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鎮魂のゴジラと日経の気骨
 昨日の日経の日曜特集「美の美」は『鎮魂のゴジラ』と題して見開き二ページを割いていたが、その論旨は評論家の川本三郎氏が94年に岩波書店から刊行した『今ひとたびの戦後日本映画』中の「戦争未亡人と死者」「復員兵 帰って来た男達」に続く「ゴジラはなぜ暗いのか」という一文から論展したものだった。
 54年という戦後の転換期に本多猪四郎監督によって作られた暗いモノクロの作品「ゴジラ」は明らかに東京大空襲の再現であり、太平洋の藻屑と消えた兵士達の怨念の象徴であった。ゆえにゴジラは国会議事堂まで破壊しながら目前の皇居を回避して上野・浅草・隅田川と廻って海に帰って行く。それを天皇に対する畏敬の行動とする川本に対し、民俗学者の赤坂憲雄は畏敬でも恨みでもなく諦めを現したものだと反論している。赤坂は『「ゴジラ」は前大戦で米国に叩き潰された海から描いて日本人が被害者を演じ、加害者だった大陸の戦争を無意識に隠している。それは戦後70年の日本人の精神史そのものだ』とまで言い切っている。
 政財界権力側に迎合するかに見える日経が「戦後70年」の加害者意識を問い、「蟹工船」の小林多喜二を日曜版のコラムで連載したり、衆院選投票当日にワイマール公国の宰相でもあったゲーテの「ファウスト」を取り上げて通貨の大量供給によるインフレ政策の危険性に警鐘を鳴らしたり、ちぐはぐと言うか是々非々と言うか編集の独立性と言うか、最近の政権政党におもねる国営放送なんかに較べると気骨が在って意外に面白い。大本営発表と提灯記事ばかりのギョーカイ紙に較べれば格が違うという事なのだろうか・・・・

 2015/07/27 10:07  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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