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店頭に学ぶECのVMD革新
 アパレルウェブの杉本さんとECのコンバージョン率(買い上げ率)について話す機会があったが、サイトを訪問した顧客が買い上げる率は通常千人に2〜3人、キャンペーン時でも同10人ぐらいだと聞いて驚いた。店頭ではOL向けの量販的な店でもピークタイムで千人に40〜50人、アイドルタイムでは千人に100人を超えるから、買い上げ率は一桁違う。固定客比率の高いプレタ店などではこの数倍の買い上げ率になる。ECの買い上げ率は店頭に較べて何故、こんなに低いのだろうか。
 実物を見て触って試着出来るモルタルとクリックの物理的な違いはともかく、店頭では買い上げ率や客単価を上げる様々な仕掛けが研究されて来た。買い上げ率を上げる最たる仕掛けが多重露出で、同一店内でコーディネイトする相手や色組みを替えて何ヶ所も陳列する。それも通常のハンガーや棚よりトルソーやT字、テーブルを使う方が遥かに効果的で、壁面陳列より島陳列の方が倍以上回転する。多重露出陳列にインナーや服飾雑貨を組み込んでクロスマーチャンダイジングすれば客単価も伸ばせる。この他にもコーナー毎に接客空間(姿見とスペース)を上手く配置すれば買い上げ率は確実に上がるし、フィッティングルーム脇にベルトバーを置いたりレジカウンターに低単価の雑貨を置くなどすれば客単価を稼げる。
 ECでも似たような工夫が行われており、『この商品を買った方はこれも・・・・』などと追加購買を訴求する画面が出て来たりするが、勝負のポイントは1)最短ページビューで欲しい商品に行き着けるよう階梯構成する、2)様々な切り口から欲しい商品にダイレクト誘導する(多重露出)に尽きるのではないか。
 階梯誘導は店頭でも買い上げ率を左右する基本で、シーンやテイスト、カテゴリーなどでコーナーへVP誘導し、コーナーの各ラックでは購買プロセス順に型/色/サイズの階梯順(MDによって型優先/色優先/サイズ優先と変える)を棚割り誘導する。この階梯誘導がMDの組み方を体現し顧客の購買プロセスと一致すれば買い上げ率は極大化する。テクニカルに右往左往するよりブランド/ストア固有のシナリオを確立して顧客の購買慣習を定着させるのが要で、ブランディング効果も大きい。
 そんな視点でECサイトのページ階梯構造を見直せば、買い上げ率も客単価も大きく改善出来るのではないだろうか。店頭では物理的に不可能なショートカットもカーテンビューもピンタレストもECサイトでは自在に駆使出来るから、階梯直行も多重露出もクロスマーチャンダイジングも面白いように仕掛けられる。ECサイトのVMDはまだまだ革新出来るはずだ。
 2013/09/11 13:05  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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