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「F.T」は大化けするかも
 「米国のしまむら」とも揶揄される大衆デパート「Kohl’s」を意識してイオンリテールが開発したという小商圏型ソフトライン複合業態「F.T」(エフティ)の第一号店を武蔵野線吉川美南駅前に見て来た。‘体験型コト消費’を謳って華々しく開業した巨大エンターテイメントモールの影で目立たないスタートとなったが、これが結構面白かった。
 吉川美南駅は12年3月17日に吉川と新三郷の間に出来たばかりの請願駅で、一日の乗客は2000人にも満たない武蔵野線で唯一、一万人を切る寂しい新開地だ。そんな立地に敢えて一号店を開いたという戦略性が、この業態の性格を物語っている。 
 「F.T」一号店は3500平米と「Kohl’s」「しまむら」のほぼ中間サイズで、立地もカテゴリー構成も両者に近似しているが、顧客層を30〜40代の若々しい主婦層とその家族に特化している点は「Kohl’s」に近い。テイスト別という衣料品の売場分類はリスク負担を背景としたベンダー別構成と表裏一体で、大衆NB主体の「Kohl’s」とも量販メーカー品主体の「しまむら」とも異なるモール商材と量販NB商材中心に構成されている。開発過程でワールドの全面支援を得た事もあり、「しまむら立地のフラクサス」という印象もちらつく。
 そんな衣料品の調達手法は開発過程の時限対応で、多店化とともにメーカータイアップ型のSPAモジュールが増えて行くのかも知れない。そう推察するのは、ホームリネンの一画がメーカータイアップによるSPAモジュールで構成されているからだ。特に完成度が高いのがベッドリネンとタオルで、カラーと柄でVMDが組まれた前者、素材を限定してカラーVMD展開した後者は一見の価値がある。
 衣料・服飾・靴・ホーム関連に集中してコスメ関連が欠落している事、衣料でもトゥイーンズ対応が欠落している事が指摘されるが、二号店以降に期待したい。レジの出口集中型は当然としても、FRが婦人服/紳士服とも見え難い奥側に配置されているのは課題が残る。レジカウンターの左右に開口部をレジに向けて集中配置しアドバイザーを置けば顧客利便に応えられるし、フィッティングサロンをオムニチャネル販売の拠点にする事も出来よう。
 修正すべき点は多々在るが、「F.T」はこれまでイオンリテールが手掛けたソフトライン業態の中で一番、可能性を感じさせる。オムニチャネル時代には大商圏の巨大モールではなく生活圏のコンパクト業態が消費の主役となるからだ。





 2013/12/25 09:23  この記事のURL  /  コメント(1)

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コメント

イオンさんは良いトライするのですけど、どうしても致命的な宿命を負っていますね。
そのブランドに惚れ込み、心中する位の思いを醸成できない事です。
本当にやり抜くのなら、きちっと少なくともその人事を5年は固定できるかという課題です。と私は思います。
Posted by:鈴木安喜雄  at 2013年12月28日(土) 19:56


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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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