« 前へ | Main | 次へ »
結局は量の論理?
 近年の「ユニクロ」の進化や「H&M」の急拡大には目を見張るものがあるが、玄人目には商品にもビジネスモデルにもそれほどの魅力は感じられない。ファストファッションのミニマムな品質を見ても「ユニクロ」の機能本位な量産規格品を見ても、「退化する消費文明」「イノベーションのジレンマ」とは割り切れないし、大風呂敷な戦略展開のパワーは評価出来てもビジネスモデルは古典的だしプロセス精度も怪しい。
 「H&M」は年間20コレクションも多頻度投入して4回転にも満たないし(前期決算では3.37回転)、外れ品をあれほど投げ売り処分しても60%前後の粗利益率が残るのだから、原価率は初期売価の四分の一程度と推察される。あの低価格をそんな原価率で実現出来るのは数百万枚のロットがあってこそで、ファストに投入してもスローにしか消化出来ないビジネスモデルの欠陥をカバーしているのは「量の論理」という事になる。
 「ユニクロ」は逆に年間4コレクションで6回転(13年8月期で国内は5.87回と推計)もさせるというマジックを実現しているが、誰もが必要とする生活機能パーツをお値打ち価格で単品量販補給する古典的なSPA論理が効いている。その要となっているのが初期売価の38%程度と推察される大手SPAでは例外的に高い原価率で、数百万枚というロットでは突出したバリューを発揮する。
 そんな「ユニクロ」にしても、ちょっと前まではローカルっぽい企画と野暮ったいカラーでグローバル展開が危ぶまれていたし(13SS以降、企画のグローバル進化には目を見張る)、パワーアイテムを欠く春/秋の売上比率が極端に低く(国内推定36.4%)、古典的な単品量販陳列は今も店舗要員に過大な労働を強いている。原点的なコンセプトのインパクトと高原価率・巨大ロット生産がもたらすバリューこそ突出しているが、ビジネスモデルとしては古典的で業務プロセスにも課題が多い。
 両者ともパワーコンセプトと巨大ロットで押し切る「量の論理」を大きくは出ておらず、ビジネスモデルも業務プロセスも改善の余地が大きい。さらに改善して成長を継続するか、より斬新でプロセス精度の高い(運営コストとロスの低い)ビジネスモデルに世代交代されていくか、結局は経営者の視野と力量次第なのだろう。
 2013/10/28 17:42  この記事のURL  /  コメント(0)

コメントする
名前:
Email:
URL:
クッキーに保存
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク


コメント


« 前へ | Main | 次へ »


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ