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‘商物一体’の理不尽を解消する
 このブログや業界紙誌で幾度も‘商物一体’店舗運営の理不尽を解決するショールームストアを提じて来たにもかかわらず、ギョーカイの反応はいまひとつで拒否反応の方が強かったが、オムニチャネル販売の拡大やIT技術の進化で情況は一変しつつある。そんな事例が今朝の日経MJに取り上げられていた。それは銀座・伊東屋が今日から始めるスマホ・アプリを使った‘商物分離’の店内決済システムだ。
 顧客が「メルシーアプリ」と名付けた専用アプリをスマホで起動し陳列棚のQRコードを読み取ると、素材や色などのラインナップと在庫の有無が表示され、「カートに入れる」のボタンをタップすると店内のバックヤードに在る在庫が確保され、商品をピッキングして店内を持ち歩く必要がなくなる。あらかじめ登録したクレジットカードで支払えばレジに並ぶ事なく精算が済み、2〜10分後にお渡しカウンターで受け取っても良いし自宅に配送してもらっても良い。年内を目処に全店に拡げ、自社他店舗での受け取りや取り寄せも出来るようにするそうだ。
 これはかつて私が「フライングタイガー」の行列を批判して、その解消に提案したシステムそのものだ。文房具や生活雑貨はもちろんドラッグストアや食品スーパーなどでも多数のアイテムを棚積みして販売すれば、顧客は自らピッキングしてレジに並ばねばならないし、店は売れた分だけ棚に補充しなければならない。低単価で販売効率が高ければ顧客のピッキング作業とスタッフの棚入れ作業が交錯し、多数のアイテムを逐一スキャンするレジでの糞詰まりと重なってギョーレツが出来る。これでは多数のレジ要員や品出し要員など運営人件費の負担が大きく、ギョーレツ待ちを嫌気して遠のく顧客も少なからず、ギョーレツ人気ほどには儲からない。
 混雑と運営人件費負担は1)棚に補給する頻度を極小化するかサンプルのみの陳列にする、2)レジでの逐一スキャンと決済を不要にする、の二点で解消できる。これにDCから顧客への直送比率拡大を加えれば、店への物流も店でのピッキング作業も圧縮出来る。すべて顧客直送のショールームストアに徹すれば、これらをほぼゼロに出来るから、物流費や人件費に加えて家賃も大きく圧縮出来る。
 顧客利便と運営効率(経費率と在庫効率)をオムニチャネルなプラットフォームと競えば店舗は大なり小なりショールーム化して行かざるを得ないし、在庫確認や選択・注文といった単純作業はロボットに任せる方が正確だ。米マクドナルドのロボット導入は自動券売機みたいで笑えるが、ポテトを揚げたりなど危険で不衛生なキッチンワークも遠からずロボット化されていくだろう。
 少子高齢化とIT化が進む中、物販でも飲食サービスでも人しか出来ない事と機械でも出来る事の仕分けが、もっと厳密に問われるのは間違いない。顧客に強いる労働の分担も含めて、流通システムは抜本から変革が問われている。
※‘商物分離’の多店舗運営については『チェーンストア経営革新ゼミ』で具体的に詳説したい。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/04/18 11:12  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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