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入店禁止の新業態
 24日の日経MJは第一面でウォルマートの果敢な業態開発を特集していたが、中でも注目すべきは今9月末からウォルマートが本社を構えるアーカンソー州ベントンビルで営業を始めたドライブスルー専用スーパーの実験店「ウォルマート・ピックアップ・グロッサリー」だ。何せ店舗でありながら顧客は立ち入り禁止で、駐車場の指定位置に車を止めたまま、ネットで注文した商品をスタッフがカートで運んで来てトランクに乗せてくれるのを待つだけという、クリック&コレクト方式(ネット購入品の受取所渡し)の進化形なのだ。
 顧客は同社の近隣型小型スーパー「ネイバーフットマーケット」の食料品や日用品など一万品目の品揃え(価格も同じEDLP)から選んで決済を済ませ、決済から2時間以降の午前7時から午後10時の一時間枠の受け取り時間を指定する。店ではピッキングした商品を生鮮/冷蔵/冷凍/その他と区分して保管し、顧客が駐車場ゲートのタッチパネルで会員ナンバーを入力して指定位置に駐車すると5分以内にカートで車まで届けるという仕組みだ。具体的な使い勝手はウォルマート社の紹介ビデオや地元TVのニュースでビジュアルに解るから、「激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ」(9月30日)を参照されたい。
 これが何で画期的かと言うと、まず顧客にとっては寒い店内(生鮮・冷凍・冷蔵区画)で震えながら長時間、商品を選んでピックアップしてレジまで運び、レジの列で待たされるか自らバーコードをスキャンして決済し、商品を分類して運び易いよう袋に詰め、広大な駐車場に停めた車までカートで運んで積むという長丁場の労働を回避出来るメリットが大きい。週一でまとめ買いする米国の消費者にとっては結構な労働だから、利用したい人は結構多いと思う。
 店にとってはレジスタッフ人件費を大きく削減出来、頭の痛い万引きロスもゼロに出来る。多店化して専用エリアDCでピッキングするようになれば店舗を受け渡し場所に割り切れるから、各店舗の在庫の偏在と二重物流を解消出来るし店舗の不動産コスト/設備コストも圧縮出来る。ピッキングコストも二重物流や品出し陳列作業の解消で相殺されるのではないか。ベントンビルの第一号店は既存の「ネイバーフットマーケット」を転用したようなので店舗面積も同寸(15000sq)だが、多店化すれば保管と受け渡しに限定して小型化されるのだろう。
店舗のショールーム化(販売と物流の分離)もロジスティクスの効率化とコスト削減に直結する画期的な進化だが、クリック&コレクトという手も欧州では既に一般化しており、「ウォルマート・ピックアップ・グロッサリー」の登場は必然の進化だったと思われる。セルフチェックアウトレジなどに較べれば顧客のメリットが解り易く企業のメリットも大きいから、オムニチャネル化とともに日本でも急速に広がるのではなかろうか。
 2014/11/26 09:24  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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