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減速する勇気、立ち止まる勇気
 一昨年あたりからカジュアルチェーンやセレクトショップの新業態開発が相次いでいるが、必ずしも上手く行っていないのに強引に多店化しているケースが目に付く。どんどん出店しているから素人目には好調に見えるが、実際には売上が低位に留まったり、最初の勢いが急速に陰ったりと、多店化どころではない内情が垣間見える。
 そんな店は商品も陳列も店舗環境もぱっとせず、新業態としての鮮度がいまひとつで、シーズンを追う毎に一段と色褪せて行くのに、何故か出店ペースにブレーキがかからない。行き詰まれば多大な損失が発生するのではと他人事ながら心配になるが、店舗数が揃えば市場の認知度が高まり、ロットもまとまって開発力も高まり、やがて軌道に乗ると楽観しているのだろう。
 残念ながら、近年の日米の業態開発を検証する限り、そんなハッピーエンドは滅多に見られない。デビュー当時に人気が盛り上がらなかった業態が以降の改善で化けたケースは極めて稀で、初期には注目されても多店化とともに魅力が薄まって人気が削がれ、中途半端なお荷物事業となってしまうケースも多い。開発初期に人気が出なければ、抜本から別物に組み替えないと離陸する可能性はほとんどないのが現実だ。
 国内でもそんな例は数多あるが差し障りもあるので、米国の例を幾つか挙げておこう。09年9月にスタートしたアメリカンイーグルの「マーチン&オサ」は第一段階で空振ったのに第二段階まで強行して28店まで拡大し、10年7月に全店を閉鎖している。04年9月にスタートしたアバークロンビー&フィッチの「ルール」も28店まで拡大したが大幅赤字を脱却出来ず、09年中に全店閉鎖された。08年2月にマサチューセッツ州ナテックモールに一号店を開設した「ギリーヒックス」も10年1月末までに37店舗という当初の目標に届かず、28店(国内20店/海外8店)に留まったまま廃止される事になった。
 マーケットが評価しないのに強引に出店を続ければ損失が大きくなるだけだから、一旦は出店を止めてMDはもちろん陳列手法や店舗環境まで再構築して再びマーケットに問い、手応えを得てから出店を再開するべきだと思うが、業界の評価や社内の士気を危惧してブレーキが遅れる事が多い。経営リーダーには「減速する勇気」「立ち止まる勇気」も時には必要ではないか。
 2014/04/22 09:11  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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