« 前へ | Main | 次へ »
「品質」って何だろう
 世には「ユニクロ」が高級品に見えるぐらい超安あるいは劣悪な商品もある一方、泡銭でもなければ手が出ない法外価格のブランドも数多ある。そこで問われるのが「品質」なり「価格信頼感」だが、現実は極めて多様で定義が難しい。
 「品質」は耐久性なり堅牢度なりの一方で風合いや着心地も問うから一概に定義できないが、いくら風合いや着心地あるいは発色が良いと言っても極端に柔では困る。いち消費者としての経験を辿れば、新宿某百貨店で購入した十万円近いイタリア製のニットは三シーズン目で肘も袖先も抜け(穴が空いた)、某伊ファクトリーブランドのパンツは最初のクリーニングで脱色してしまった。某著名セレクトショップで買ったイタリア製の発色の美しいバッグは一夏で何枚ものシャツに色移りしてしまったし、フランス製やイタリア製の美しいシャツは日常的にボタンが飛ぶ。それに較べれば、「ユニクロ」のカットソーなど何年着ても揺るぎもしないし、メーカーズシャツ鎌倉のシャツなど三年目にしてやっとボタンがひとつだけ飛んだ。
 耐久性や堅牢度を問うならイタリア製の高級ブランドなど低品質もいいとこだし、安くても信頼度の高いブランドは少なからず存在する。個人的には堅牢度を必要とする日常着はお手頃な信頼ブランド、たまに着るお洒落着は危なっかしい仏伊ブランドと使い分けているつもりだが、大枚を溝に捨てるような欠陥にはさすがに怒髪天を突く。たいていは『こんなもんでしょうがない』と諦めるが、脱色や色移りだけは勘弁出来ない。そんな時、百貨店やセレクトショップは慇懃無礼に謝りはするが『責任は仕入れ先に在る』と矛先を振るのが常で、商品責任に対する姿勢やトレーサビリティの薄弱さには呆れるばかりだ。某新宿百貨店で買った毛を撒き散らすカーディガンなど、返品しただけで(返金もなかった)それっきりだった。
 それはともあれ、「品質」は価格相応?とするなら、「価格信頼感」ぐらいは守って欲しい。タイムセールで安くなって飛びついた商品が元より値下げして売るつもりで高く値付けされていたり(商社筋の噂によればタイムセールを乱発する某カジュアルチェーンへの納入原価率は売価の18%だとか)、毎週のように新規商品を投入するファストファッション店でプロパー買いする客は三割止まりとか、アパレルの価格については怪しい話が多すぎる。
 ラグジュアリーブランドなど法外な利幅を載せているのは自明だが、厳密に流通を管理して正価を維持しているなら顧客は公平に煙に巻かれているわけでブランド価値は崩れないし文句も出ない。流通管理が甘く卸先やFC店から横流しされ、期中からオフプライスサイトに流出するようでは「価格信頼感」もブランド価値も崩れてしまうが、一部のスーパーブランドを除けば未だに危うい話が多い。
 価値も価格も怪しいファッションなんかに汗水流して稼いだ金を注ぎ込むなど、まともな人間のする事ではないのかも知れない。消費増税以降、とりわけ輸入インフレが価格を押し上げた秋冬物以降の衣料消費の冷え込みは消費者のそんな白けを感じさせる。『良い品を安く』『正札掛け値無し』なんて二昔前の商業界精神に帰って出直さない限り、この業界はもうお終いなのかも知れない。『店は客のためにあり、店員とともに栄え、店主とともに滅びる』という倉本長治 商業界主幹の名言をもう一度、噛み締めるべきだと思う。
 2014/12/24 09:59  この記事のURL  /  コメント(0)

コメントする
名前:
Email:
URL:
クッキーに保存
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク


コメント


« 前へ | Main | 次へ »


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ