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『ユニクロVS.しまむら』
 かつて『ユニクロVS.しまむら』と同列に論じられたしまむらだが、「ユニクロ」がグローバルブランドに化けファーストリテイリング社が快進撃を続ける一方、しまむらの業績には陰りが見える。直近四半期(3〜5月)の国内ユニクロの売上が11.3%伸びたのに対ししまむらは3.8%しか伸びていないし、毎月の既存店売上伸び率を較べれば格差は一目瞭然だ。直近の8月など国内ユニクロの128.9に対してしまむらは96.2と32.7ポイントも格差が開いている。
 売上伸び率の大差をもたらしたのは客数伸び率の格差に他ならない。両巨人ともなれば国民的支持率の格差と言って差し支えないだろう。両者の格差をもたらした要因は大きく四つあると思う。
 第一は圧倒的な単品開発力の格差で、グローバルな開発組織で素材から開発するユニクロと仕入れ調達からようやく商品開発に踏み込み始めたばかりのしまむらでは巨人と赤子ほどの差がある。素材も品番も集約して単品量販を追求するユニクロと原則一店一点売り切り主義(アパレル商品)のしまむらでは売上規模以上の開発ロット格差が指摘される。
 第二はECサイトやSNSを駆使したウェブ・マーケティングの格差だ。国内アパレルブランド最大のEC売上を誇り(EC率3.3%と抑制気味だが206億円に達する)ウェブ広告やキャンペーンで何度も世界的な賞を獲得しているユニクロに対し、しまむらは未だECサイトさえ立ち上げていない。これではブランディング力に大差がつくのは当然で、先行ネット空爆を欠いては海外進出も制約されてしまう。ちなみにしまむらの海外店舗は台湾の36店と上海の4店のみで(13年8月末)、ユニクロの410店(13年5月末)とは大差がある。
 第三はグローバルなリテイリング技術革新の格差だ。ユニクロが店舗デザインからVMD、ロジスティクスやプライシングコントロールなど先行するグローバルSPAに学んで次々と最新技術を導入し、今や彼らからベンチマークされるほどに進化したのに対し、しまむらは十年一日のように技術革新に背を向けている。店舗もVMDも洗練を欠いて華が無く、外資ファストファッション店に較べるとみすぼらしくさえ見える。5%を切っていた値下げロス率も11年2月期からは公表しなくなったから悪化しているのかも知れない。
 第四は商品企画におけるグローバル感覚の格差だ。ユニクロが着々と開発チームをグローバル化し世界の一流クリエイターとコラボして商品企画を洗練させる一方、しまむらは社内スタッフの海外視察を増やす程度に留まり、ローカルな市場追従に終始している。このままでは海外進出も足踏み、グローバル化する国内市場でも劣勢を余儀なくされ、外資ファストファッションや「GU」にシェアを奪われて行くと危ぶまれる。
 しまむらのロジスティクス体制や店舗運営には学ぶべき事も多いが、マーケットのグローバル化とオムニチャネル化という奔流は同社のアドバンテージを見る見る突き崩して行く。このブログでも幾度か同社の時代ズレを指摘して来たが、今や正面から危機を指摘せざるを得ない。警鐘に耳を傾けないと巨人も膝を付く事になろう。
 2013/09/10 09:33  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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