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小売SPA化の功罪
 ワールドは先に発表した500店舗の撤退に加え、本社社員の四分の一にあたる500人の希望退職を募る事になったが、90年代後半からの急成長で国内最大のアパレルメーカーとなった‘功’もリーマン以降の収益性悪化という‘罪’も「小売SPA化」という戦略に帰するのではなかろうか。
 ワールドは92年1月に「スパークス構想」を打ち出して以来『店頭起点の小売SPA化』を基本戦略に掲げて来たが、投資が店舗に偏ってメーカーの生命線たる商品開発組織が弱体化したという指摘は免れない。「小売SPA化」に走る前のワールドは国内外産地に入って糸から開発する業界に比類無い開発組織を誇っていたが、「小売SPA化」の中で開発組織の解体や削減が進み、駅ビルやSCに展開するワールドのブランドの大半は小売業のようなODM商品となって行った。それが商品の魅力を損なって売上の低迷をもたらし、ジリジリと収益性を低下させて行った事は疑う余地もない。
 「小売SPA化」は商品開発のみならずディストリビューションでもワールドを変えて行ったと推察される。メーカー直営店体制ではエリア担当営業が地域のマーケティングと店舗運営、各店舗の品揃えと在庫運用を包括して担当し、店舗の陳列を指導し品揃えを目で見て在庫を運用していたが、「小売SPA化」ではリテイルチェーン同様に本部のマーチャンダイザーが枠組んでディストリビューターがPOSデータに基づいて在庫運用する、売場が見えない分業体制になってしまう。それはそれで効率的な一面はあるが、担当営業が巡回して各店のテイストやアイテムのバランス、陳列との連携を図って在庫運用するのはもちろん、販売員のヒューマンなマネジメントまで気を配って店舗とディストリビューションを一体に運営するメーカー直営店体制に較べれば、ブランド価値の訴求力も消化歩留まりも及ばなかったのではないか。
 サンエーインターナショナル(現TSI)などワールドと同様な「小売SPA化」に走ったアパレル大手が同様に収益性を悪化させ店舗やブランドのリストラに追い込まれている今日、「小売SPA化」の功罪を総括する意味は大きいと思われる。
 2015/06/29 09:13  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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