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商業施設の遊園地化は行き詰まる
 毎年4月のSPAC研究会で行っている『近年開業商業施設の直近評価』アンケートの結果がまとまったが、それは戦慄するほど悲惨なものだった。13年以降開業の主要39施設のうち過半の20施設が散々な失敗で、当落線上の施設まで含めても成功と言える施設は10〜12に留まるから、出店の打率は二割五分から三割というところだ。これでは店を出すほど採算が悪化してしまう。『どうして売れない店を増やすの?』と問いかけたくもなる。
 評価最下位にアリオの市原と上尾が並ぶのはともかく(来年の不振リストにセブンパークアリオ柏が並ぶのもほぼ確実だが)、イオンモールの施設が幾つも不振リストに並ぶのは数年前には在り得なかった事だし、昨年までは‘空振り無し’と言われて来た三井不動産の施設まで不振リストに挙げられるに及び、店舗販売とりわけ郊外SCの落日を痛感させられる。
 イオンモールの評価が落ちたのは問題の多い仕込み物件を無理に開発するケースに加え、販売効率の低い親会社核店舗が大きな面積を占めてテナントのバラエティが限られるためで、そんな負担のないららぽーととの競合案件が増えるに連れ弱点が目立って来た。その三井不動産とてエンターテイメント性を強めた直近の立川立飛やエキスポシティでは衣料テナントの苦戦が伝えられるし、エンターテイメントとライフスタイルで先行したイオンモール幕張新都心はアリオの2施設に次ぐワースト3に挙げられテナントの撤退が相次いでいる。
 店舗系やEC系からSNS系まで様々な流通プラットフォームがオムニチャネルな顧客利便を競う中、商業施設は難解な編集業態や何処が違うのという派生業態を並べたりエンターテイメントやライフスタイルを訴求しているが、果たしてそれは顧客が求めているものなのだろうか。実所得が目減り生活に追われる大部分の消費者にとって必要なのは、より労働負担が少なく利便性の高いシンプルな提供方法であって、時間を浪費する宝探しやエンターテイメントの夢物語ではないと思う。
 このまま商業施設が時間と購買労働を浪費する‘遊園地’と化して消費者から乖離して行けば、オムニチャネル時代に取り残されて巨大な‘遺跡’となるのも時間の問題かも知れない。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/04/21 09:03  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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