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メイド・イン・ジャパンの疑惑
 業界では消費者そっちのけの産地振興が免罪符のように流行しているが、その是非以前に‘メイド・イン・ジャパン’の旗印に疑問符が付く。外国人技能実習生に依存する縫製工場で作られた製品が‘日本製’と言えるのかという指摘だ。
 中国など低コストのアジア諸国に生産が移転して衰退が著しく、従業者の老齢化と低賃金ゆえの採用難で外国人技能実習生への依存が進む国内縫製業だが、12年度統計では全分野44、897人中、衣料縫製業は9、719人と21.6%を占める。都道府県別では岐阜県が1,489人と最も多く、岡山県が698人で続く。香川大学経済学部教授の佐藤忍宇治氏の論文に拠れば、岡山県では縫製業従業者の15%程度に留まるが岐阜県では過半を占め(09年)、実習生の満足度も岡山県では9割と高い。岡山県では実習生制度が比較的遵守されているのに対し、伝え聞く限り、岐阜県では低賃金労働者として酷使されている印象が在る。
 それを裏付けるのが1月21日付け繊研新聞の『外国人技能実習生受け入れ法違反8割超 過去最高水準に』という岐阜労働局の発表を報じる記事で、85.5%の事業所で労働基準関係法令違反があり、『改善の傾向は認められない』と匙を投げている。米国務省も2011年6月27日発表の「人身売買実態年次報告書」で日本の外国人技能実習生制度を『借金による束縛、移動の制限、賃金や残業代の未払い』などを挙げて問題視しているほどだ。
 70年を経ても戦時徴用工問題が未だ隣国との軋轢を引き摺るのだから、虐げられた記憶も生々しい実習生達が母国で反日の輪を広げる事は想像に難くない。地場産業の些細な利益のために国益を損なう悪行は一刻も早く根絶すべきだ。
 海外生産では「スウェットショップ問題」に敏感なのに国内生産では目を瞑るアパレル業界のモラルが問われる一方、倉敷スクールタイガーのように実習生ゼロの生産体制を堅持する縫製業者も少なくないのだから、‘メイド・イン・ジャパン’として振興する条件に「外国人技能実習生ゼロ」を加えるべきだと思う。
 国内縫製工場の生産性向上は製販連携(ファクトリーダイレクト)やTSS(TOYOTA Sewn-product management System)など生産プロセス革新によるべきで、低賃金労働に依存すべきではない。「縫製工場の業務日誌」(加藤良株式会社)というブログなど目から鱗の‘カイゼン’が満載だ。
 2014/01/24 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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