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オムニチャネルが解っていない!
 2月4日に開催するSPACニューイヤーコンベンションに向けて業界の最新情勢と提言をまとめたレポートがほぼ完成したが、その巻末を締めるメンバーアンケートに少なからずショックを受けた。メンバーの理解がO2Oで止まったまま、EC軸で全社の経営効率を革新しようというオムニチャネル戦略がほとんど理解されていない(理解したくない)という実情が露呈していたからだ。
 全社の経営効率を革新するオムニチャネル戦略には、1)顧客便宜と販売機会拡大を追求する店舗の出荷・受け渡し拠点化(商物一体の徹底)、2)商物分離で在庫効率・運営効率を追求するショールームストア化、の二方向があってそのクロス運用も可能だ。前者では売上は増えるが、店舗の物流業務が増えて運営コストが肥大し、在庫効率の改善も望み難い。後者では店舗の運営コストも在庫効率も画期的に改善されるが、顧客が馴染んでくれるか不安が残る。中長期の経営革新を見据えれば後者の選択が望ましいが、メンバーアンケートでは前者のスタンスが色濃く、実態はそれ以前のO2O次元を出ていないと推察される。
 オーバーストア化やインフレで店舗運営の採算が悪化する中、成長性も収益性も店舗販売を圧倒的に凌駕するECを拡大し、サイトやSNS拡散などで店舗に顧客を誘導して店舗売上も嵩上げ(ウェブルーミング)、欠品時などには店舗からサイトに顧客を誘導する(ショールーミング)というO2Oまでで手一杯であり、顧客データと在庫データの一元管理までは行っても在庫物流の一元運用まで行く企業はまだ少数派のようだ。
 そんなスタンスはEC担当者の評価や処遇にも影を落としており、EC売上の評価が縦割りの各事業部や店舗に偏って横串のEC事業がサービススタッフ扱いされているケースも多い。そんな縦割り組織ではEC担当者がオムニチャネル戦略に目覚めても欲求不満が募るだけで、やがては会社を見限る事になりかねない。
 メンバー企業のオムニチャネル戦略が停滞するもうひとつの要因が、ショールーミング行為の禁止はもちろん、ウェブルーミングに絡む店出荷や店受け取りにまで非協力的な商業施設デベや百貨店の頑にラッダイトな姿勢だ。百貨店も商業施設もECに較べれば運営コストが倍も高いという負い目も無視して強硬姿勢を続ければ、テナント企業の路面店やECサイトへの移行を加速させる事になる。
 オムニチャネル消費と越境ECの奔流は加速するばかりで、時代に後戻りはない。関係者の一刻も早い覚醒が望まれる。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/01/26 09:22  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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