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ユニクロ様は偉い!!
 この月曜の朝日朝刊に『ユニクロの正社員になりませんか』という全面求人広告が掲載されていたが、イラストの可愛らしさといい求職者目線といい、キャッチコピーやひとつひとつの言葉づかいといい、各分野のプロが万全を尽くした最良の完成度に『ファーストリテイリングって一流企業なんだ!』と改めて認識させられた。
 ‘ブラック’と誹られる流通企業やサービス企業の対応は、如何にも臭い物に蓋をするといった稚拙な対応や利益提供を疑いたくなるメディアを使った提灯記事の乱打に加え、経営者の不用意な発言が火に油を注ぐ事も少なくない中、ファーストリテイリング社の非の打ち所がない真っ直ぐな対応は‘上手な対応’を超えて‘信念ある行動’とさえ見えて来る。それだけ一流のスタッフが揃っているのだろうが、柳井さんも慎重に言葉を選んでいる。スタッフの制止も無視して不用意な発言をしてしまう経営者も少なくない中、事業規模に相応しい器の経営者ということなのだろう。
 様々な危機を経て危うい均衡を保っている資本主義経済の先行きを巡って「21世紀の資本論」とか「資本主義の終焉と歴史の危機」とか喧しいが、資本の利潤と労働者の賃金の相克(成長論と分配論の相克と言ってもよい)はマルクス以来の永遠の課題だと思う。『資本の利潤は常に労働者の賃金を上回って増殖する』というトマ・ピケティの検証は百年単位の視野によるもので、今世紀に入って以降の四半世紀単位の視野では『資本利潤率の低下による資本主義の終焉』という水野和夫の主張の方が説得力がある。
 水野は『70年代に頭を打った資本主義経済が金融とITを融合しグローバル化して金融経済化し、東西冷戦終了後の社会主義圏を取り込む空間的拡大で延命して来たが、資本による労働の搾取構造が国内から域内、そしてグローバルと空間的に拡大しただけで資本の生産性は向上しておらず、無理な成長志向が貧富差と金融のギャンブル化という弊害をもたらしている』(私による要約と加意)と論展しているが、適確な認識と思われる。
 グローバルに事業を拡大する柳井さんが資本主義の活力に期待するなら、労働条件の改善には生産性の抜本的革新が不可欠と認識しているはずで、店舗労働者に物流倉庫まがいの労働を強いる「ユニクロ」のチェーンオペレーションが限界に近付いている事は十二分に理解していると思う。ファーストリテイリング社が欧米的階級搾取構造に堕落する事なく成長を継続し、店舗労働者が子弟を養育し家が買える賃金水準を実現する事を心から期待したい。
 2014/12/25 09:37  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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