« 前へ | Main | 次へ »
プチ氷河期でモードの歳時記はどう変わる?
 陽射しはようやく春の気配が感じられるものの、今年最大の寒波が来るとかで厳しい寒さが続いている。昨年に続いて冬は寒さが厳しく夏は暑く春秋が短くなったと感じる人が多いようで、巷でもウェブでも「プチ氷河期」の到来が囁かれている。
 「プチ氷河期」は17〜18世紀にもあったようで、NY湾が凍結したりテムズ河でスケートが出来たり、飢饉になってグリーンランドの人口が半減したりアイルランドから大量の移民が流出したり、日本でも飢饉による一揆が頻発したり、なるほどと思う記録が並ぶ。太陽活動の盛衰サイクルや北太平洋の海流循環の逆転などが要因と言われており、これから10〜20年は「プチ氷河期」が続くそうだ。20世紀以降の人間活動によって温暖化が進んだという仮説は宇宙レヴェルの変動の前では「不都合な真実」と化したのかも知れない。
 それはともあれ、「プチ氷河期」が続くとなればモードの歳時記も一変してしまう。「プチ氷河期」は単純に寒くなるのではなく夏は逆に暑くなり、狭間の春秋が短くなってしまうのだ。となれば、情緒細やかな日本の四季は崩れ、冬も夏も厳しく春秋が短いNYやPARIS、LONDONのようなシーズン展開になってしまうのだろうか。
 欧米市場では春秋の狭間が短く、秋立ち上げに遅れる事なく防寒アウターが出揃い、春の立ち上げからリゾート商品が並ぶ。旅行需要もあるとは言え春秋が短い事が大きく、欧米アパレル業界のシーズン展開は「AW+プレフォール」と「SS+クルーズ」のビッグ2+ミニ2が主流となっている。対して日本では80年代までは初秋/秋/冬/梅春、春/初夏/盛夏/晩夏の8期展開が主流だったが、バブル崩壊以降の衣料消費の衰退と生産の海外移転による素材流通市場の萎縮、カジュアル化とレイヤード化による季節感の希薄化、QRによる売れ筋の深追い、などが重なって秋や梅春、晩夏などが細り、欧米型?に近づいて来たという経緯が指摘される。
 そこに「プチ氷河期」が加わるのだから、ますます端境シーズンは細り、AW期は秋が飛んで初秋+冬になりかねず、QRの冬物ばかりでは12月に入れば値崩れしてしまう。SS期はアジア亜熱帯的な特性もあって春/初夏/盛夏のシーズン区分は崩れないと思うが、値崩れや残品リスクを恐れて前倒し投入が年々加速し、夏物が三月中、晩夏物がGW前に立ち上がる状況では、6月に入ればプロパー販売は難しくなる。売場の鮮度を保ってプロパー販売期間を伸ばすにはAWは梅春期、SSは晩夏期を大きく仕掛けるべきであろう。
 「プチ氷河期」に伴うウェアリング変化は極めて欧米的で、防寒アウターの下でサーフアイテムやリゾートアイテムを前倒しで楽しむという日本的クルーズ傾向は既に昨春から散見され、今年は一段と広がりを見せている。ゆえにSS期は初夏物、夏物の前倒し投入は止め難く、GWに夏物の山を越え、GW明けから晩夏物を大規模に投入して7月まで引っ張るしかない。夏バーゲン明けにはトレンド鮮度の高い初秋物を立ち上げて残暑が残る9月に山を設け、体育の日を過ぎたら冬物に切り替えるが11月末のQR投入は抑制し、11月半ばには梅春物を打ち出して売場の色彩を春に切り替えて値崩れを避ける、というのが賢明なシナリオと思われる。
 2013/02/25 09:15  この記事のURL  /  コメント(0)

コメントする
名前:
Email:
URL:
クッキーに保存
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク


コメント


« 前へ | Main | 次へ »


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ