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労働の相場
 リクルートジョブズ・リサーチセンターが毎月発表しているアルバイト・パート募集時給調査によれば、15年11月の三大都市圏平均時給は981円と前年同月から2.0%伸びて6ヶ月連続して過去最高を更新したそうだ。そのうち「アパレル販売」は前年同月から2.3%伸びて943円になったとは言え、「化粧品販売」の1128円はおろか「物流作業」の967円にも及ばない。それが世間相場というものなのだろう。
 一方でソフトバンクグループの孫正義CEOが後継者に指名したニケシュ・アローラ氏の年俸は165億円と報じられて世間の度肝を抜いたが、欧米でもファッション業界とIT業界の年俸相場は三倍も違うそうだ。バーバリー社のクリストファー・ベイリー新CEOの報酬が高すぎるとして株主総会で拒絶されたのはもう一昨年の話だが、就任時に2000万ポンド(33億4000万円)の同社株式を受け取って15年度は1230万ドル(14億5000万円)の年俸を得ている。それでも米アップル社に年俸8260万ドル(98億円)で引き抜かれた前CEOのアンジェラ・アーレンツ女史に較べれば可愛いものだ。アンジェラ女史の前にはサンローランCEOのポール・ドヌーヴ氏、後にはサンローラン欧州社長のカトリーヌ・モニエール氏やタグ・ホイヤーの幹部など、アップル社のラグジュアリー戦略によるファッション業界幹部の引き抜きが相次ぎ、欧米ファッション業界幹部の年俸相場は高騰してしまった。
 少子高齢化と景気回復?で逼迫していると言ってもアルバイト・パートの時給など天と地ほどケタが違うが、これがギリシャ・ローマ時代から近世の黒人奴隷制を経て今日まで続く欧米の「奴隷制資本主義」の現実なのだろう。『天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず』と福澤先生はおっしゃったが、労働の相場ってこんなに違ってよいのだろうか。
 販売員の地位向上は免罪符的な啓蒙イベントで果たせるはずもなく、物流作業から解放する業務革新に拠るしかない。B2Bでは常識となった商物分離をB2Cで実現してこそ実質を伴う地位向上が果たせるのではないか。


◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/01/18 10:52  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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