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ブルーな秋
 「ブルーな秋」と言っても別にメランコリックになってる訳ではなく、秋立ち上げの売れ筋が例年になくブルー〜濃紺や黒に偏って未だに白も強く、ベージュ〜茶系や臙脂、柿色といった秋カラーの動きが鈍い事を指している。この傾向はメンズで顕著だがレディスでもマスキュリンなルックでは共通しており、ピッティの影響とか景気後退の前兆とか様々に取り沙汰されている。
 メンズとレディスのマスキュリンルックに共通して言えるのは幾度か指摘して来た通り、1)欧米モードシーンでデザイン追求が行き詰まってユーティリティ(着こなし着崩し)に価値がシフトし始め、「ノームコア」とか「ジャポニスム」が喧伝されるようになった流れがマーケットに波及して来た、2)モード&グローバル志向からナチュラル&ローカル志向への反転が今春から始まり、来春のピークへ向けて緩い着こなしや後加工が拡大しつつある、が背景だと推察されるが、それが何でブルーなのだろうか。
 秋立ち上げのメンズの売れ筋をファクターで見ると、加工デニムが復活してインディゴカラーが広がっている事に加え、デザイン的にはゆるニートに気崩せるニューベーシック、テイスト的にはマリン&ネイビー、プレップ&ヴィンテージで、モードからナチュラル、デザインからユーティリティに振れながら何処かクールさが感じられる。
 そのクールさとは、シーズン毎の着捨てを仕掛けるファッション業界に背を向け、ノームコアなお気に入りアイテムを自分流に着こなし長く愛おしむという、キモノ的なユーティリティの現れなのではなかろうか。これぞ本質的な‘ジャポニスム’であり、製品デザインより素材の意匠と着る側の工夫に価値が移行するという時代を画する反転劇なのだと思う。
 「ブルーな秋」は、秋の深まりとともに円安などによる価格上昇と消費増税が身に凍みて来る消費者が本能的に自己防衛して進化する‘兆し’と見るべきで、コスト増の売価転嫁を目論む業界は市場を侮ってはなるまい。恐らくファストファッションは失速し、素材軸ファクトリーダイレクトなニューベーシックが新たな主役となる時代が到来するのではないか。
 2014/08/26 10:54  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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