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‘館’から‘路面’へ
 ‘館’と言えば駅ビル/ファッションビルやSCから百貨店まで統一的な運営管理が行われている商業施設を指すが、近年は運営管理が硬直化したり時流に合わなくなって、テナントにとって経済的負担が重く営業が様々に規制されるという負の面が大きくなって来た。その一方、一時はSCに押されて消えて行くとさえ言われた郊外のロードサイド店や駅ビルへの集中で衰退傾向だったダウンタウンの路面店が再評価されつつある。
 ‘館’への集中要因は何より集客力と立地であり、営業支援は営業規制と裏腹で路面店より突出したメリットとは言えず、定期借家契約と最低保証付き売上歩率課金が定着した今日では営業継続の保証も無く、なんだかんだと課金されて売上対比の不動産費率も20%を超え(家賃のみだと15〜6%)、販売人件費や光熱費、包装費やカード手数料などを加えた店舗営業経費は売上の40%前後にもなってしまう。売上が低迷すれば最低保証に抵触して家賃負担は跳ね上がってしまうし、定借期間が終われば追い出されてしまう。
 入居する段階でも、かつてのような巨額の保証金は不要になったが(基準家賃の10ヶ月分の敷金が一般的)、共通内装工事費や現場協力金?、内装監理費の負担は結構重いし、インフレする内装費は定借期間で償却出来るか疑わしい。退店する時も、原状回復工事を指定業者に任せれば負担が重いし、契約期間内の退店には敷金没収などのペナルティを課すデベも少なくない。
 加えてオムニチャネル化が急進する今日、タブレット接客によるECへの誘導はもちろんEC受注品の店出荷や店受け取りなどを規制されては時代に取り残されてしまう。課金の手法や負担は議論されてもよいが、自由な営業が制約される現状は‘館’の限界を痛感させる。商業施設デベが時流に対応してテナントという‘お客様’へのサービスを向上しようと努力しているか、現状では極めて疑わしい。
 という訳で、オムニチャネル化とインフレが進む今日、営業の自由とコスト負担軽減を求めて‘館’から‘路面’へと出店立地が逆流し始めた事に業界は注目すべきだ。それはテナント側はもちろん、デベにも抜本的な革新を迫るものとなろう。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/01/19 09:23  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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