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三越銀座店に空港型免税店が開業
 1月27日、三越銀座店8Fに待望の空港型免税店が開業した。諸般の事情で開業が遅れたが、計画時点から訪日観光客が急増した事で初年度売上見込みも150億円と50億円積み上げられた。
 空港型免税店は消費税のみが免税される市内免税店とは違って関税、酒税、たばこ税も免税されるからメリットは格段に大きく、空港型免税店が出来ると周辺の市内免税店から顧客を奪ってしまう。三越銀座店も非公式ながら、空港型免税店の導入による売上増と裏腹に既存売場の免税売上は50億円以上減るのではと懸念している。3月31日に開業する東急プラザ銀座の8〜9Fに4420平米という三越の空港型免税店(3300平米)を上回る規模で進出するロッテ免税店は初年度2000億ウォン(200億円)を計画しているから、インバウンド特需に潤って来た銀座地区百貨店の打撃は小さくないと推察される。関税免税と言っても品目によって課税率に差があり、時計は市中免税店と差がないが化粧品や皮革製品、宝飾品では価格差が大きく、それらの品目は空港型免税店に流れる事になる。
 となれば空港型免税店の目玉は化粧品に加えて皮革製品や宝飾品の‘ラグジュアリーブランド’という事になるが、三越銀座店の8Fに並んだ9つのブランドブティックのうち「グッチ」「サンローラン」「ボッテガ・ヴェネタ」「バレンシアガ」「ブシュロン」と5つまでがケリング傘下のブランドというラインナップを見てしまうと、東京プラザ銀座のロッテ免税店にはLVMH傘下のブランドブティックが並ぶのかと勘ぐりたくなる。「シャネル」「エルメス」(旗艦店が近接し過ぎてあり得ないが)の去就を含めて注目される。
 空港型免税店での購入商品は出国時に空港で受け取るから‘究極のショールームストア’という点でも注目されるが、サンプルやタブレット(煙草と酒のみ)を見て購入しDCに用意された別の同一品を空港で受け取る仕組みは工業製品たる煙草と酒だけで(時計や化粧品も可能だと思うが)、個々の絶対単品に微細な差が出る衣料品や服飾品、宝飾品はすべて、店頭で顧客が選んだ‘個体’を顧客の面前で包装して空港へ運ぶそうだ。土一升金一升の銀座の一等地に在庫を積み上げるという不合理には唖然とさせられるが、‘個体’を確認したいという訪日客のニーズにも頷ける。
 三越伊勢丹は4月に福岡三越に空港型免税店を導入、三越銀座店の店外や伊勢丹新宿本店の周辺にも配置すると計画しているから、周辺ライバル百貨店の免税売上は大きな打撃を受ける事になる。中国政府が消費の国外流出を阻止すべく内外価格差の是正を急ぐとともに、一級大都市の空港や市内に‘空港型免税店’を大量布陣すれば、‘爆買い’は一時の泡と消えてしまう。インバウンド特需はそんな‘棚ぼた’と心得て国内消費の掘り起こしに注力すべきであろう。





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 2016/01/27 11:22  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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