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蔦屋家電は遊べるショールームストア?
 5月3日に二子玉川ライズSCに開業した蔦屋家電は大混雑と聞いていたので、連休明けて熱りも冷めた先週末、ルン妻に同行をお願いして探検に出掛けた。
 二子玉川駅直結の第一期ライズは‘二子玉’らしからぬニューファミリーぽい安っぽさが鼻に付いたが、バスターミナルを過ぎて一段高く登ったテラスロードを二子玉川公園に抜けて行く第二期ライズは勝ち組アラフォー的ライフスタイル感に溢れ、テラスロードに面したカフェやレストランに集う人々は80年代たまプラーザの‘金妻文明’を想起させる。
 蔦屋家電はバスターミナルに面してテラスロードに昇る右手の1〜2F計7160平米を占める巨大店舗だが、この手の大型店に在りがちな安っぽさは欠片も無く、代官山の蔦屋書店をさらに洗練させた建築的美術的なセンスは軽薄なアパレル系大型店とは天と地ほどの差がある。ダークウッドの内装に繊細なLED照明で陰影を付ける店舗空間はリピテーションの迷宮のようでもあるが随所にシンメトリーの美しい均整を見せ、アートな陳列手法もあって古典建築の美術館か図書館のような格調さえ感じさせる。
 家電は2Fのバスターミナル側から多摩川側へと廻るサイドに‘フード&クッキング’‘ビューティー’‘ウエルネス’‘ハウスキーピング’、1Fはエントランスから時計回りに‘アップル正規販売店’‘ネットワーキング&フォト’‘ステーショナリー&ムービー’‘ミュージック’‘サウンドレンタル’‘モバイル’‘アップル正規サービスプロバイダ’と続く。いずれも家電商品のサンプル陳列に関連する書籍や生活用品、一部は食品までクロスマーチャンダイジングするライフスタイル編集で、書籍で培われた蔦屋流編集陳列が家電でも遺憾なく発揮されている。とりわけ‘フード&クッキング’‘ビューティー’‘ステーショナリー&ムービー’などでは書籍で多用される多重露出クロスマーチャンダイジングが目を惹いた。商品も一般的な家電メーカー品よりこだわりの専業メーカー品やデザイン家電ブランド、家電量販店では見られないマニアックなブランドがフォーカスされており、まさしく‘家電のセレクトストア’という印象だ。
 家電量販店では電卓片手の営業員やメーカーの派遣が交錯して忙しないが、蔦屋家電では‘コンセルジュ’という書店員感覚の博識アドバイザー(多くは東急ハンズ的に良く訓練されたパート&バイト)がライフスタイル視点でじっくり相談に乗ってくれる。私もカメラ売場で興味の赴くままあれこれと質問したり触ったりと半時ばかりも遊んでもらったが、購入段階では量販店やECとの価格比較もするだろうから‘楽しく遊べる美術館的ショールームストア’になりかねないと思った。
 サンプル陳列はショールームストア的だが(消耗家電やパーツ類は積んでいる)、ストックは後方に在って(棚下在庫は知れている)売場への補給体制は未確立だしECの同時展開もないから、オムニチャネルな拡販と効率的な在庫引き当てというビジネスモデルは見えておらず、採算性は度外視した実験的な段階と推察される。
 蔦屋家電は効率至上のデジタルなECに対するアンチテーゼとして提議されたアナログな時間消費のライフスタイル型家電ストアであり、‘楽しく遊べる美術館的ショールームストア’として若者から熟年層まで熱狂的な支持を得ると思うが、それをアップルストア的な高収益ビジネスモデルに昇華するにはオムニチャネルな販売体制と効率的な在庫引き当てが不可欠だ。売場と店内ストック、DCの在庫の持ち方や補充方法はもちろん、ベンダー/メーカーと連携するロジスティクスの仕掛けが要となるのではないか。天才企画マンたる増田氏の次の一手に注目したい。
 2015/05/20 09:10  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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