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悪魔との取引
 企業が頂点を謳歌してから衰退の坂を転げ落ちだすまで、ほんの一瞬と言って良い。何十年かの企業生命の中の数半期にすぎないと思う。何故そのような暗転に至ったのか、振り返ってみると確かに‘その一瞬’が在った事がわかる。それは企業の将来と引き換えに今の利益を先取りする「悪魔との契約」の誘惑に堕ちた瞬間だった。
 かつて今日のユニクロ並みに隆盛を誇ったSPA企業が在った。一社は当時としては巨大ロットの海外生産で超低コスト調達を実現したが、「偽装二重価格商法」の常習犯として司直の摘発を受け、それを契機に業績が悪化して行った。一社は特異な素材絞り込みMDの成果として極端な低原価率を実現して超高収益を謳歌したが、その高収益ゆえ投資判断が甘くなって不採算事業で大きな損失を被った。どちらも一時は超が付く高収益を謳歌しながら、その高収益性ゆえ道を踏み外す災いを招いた例だ。
 小売価格に比して低すぎる調達原価率(20%以下と定義しよう)は一時は超の付く高収益をもたらすが、やがては顧客にそのマジックが露見するか高収益に慢心して経営の箍が緩み、結局は業績を悪化させてしまう。まさしく「メフィストフェレスの誘惑」であり、賢明な経営者は悪魔の誘惑に堕ちてはならない。薄い利幅で懸命に販売消化する仕組みを築き上げてこそ、顧客の信頼を得て長く続く高収益体質が約束されるのであり、悪魔の誘惑に堕ちては泡沫の夢を見て奈落に堕ちる。顧客を欺く超低原価率の誘惑は経営者が慎むべき最たる悪徳と肝に銘ずるべきだ。
 2015/01/22 09:13  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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