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縫製工場は労働集約産業?
 1月19日に開催された経済産業省の第二回サプライチェーン研究会の席上、縫製工業会や縫製機械業界の代表委員から思いもかけぬ発言が出て、長年の固定観念をバッサリ否定された。それは『縫製工場(ニッターも含む)は最新自動機器によって労働集約体質を脱して装置産業化出来る』というもので、『低賃金労働力によって成り立つ労働集約産業』という長年の認識をひっくり返された。
 労働集約産業という思い込みで日本から中国、そしてベトナムやバングラデシュなどの南アジアへと移転して来た縫製工場だが、次はアフリカ、その次は?という疑問に縫製業会のリーダーは『自動化で装置産業化し中先進国に戻る』という大胆な仮説を打ち出した。オムニチャネル化の急進に伴う物流のB2B〜B2C一貫効率化と消費地DC軸の交流化いう奔流を考えれば、消費地(日本はもちろん今や中国も消費地だ)近接の自動化された縫製工場とプレス仕上げ〜物流加工基地を軸に販売動向に即応した省時間=省在庫コスト=省物流コスト=省ロスのサプライチェーンが形成される可能性は決して低くない。
 これって何だかラ・コルーニァの生産・物流ハブを軸としたインディテックス社の欧州内サプライチェーン(アジア生産のカジュアル単品を除く)に似てませんか?インディテックス社の肝は企画〜仕様開発〜染色・整理〜縫製準備(裁断と副資材手配)〜プレス仕上げ〜物流加工の本社集中とファスト化であり、素材の前倒し調達・保管と染色・整理工程の内製化がその前提となっている。素材の前倒し調達・保管による縫製のファスト化と補給の否定という点はメーカーズシャツ鎌倉にも通じる割り切りだ。
 80年代までの日本や今日まで続く韓国の『テキスタイル業界のファストな見込み生産・供給を前提とした消費地近接縫製工場によるアパレルのファスト供給』という理想的なサプライチェーンが再現される可能性を感じるが、縫製工場が自動化されてファストな装置産業になってもテキスタイル業界がリスクを負ったファストな見込み生産・供給体制に回帰しない限り、絵に描いた餅でしかない。今、戦略的に投資を集中すべきはファストなテキスタイル・コンバーターと染色・整理工場、プレス仕上げ工場だと思う。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/01/25 09:20  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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