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陳列も接客も「定数定量」
 19日の伊勢丹出撃は混雑に負けて買い気を失い這々の体で脱出する羽目になったので、一週置いた26日、意を決して再出撃を試みた。何時も家で着ているセーターには穴が空き、一昔前のモコモコなダウンジャケットはジッパーが壊れるに及び、ルン妻にきつく購入を促されて追い出されるように朝一で新宿に向かった。
 開店直前に本館パーキングに滑り込みメンズ館に直行すると、先週末とは打って変わって館内は閑散としており、品出し陳列に勤しむ店員さんばかりが目立つほど。何より先週末と違っていたのは売場の在庫量で、大量に詰め込んだ陳列はとてもじゃないが選び難く買い気を萎えさせたが、セールの熱気が一巡した今週末は売り減らしが進んだのか、どの売場も「定数定量」に準じたすっきりした陳列に替わり、見やすく買い易く一変していた。
 それより買い気を進めてくれたのは接客の「定数定量」であった。セール二週目の朝という事もあって客数が疎らなため店員さんの対応もスムースで、大混雑で難渋した先週とは一変して丁寧に対応してくれた。『こんな商品のこの色このサイズ』とお願いすると、『何処にこんな商品があったのか』と思うほど目星しい品が次々と出て来るから魔法のようで、パーキングが終日無料になるほど大量購入してしまった。
 自前の店員さんはフロアの在庫状況に精通しているのはもちろん全館の品揃えも大枠は掴んでおり、最新のモードトレンドにも敏感でキーワードをすぐ理解し、周囲の派遣さんとの連携も絶妙で、『さすが天下の伊勢丹』と現場の力量を再認識させられた。天下に誇るべき現場の精鋭を活かすも殺すも経営者次第で、接客の「定数定量」が如何に大切か再認識すると同時に、過小な売場で過大な売上を強いるこの百貨店の根本的な問題点が浮かび上がる。
 販売効率が高すぎるゆえにブランドは過小な売場に圧し籠められ、「定数定量」な陳列では並べ切れない在庫がストック室に溢れ、売場スタッフは在庫を探してストック室と売場を煩雑に往復せざるを得ず、顧客は売場を見ただけでは品揃えの全体が見えず、「定数定量」な接客で初めて適切に選択し購買する事が可能になる。こんな実情がどれだけ販売を阻害し、お客様に見てもらえない商品が販売機会を逸するか、果たして、この百貨店の経営陣は身体で理解しているのだろうか・・・・・
 思い返せば、今回の改装計画が発表された時、私は昨年1月27日付『伊勢丹本店の自殺行為』、同30日付『伊勢丹新宿本店再生策』と本ブログでこの問題を指摘したが、果たして今回の改装では改善されたのだろうか。5館一体となっての物流導線の抜本改善と売場面積の大幅拡大という最重要課題を解決して次世代に渡すとなれば、阪急うめだ本店のように全面建て替えを決断すべきではなかったか。最高経営責任者として命を賭けるべきはバーゲン時期問題などではなく、もっと長期的根本的な所に在ると思う。
 2013/01/28 09:18  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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