« 前へ | Main | 次へ »
‘爆買い’の光と影
 3月末に銀座東急プラザの「ロッテ免税店」が開店したのを契機に「販売革新」に依頼され、先行して開業した三越銀座店の「JAPAN DutyFree GINZA」(JDF)と比較したりインバウンド消費の今後を予測したりのレポートを執筆したが、中国の経済政策と国外消費の今後、訪韓中国人の急増で急成長した後、一転して急減に苦しむ韓国免税店業界の実情を知れば、『やっぱ‘棚ぼた’なんだ』と達観せざるを得なくなる。
 まずは銀座に出揃ったロッテとJDFの比較だが、どちらも出国時に受け取る事を条件に消費税も関税も酒税もタバコ税も免除する「空港型免税店」である事は変わりない。35年もやっているロッテと始めたばかりのJDFでは旅行代理店とのネットワークや物流のスキルに差がある事は否めないが、品揃えや狙う客層、店舗環境や運営もまったく異なる。ばっくり言えば、ロッテは中国人目線で中流の団体旅行客を狙う大衆型、JDFは日本人目線で富裕層の個人旅行客を狙う高級型と位置付けられる。実際に店内を一周すれば、この違いは容易に納得してもらえるだろう。
 ロッテが逸早く日本に進出した背景は韓国免税店市場の失速と主力店の閉店だと知れば、我が国の過熱する免税店ビジネスが如何に危ういものか想像がつく。韓国内7店海外4店(関西空港店を含む)で6430億円を売り上げて免税店世界第3位に位置し、韓国ロッテグループの実質持ち株会社たるロッテホテルの営業利益の大半を占めると言われるロッテ免税店。14年度は2190億円も売り上げた小公本店(ソウル市内明洞)に次ぐワールドタワー店(15年売上590億円)の運営特許権更新が出来ず15年末で期限が切れた(現在は最大6ヶ月の延長営業中)事に加え、10年以降、毎年20%前後の成長を続けて来た韓国免税店市場が為替の変化などで主力の中国人が日本に流れ縮小に転じた事が日本進出の背景とされる。
 日本でも‘爆買い’のピークは過ぎ、訪日中国人も団体客から個人客へと移って買い物より観光へと興味がシフトし、中国政府も4月8日から越境ECへの課税方式を一新するなど海外消費の国内回帰を図っており、‘爆買い’が遠からず細る事は間違いない。韓国の轍を踏まぬよう冷静に対応すべきだ。





◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/04/20 09:20  この記事のURL  /  コメント(0)

コメントする
名前:
Email:
URL:
クッキーに保存
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク


コメント


« 前へ | Main | 次へ »


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ