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大撤退ラッシュが来る
 ワールドやTSIなど大手アパレルの大量店舗撤退が相次いで報じられたが、店舗の大量撤退はこれからが本番になる。ファッション消費が伸び悩む中も大型商業施設の開発でオーバーストア化が進んで販売効率が低下する一方、ECが拡大してオムニチャネル消費が当たり前になり、ECに較べて売上対比の販売コストが倍近くも嵩む実店舗の投資採算が怪しくなって来たところに、消費増税と円安による調達コスト転嫁の値上げが重なって顧客が離反して売上が落ち込み、店舗の採算改善が見込めなくなったというのが実情だ。そんな事情は他のチェーンも大差ないから、音を上げるのが速いか遅いかの違いでしかない。恐らくは今年から来年にかけて数千店規模の撤退ラッシュが来ると見るべきだろう。
 商業施設の新設によるテナント出店数は近年、年間三千〜四千で(ピークの06〜08年は六千弱〜七千超だった)、うちファッション関連は千強と推察されるが、十年というレンジで見るとほぼ三分の二の店舗が退店している。定期借家契約が導入された00年以降は出店ラッシュからほぼ5年目に退店の山が来ており、06〜08年の出店ラッシュの後は11〜13年に退店ラッシュが来たが、直近の13〜14年の出店ラッシュの付けが回るのはまだ先のはずだった。なのに撤退ラッシュが始まってしまったのは余程、店舗の採算悪化が急激だったと推察される。何とか支えて来た過去の不採算店も一段と売上が落ち込んで赤字に耐えられなくなり、撤退ラッシュに至ったのだろう。
 大量撤退の後を埋めるのは限られた国内好調チェーンと損益分岐売上が極端に低い外資チェーンに限られるから、SCの同質化は一段と加速し、それがまたSC総体の販売効率を低下させるであろう事は想像に難くない。オムニチャネル化の急進が商業施設を追い詰める中、テナントチェーンは運営コストも在庫効率も格段に優れた‘脱実店舗’のオムニチャネル戦略に投資の大半を振り向けるから、商業施設はますます弱体化していかざるを得ない。
 この現実を商業施設デベは未だ直視しようとしていないが、それがもたらす劇的凋落がさらなる退店ラッシュを招くとしたら、シャッター街化した商業施設が全国に広がる事になる。本当にコストを圧縮してリストラすべきは商業施設デベではないのか。
 2015/06/01 11:06  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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