« 前へ | Main | 次へ »
デフレ時代は良かったね!!
 安倍政権と黒田日銀は2%というインフレ目標に固執して消費再増税も先送りするという奇策に出たが、果たして日本はこれで豊かになるのだろうか。
 今春の消費増税に加えて黒田日銀のさらなる異次元緩和による日銀券の過剰供給で円の国際価値は急落し、予定通り消費再増税を断行すれば円安に歯止めがかからなくなる危機が迫っていた。消費再増税を延期しなければ年内にも対ドルで120円台に乗り、増税実施段階では130円台も避けられなかったかも知れない。「FRBが利上げに踏み切った段階での日米金利差予想%+消費増税%」+α(変化予想ベクトル)分は対米ドルで円安が進むのは必然で、再増税の先送りは必然の選択だったと思われる。
 インフレと円安は鶏と卵の関係だが、安倍政権と黒田日銀が目論むインフレ(=円安)が実現したとすれば、ホントに景気が良くなり所得も増えて消費が拡大する好循環に乗るのだろうか。残念ながら今日の日本の産業生態系と階級構造では、株が上昇し輸出産業の業績が伸びても、金はヒエラルヒーの上部を循環するだけで中底部への恩恵はインフレ率に到底追い付かず、下請中小企業や勤労大衆の苦境は一段と深まってしまう。
 我らファッション業界など「失われた20年」のデフレ局面では単価下落による市場の縮小に苦しんだかもしれないが、実は購買単価の下落巾より調達単価の下落巾の方が大きい状態が続き、業界はその‘さや’で凌いで来たというのが実情だった。ところが3.11を契機に円安に転じ、アベクロミクスと消費増税で円安が加速するにつれ、調達単価の上昇が購買単価の上昇を上回る‘逆ざや’状態に転じ、調達コスト増と諸経費のインフレで行き詰まる会社が続出するという最悪の状況になってきた。
 デフレ局面では価値を創造出来ない会社でも安く売れば‘さや’で生き延びられたが、‘逆ざや’が開いて行くこれから、本物の価値を創造して顧客に価格上昇を受容してもらえる会社しか生き残れない。デフレ時代に蔓延した52週MDやOEM/ODMが潮が引くように減少し、自社開発の計画生産という原点に回帰する会社が増えているのも動物的な生存本能が作動しているからだと思う。
 内需産業はみなファッション業界と同じ構図に陥っており、インフレと円安が加速すれば多くの事業者が干上がって雇用と所得も減少する悪循環に転落する。『白河の清きに流れに住みかねて もとの濁りの田沼恋しき』という風に‘デフレ時代は良かったね’と懐かしく振り返る事になるのではないか。
 2014/11/17 09:50  この記事のURL  /  コメント(0)

コメントする
名前:
Email:
URL:
クッキーに保存
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク


コメント


« 前へ | Main | 次へ »


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ