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‘爆買い’失速の構図
 9月28日の『‘爆買いは続かない’が現実に!』、10月26日の『「中国人‘爆買い’の陰り」続報』と警鐘を鳴らして来たが、10月、11月のインバウンド(免税)売上の急減速を目の当たりにして、もはや『‘爆買い’失速の構図』を語る段階だと思う。
 インバウンド‘爆買い’のメッカたる銀座地区二百貨店(松屋、三越)の単純平均免税売上比率は8月の31%がピークで、9月は25%に急落、10月は23%を割り、11月半ばまでで20%強と明らかに急減速している。もちろん前年対比ではまだ2倍近い伸び率だが、8月までの3〜4倍という勢いとは比較すべくもない。百貨店協会が発表している訪日外国人売上前年比も2〜8月の318.6(3月)〜407.1(6月)という勢いから9月は280.0と急減速し、10月は196.0と二倍を割り込んでいる。
 インバウンド(免税)売上の伸びが急激に鈍化した要因は中国政府が9月1日から実施した入国時の課税厳格化も響いたが、前年の10月1日から免税対象品目が化粧品や薬品、食品などに拡大された効果が一周した事も大きかった。この先も伸び率を引き下げる要因が多く、来春以降はマイナスに転じかねない。
 中国は輸出から消費へ経済成長牽引の主役交代を急いでおり、海外へ流出している消費を国内に回帰させるべく、90年代の我が国のように関税を引き下げ流通規制を緩和して内外価格差の圧縮に努めている。我が国が10年かけたところをなり振り構わず2〜3年でやり切るのは間違いなく、中国人の‘爆買い’は急速に細って行くと見なければならない。
 中国人などによるインバウンド消費を狙っているのは日本だけではない。日本にお株を奪われた香港や韓国はもちろん、政府がバーゲンまで主導するシンガポールも虎視眈々と日本の隙を伺っている。バーゲンを後倒ししているのは東アジアでは我が国だけで、インバウンド客を狙ってバーゲンの前倒し競争になっているのが現実だ。
 彼等は日本国内でもライバルになり始めている。中国資本傘下の免税店となったラオックスはもちろん、来春3月にはロッテ免税店が昨秋の関西空港に続き銀座5丁目ビル(東急不動産)の8〜9Fに4420平米(1340坪)の巨艦店を開設する。その売上目標は2000億ウォン(210億円)と、先行して開設される三越銀座店8Fの免税店(千坪)の140億円を大きく凌駕する。
 ‘爆買い’が減速し奪い合いが過熱する以上、もはやインバウンド売上という‘棚ぼた’に浮かれている状況ではない。インバウンド売上の影で減少が続く‘国内’売上をどう回復させるか、売場改革からオムニチャネル戦略まで抜本的対策が急がれる。
 2015/11/24 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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