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JR大阪三越伊勢丹を「ルクア2」に転換
 昨年5月に開業したJR大阪三越伊勢丹は初年度売上が予算の550億円に対して六掛け以下の310億円に留まり、隣接して同時開業したルクアが予算の250億円を五割近くも上回る370億円を売り上げたのと明暗対照されたが、JR大阪三越伊勢丹の業績不振は運営会社のジェイアール西日本伊勢丹に出資している三越伊勢丹ホールディングス(出資比率40%)とJR西日本(同60%)の連結決算にも影を落としている。
 三越伊勢丹ホールディングスは12年4〜9月期に特別損失として約80億円、同じくJR西日本は約188億円も計上する結果となり、業績が改善されなければ翌期以降も損失の垂れ流しが避けられない。開業二年目に入って2〜4%改善されていると発表しているが、その程度では黒字転換にはほど遠い。JR大阪三越伊勢丹の売上を当初予算まで引き上げて出資両社の損失負担を解消するような奇策が果たして在り得るのだろうか。
 苦境を招いた最大要因が梅田地区4番店ゆえのブランド集積の貧弱さであったから、JR大阪三越伊勢丹の不振が広く知れ渡り、阪急梅田本店が8万平米に増床開業した今となっては有力ブランドの導入はさらに困難で、百貨店業態として浮上出来る方策があるとは到底、考えられない。ブランドの際を超えた編集に活路を求めるには買取が不可欠だが、伊勢丹と言えども買取は数%に過ぎず全面買取に踏み切る英断は期待出来ないし、例え強行したとしても編集売場に馴染めない関西客が受け入れるとも思えない。唯一の奇策は大半の有力ブランドを押さえ込んでいる阪急百貨店へのパートナー交代だが、隣接する本店を8万平米に増床した後だけに、さらに5万平米を抱え込む実現性は薄い。もはや百貨店事業者による浮上はあり得ないと見切りを付けるべきであろう。
 ファッションビル化を考えても、梅田地区には類似施設が犇めく上に昨春のルクアに加えて来春には北口にルクアの倍スケールというグランフロント大阪が開業するから、目星いブランド/ストアは出尽くした感が在る。家電の大型量販店はヨドバシが目立つ程度で出店余地はあるが、エコポイントと地デジで需要を先食いしデジタル家電の値崩れで売上が急落している上にショールーミングが広がればお先真っ暗で、大型家電店をキーとしたカテゴリーキラー複合商業施設化も困難と思われる。
 残る選択は望外の成功を果たしたルクアの拡張、すなわち「ルクア2」への転換であろう。目星しいテナントは出尽くしたとは言え、ルクアに収容し切れなかった駅ビル/ファッションビル系のブランド/ストア、日本未進出の外資SPAは少なからず存在するし、ちょっと尖ったストリート系やクリエイティブ系、グラマラス系のテナントもルクアなら違和感無く取り込める。ルクアではライフスタイル系やファミリー系、キッズ系のカバーは限られたから、ちょっと工夫すれば郊外SCとは一線を画した面白い構成も可能だろう。
 過去の成功体験に囚われて打つ手が限られる大手百貨店や専業デベロッパーに期待するより、リアルにマーケットを捉える若手が牽引するJR西日本SC開発が手掛ける方が遥かに成功率は高いと思われる。JR大阪三越伊勢丹の出血は多量でJR西日本の損失負担は容認出来る限界を超えているから、一刻も早くJR大阪三越伊勢丹の「ルクア2」への転換を決断すべきであろう。
 2012/11/05 10:26  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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