルに交錯して顧客利便と運営効率が競われる今日、自前コンテンツに固執してはプラットフォーム間競争から脱落してしまう。GMSの改革もそんな角度から見れば容易に答えが見えて来るのではないか。私は、GMSの生き残り策は近隣商圏のオムニチャネル利便にローカル対応するコーペラティブ(地域共生)型流通プラットフォームだと考えている。
※「GMS」ってギョーカイ用語も結構、怪しくて、発祥地の米国では19世紀のカタログ総合通販から店舗小売業に転じたシアーズやワードなど『自社開発商品による非食品総合小売業』と定義されるはずのものが、日本では『食品スーパーを核に衣や住まで問屋依存で品揃えを拡張した日用品総合小売業』に化けて久しいが、試行錯誤ばかりで一向に進化しないのは日米共通している。そんなGMSの歴史の中、欧米では70年代に‘カタログショールームストア’の大ブームが在った事を改革のヒントにして欲しい。いまなら『注文・受け取り・返品・支払い・設置設定・宅配ご用聞きラスト・ワンマイル利便のオムニチャネル・オープンプラットフォーム総合拠点』と定義されるのだろう。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/05/26 09:09  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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