行って来ます
 木曜日夕刻から半期に一度のSPACビッグコンベンションを開催。日米の経済・消費動向からファッションビジネスの個別企業動向まで総括し、目一杯暗澹たる経営環境を訴えて目一杯シリアスな戦略対応を提じました。まさにファッション業界の玉音放送か告別式といった政策提言に参列者は身が引き締まる思いだったでしょう?目一杯暗かった私の政策提言の後、パルグループ総帥、井上英隆様がシリアスな現実を直視しながらも人柄溢れる温かい経営観をお話し下さり、皆さん救われる思いがしたのではないでしょうか。井上様、有難うございます。9月のSPAC研究会はお待ちかねの「最新出店戦略総研究」です。乞う御期待!!
 週末はこの夏最後の骨休みという事で、ルンルン妻とスヌーピーを連れて箱根VIALA翡翠へお泊まりに出掛けました。これで3回目ですが、まるで隠れ里の桃源郷のような落ち着いた雰囲気に惚れて通ってしまいます。大山町のお家からドアツードアで75分ほどで行き来出来る気軽さも手伝って、温泉付きの和食オーベルジュ感覚で気楽に楽しんでいます。紅葉の季節になったら、また出掛けましょう。
 今週半ばからJALのシェルフラットシートに乗っていやいやNY/ボストンに行って来ます。“ギリーヒックス”も見なくては!来週にはその報告も出来るでしょう。
 2008/09/01 14:26  この記事のURL  /  コメント(0)


チャラチャラしないで

 水曜夜にはニューヨーク・セレブ感覚のヴィンテージリッチな新ブランドが青山でフラッグシップストアのレセプションを開き、銀座でも某セレクトストアが新店をお披露目し、どちらも編集者やスタイリストなど華やかに着飾ったお姉さん達が群がっていたとか。新ブランドの方はそれなりにヴィンテージ・ディティールに凝った艶やかなコスチュームが揃っていましたが「セックス・アンド・ザ・シテイ」的チャラチャラ感は否めず、その割りには高めに付けられた値札にも腰が引けました。通勤用のセットアップやパンツ、シャツ、ツインニットなどキャリアのライフスタイルに根付いたコアな質実アイテムが抜けており、どうやって売上を取るのだろうと不安になりました。パーティばかりで日々、暮らすわけではないでしょ!!
 生活防衛下でセレブやラグジュアリーは死語になったはずなのに、今さら「セックス・アンド・ザ・シテイ」だセレブな新ブランドだと盛り上がるファッション業界人の能天気ぶりには驚くしかありません。華やかに着飾ったお姉さん達も見た所30代〜40代の艶な年増でチャラチャラした服が似合うとも思えず、世相と遊離した別世界の様に唖然とするばかり。無責任な編集者に乗せられて在りもしないマーケットに踊った「アラサー」の痛手に懲りもせず二の舞いを演じる業界の軽薄さは救いようがありません。私の感覚がしみったれているのか彼女達や業界の一画が浮ついているのか、遠からず時代が答えを出すのでは。
 2008/08/28 10:52  この記事のURL  /  コメント(0)


まっとうな世界

 先週の木金と月例の『販売情報交換会』を開催しましたが、レディスでは秋冬物が順調に投入され新たなルックや売れ筋も報告されたもののメンズでは御盆が明けても晩夏物主体で秋冬物の投入が進まず、当然ながら新たなルックや売れ筋の報告もほとんど無く2ヶ月連続のお通夜となってしまいました。ファッション不況下でもレディスはそれなりに頑張っているのにメンズは逃げ腰一辺倒で不甲斐無く、最近の男女関係を思わせる体たらくにホントむかつきました。
 ファストアパレルに関してWWDの取材と執筆があったので「今時、トレンドとパーティの記事ばかりではKYに過ぎるんじゃないの」と嫌味を一言。メンズの『販売情報交換会』でカルロ黒部(オンワード樫山のメンズ商品開発室長)に「ラグジュアリーブランド業界は未だパーティ三昧の日々なの」と突っ込みを入れたところ、「相変わらず派手なパーティが続いてる」との御返事。店頭からは客足が引いているのに能天気に過ぎるんじゃないの。彼等だって中国やロシアへの転勤が迫ってるはずですが。
 新たに入って来る仕事は販売不振SCのリモデル企画や差し入れ保証金の流動化/保全対策のスキーム開発などシビアな案件ばかりで、楽しく浮ついたお話は皆無。こっちの方が地に足が付いたまっとうな世界のように思えるのですが。
 2008/08/25 11:16  この記事のURL  /  コメント(0)


アパレルは水商売?

 また懲りもせずデューデリをやってます。眉唾ものの拡大戦略の果てに行き詰まったアパレルの再建策を検討しているのですが、商品企画と拡販戦略だけで出店戦略もMDも在庫コントロールもプロセスマネジメントも無いに等しい内情に唖然とさせられます。まさに必然に因る破綻と言うべきでしょう。傍目には上手く行っているように見えても仕組みがまったく出来ておらず、偶然に因る成功を実力と勘違いして暴走し悲劇的な結末に至りそうなケースが業界には少なからず見られます。流れに乗っている時に「こんなやり方はヤバいんじゃないの」とアドバイスしても「大きなお世話」と無視されるだけで、風向きが変われば一気に破綻の坂を転げ落ちてしまうものです。「アパレルは水商売」と昔から言われますが、その体質はほとんど変わっていないのでは。精緻な戦略とプロセスマネジメントを提じても聞く耳を持つ人はわずかで、砂漠に水を注ぐようなもの。こんなアホな業界に身を投じた人生が空しくなってしまいます。結局は知性など定着しない業界なのでしょう。
 成功の図式は ギャンブルな商品企画
        ×MD展開×ロジスティクス×プロセスマネジメント
        ×コストマネジメント×出店戦略
        ×ブランディング戦略 
        ×経営意志
だと思うのですが、掛け算ですから何かが卓越していても何かが低劣だと100×0=0になりかねません。MD展開〜出店戦略の5項目は理性と英知でコントロール出来るにしても、ブランディングは水物、ましてや商品企画はギャンブルそのもので結果オーライの世界。経営意志ともなれば狂人と天才は紙一重と言わざるを得ません。理性の5項目をどんなに精緻に仕組んでも、ギャンブルな商品企画と狂気の経営意志のリスクはカバーし切れないのが現実です。ギャンブル嫌いな私が指揮する当社は理性の5項目に立脚するコンサルティングファームであり、商品企画でさえ定性分析の精緻なマトリックスで組み上げています。ギャンブルとクリエイション至上のお水業界で理性と英知を貫く孤高は空しいのかも。
 2008/08/21 10:46  この記事のURL  /  コメント(0)


チェルシージャパンが愛犬家に宣戦布告!!

 箱根VIALA翡翠の帰りにスヌーピーを連れて半年ぶりに御殿場プレミアムアウトレットに立ち寄ってみましたが、どの店もペットお断りに変わっていて入店出来ませんでした。顔見知りのスタッフに聞いてみたところ、チェルシージャパンの方針で全国のプレミアムアウトレットが一斉にペット入店禁止になったとの事。モールは連れて歩けますが店内は抱えてもカートに乗せてもダメという徹底した方針で、事実上ペット閉め出しを断行したもの。これは愛犬家に対する宣戦布告であり、ペット同伴客は三井アウトレットパークに鞍替えせざるを得なくなりました。
 ホームページの利用規定の中を探せばペット同伴規定が小さく明記されていますが、わざわざそこまで探してチェックする人は少数で、行ってみて唖然とする人が大多数なのではないでしょうか。わざわざ遠出して買い物も出来ずに退散するとなると怒り心頭となる事は請け合い。百貨店や路面のブティックでも抱えたりカートに乗せればペットの入店は可能で、何故チェルシーだけが全面拒絶するのか理解に苦しみます。不況でアウトレット人気が過熱する中、ペット同伴客ぐらい切り捨てても売上には響かないと高を括っているのでしょうが、愛犬家の反発は想像以上に拡がるのでは♪♪♪♪♪♪♪♪〜(チャイコフスキー“1812 OVERTURE”のクライマックスが流れています)
 2008/08/18 10:19  この記事のURL  /  コメント(0)


等身大の選択
 ラグジュアリーもセレブも死語になった陰り行く美しき落日の日本。もはやスノブを気取るのは最悪のKYで、ハイスタンダートな等身大ライフスタイルを楽しむのが心地よい。ラグジュアリーブランドにも宝飾時計にも目を背けて慎ましい日々を送る中、等身大ライフスタイルのハイスタンダードな必需品だけは欠かせません。
 GWの直前に買い替えたE350ステーションワゴン4MATICは272psとクラウンが296ps(ハイブリッドは+モーター200PS)という今日では決してハイパワーとは言えないものの、静粛かつスムースで小気味良いほど振り回せる運動性能、高速コーナリングの食い付くような接地感(2WDのベンツとは比べ物になりません)、箱根のダウンヒルでも一切ブレーキングを必要としない秀逸のエンジンブレーキ(傾斜Gや速度でシフトダウンを自動選択してくれる)にはいたく満足しています。加えて、一切の過剰も不足もない完成度の高いスタイリングと高質で機能性に徹した内装に惚れ込んでいます。550やAMGは歌舞いた見てくれと大食らいが下品としか思えず、Sクラスは鼻先の長い大型クルーザー的運動性能が爺むさくて好きになれません。善くも悪くもE350ステーションワゴン4MATICは私の等身大そのものなのでしょう。
 この夏、もうひとつの等身大ハイスタンダードアイテム?を購入しました。前から検討していた東急ハーヴェストクラブの会員権で、前出のベンツ君よりちょいお手頃な等身大価格で済みました。この夏休みに旧軽井沢、箱根VIALA翡翠とさっそく使ってみましたが、旧軽井沢はハイスタンダードな品質感と最高の立地に満足、箱根VIALA翡翠はハイアットリージェンシー箱根を凌駕する高質感と三ツ星級の和食ダイニング、爽やかで清潔な温泉にちょい感激しました。リッツカールトンやフォーシーズンズなど、アメリカ人の考えるラグジュアリーの不要なテンションと嘘っぽさには食傷気味でしたから、箱根VIALA翡翠のラグジュアリーを越える落ち着いた高質感には救われる想いがしました。ここは最高ですよ!!
 別荘ほど金を食わずメンテの心配も無く洗練された高質なサービスを享受出来るハーヴェストの会員権は、私にとって等身大の合理的選択と言えましょう。軽井沢の別荘も決して諦めた訳ではありません。何時か等身大で無理が無く魅力的な物件と出会えば、合理的な選択が行われる事になるのかも。
 2008/08/13 19:09  この記事のURL  /  コメント(0)


今時不要な巨大SC
 国内最大のSCとして注目される“イオンレイクタウン”が10月2日、武蔵野線越谷レイクタウン駅前に開業します。商業施設面積218,483平米にジャスコ他565店を集積する巨大モールで、駅と繋がる“KAZE”、道路を挟んで2階のブリッジで繋がる“MORI”の2棟から構成されます。3層トライアングル型レイアウトを採る“KAZE”にはビブレやスポーツ/家電のカテゴリーキラーが核的に配置され、郊外SCと駅ビルのハイブリッド的構成。3層の細長いレイアウトの“MORI”はジャスコとオートモールを核にファミリー系やライフスタイル系などで構成されています。バロックジャパンのアズール・マウジー、ユナイテッドアローズのコーエンなど、ここが1号店となる新業態も注目でしょう。
 確かに国内最大のSCとなりますが、果たして今時、こんな巨大SCが必要なのでしょうか?駅から“MORI”の端までは1000m以上あって歩くと15分はかかりますし(3層モールを一周するだけで1時間はかかりそう)、565店もあると玉石混交となって似たような店の重複が避けられません。“ららぽーとTOKYO−BAY”も商業施設面積188,000平米と巨大ですが中庭を囲んでほぼサーキット状のレイアウトになっていて頑張れば一周出来そうですが、全長1000mの直線的モールを歩き切るには相当の苦痛が伴うのではないでしょうか。結局は自分に必要な一画で買い物を済ませ、這う這うの体で退散する事になるのでしょう。駅に近い“KAZE”はともかく、“MORI”の駅から遠い区画や3階は回遊が危ぶまれています。巨大なスペースを埋め切るためにゾーニングも妥協を重ねたようですから、関連購買を効率的に(短い歩行距離で)済ませるのはちょっと難しそう。
 巨大ゆえに広域商圏が必要で自動車30分圏の140万世帯/330万人を想定していますが、ガソリンが200円/Lに迫る今時、既存の巨大モールは皆、車商圏の縮小に苦しんでおり、相当に無理がある期待と言わざるを得ません。元々、足元/広域ともカーアクセスに難がある立地ですから、開店当初は物珍しさで広域集客出来るにしても、半年も経って落ち着けば商圏の収縮は避けられないでしょう。“MORI”の回遊が苦しい区画からは撤退店舗が出始めるのでは。
 不況が深刻化し生活物価が高騰する中、生活防衛姿勢を強める消費者の購買半径は急速に縮小してコンパクトな近隣商業施設にシフトしているのに、企業の威信にかけて誰も求めていない巨大SCを作ったつけはいったい誰に回るのでしょうか。
 2008/08/07 16:47  この記事のURL  /  コメント(0)


マイレージ様様です

 6月からJALとANAを天秤にかけてすったもんだした挙げ句、リミットぎりぎりの今日になってようやく9月の米国調査全旅程の予約がJALで確定し、さすがに肩の荷が降りました。何せJALとANA合計して415,000マイルも溜まっており、使わないと消えてしまうので無料航空券での予約を狙っていたのです。幸いにも米国内の一部を除いてフリーでビジネス席を確保する事が出来ました。同行する3人の部下の分は同じ旅程でちゃんと有料のエコノミーチケットを確保しましたが、運賃は130,000円ほどなのに燃油サーチャージが65,240円も加算されるのはちょっと驚き!!でも、私のビジネス料金がセーブ出来たのは有り難かった。マイレージ様様という訳です。
 米国も欧州も業務上いやいや行っているだけで、国内の温泉旅行や軽井沢滞在しか興味がありませんからマイルを使う機会が少なく、ショッピングマイルが溜まる一方なのです。南仏やハワイもいいけど愛犬スヌーピーをペットホテルに長く預けるのが可哀想で、どうしても国内のペット同伴可のホテルを探してしまいます。先週末も軽井沢のコテージで森を抜けて来るひんやりとしたそよ風を満喫していました。この週末から始まる夏休みもスヌーピーと軽井沢で過ごしたい!!
 2008/08/05 19:14  この記事のURL  /  コメント(0)


秋トレンドときちんと系アイテム復活

 毎月末に近付くとMDコーディネーターが各タイプ別の最新注目/主流ルックを70体以上の繊細なカラーイラストで報告して来ます(SPACレポートにMD展開の解説付きで掲載されます)。この7月末も秋立ち上げの様々なルックが報告されましたが、ボヘミアン〜フォークロアと流れるフェミニン系レイヤードにはさすがに飽きが来て、ボーイッシュ〜マスキュリンを軸にブリット/ロック/80'Sパンキッシュと様々にリミックスする流れの方がうんと新鮮に感じます。中でも目立つのが様々な丈のベスト/ジレとタータンチェックアイテムで、8月末の売れ筋になるのは確実。ボトムではクロップドからサルエルまで様々な中途半端丈パンツとミニプリーツスカートが主力になりそう。一番割を食うのは2周回って飽きの来たワンピースでしょう。とは言ってもゴシック×ロマンティック×バンキッシュの‘ゴスロリ’は秋へ向けて一部で盛り上がるかもで、フリル/ティアード満載のブラウス/スカートに加えてワンピースも可愛い。
 そんなカジュアルトレンドの一方でOL〜キャリアの通勤服も再評価されており、フリルデザインのブラウスやカットトップス、テーラードジャケット、ハイウエストのタイトスカートなどが既に動きだしています。レイヤードトレンドに流されて月々の通勤ワードローブを崩してしまった春夏の反省から、ブランド側もお客様もきちんと系アイテムを再構築しようとしているのでしょう。景気が冷え込んで各客層がそれぞれに等身大な生活スタイルを模索する中、OL〜キャリアできちんと系アイテムが復活するのは当然の帰結だと思います。

 2008/07/31 11:37  この記事のURL  /  コメント(0)


斜陽の美学

 先週の木金と月例の『販売情報交換会』を開催しましたが、今年は一部タイプ/ブランドを除き秋物の立ち上げが大幅に遅れており、例年なら7月末の会で秋物の売れ筋報告が上がり始めるところがまったく上がらず、現実の厳しさに一同、シュンとしてしまいました。夏物在庫を大量に抱えて在庫枠がパンパンなのに加え、今必要な物しか売れない御時世では晩夏プロパーに在庫を割くしかなく、本格的な秋物投入は8月に入ってからというブランドが大半の様です。
 6月の販売成績は『6月の惨劇』で私が予測した通りになり、業界平均で既存店前比は85%前後まで落ち込んでしまいました。その分、7月は昨年の反動で二桁増になるはずなのですが、24日段階では都内百貨店は一桁半ばぐらいが多く、中には前年カツカツの店も。メンズは景気後退に直撃されてレディス以上に夏物在庫が積み上がっており、秋物立ち上げはまだディスプレイ程度。当然、売れ筋報告は新味のない夏物/晩夏物ばかりで、金曜のメンズ会はお通夜のようでした。もはや業界の活路は中国大陸しか無いという切羽詰まった情況で、大手流通業の幹部は中国転勤の悪夢が頭を掠めるとか。
 アパログを見ると上海や広州で活躍してる方もいらっしゃるようですが、私はあんなイモラルでルールの怪しい国とは関わりたくない。北京オリンピックも勝手にやったらいい。滅び行く美しい日本と静かに沈んで行く方が私の美意識に適っている。斜陽の美学とでも言うのでしょうか。そんな週末は川本三郎の『荷風と東京』を読み返してしまいます。洋行帰りなのに江戸の昔を慈しんでモダンな東京を疎んじ、山の手人種なのに下町の鄙港に遊んだランティエの情念に共感するものがあります。
 そう言えば一月ほど前の新聞に川本さんの愛妻、恵子さん(服飾評論家)が亡くなったという記事が出ていました。7つ年下の恵子さんを川本さんはきっと溺愛していたのでしょう。氏の悲しみは想像に余り在るものがあります。同じくらい歳の離れた我が家のルンルン妻がいつまでも元気であります様、つい祈ってしまいました。
 
 2008/07/28 10:15  この記事のURL  /  コメント(0)


必然の成功に注力せよ

 ファッションビジネスの消長を見ていると『企業は偶然に因って成功し必然に因って自滅する』というジンクスを実感します。新たなブランドが当たるかどうかは大なり小なりギャンブルと言わざるを得ませんし(実際、大手企業による新ブランドでも離陸率は2〜3割に留まっている)、大枚賭けたメディア露出の仕掛けも人気沸騰に繋がるとは限りません。商品企画やブランディングは時流に左右される水物という性格が強く、成功するか否かは結果論というのが実態でしょう。しかし、MD展開やその売場表現たるVMD、配分・店間移動・再編集といったロジスティクスはテクノロジーとプロセスマネジメントの世界ですから、最新の技術で緻密に組めば確実な成果が期待出来ます。
 ところが、大部分のファッションビジネスはこれらマーチャンダイジングからロジスティクスまで一貫するプロセスが未整備で、個々の技術も自社の経験則に頼っているのが実態です。情況に流されて右往左往するうちに深夜まで業務が及ぶという姿が一般的でしょう。これでは当たる商品企画も活かし切れないのではないでしょうか。きちんとプロセスを整備すれば残業は無くなり、チャンスにも即応出来るはずです。
 当社は企画会社ではありませんからギャンブルな商品企画は提供していませんが、マーチャンダイジングからロジスティクスに至るプロセス設計とその実行に必要な最新技術を、個々の企業に最適にアレンジして提供しています。VMDもマーチャンダイジングからロジスティクスを一貫する在庫運用・陳列表現技術として位置付け、ブランディングに繋がる洗練された技術体系を確立しています。オリジナルなソースに基づいてテクニカルなMD展開計画を組むというマーチャンダイジング業務(商品企画ではありません)も卓越した水準と自負しています。偶然の成功ではなく必然の成功をもたらす事が当社の使命なのです。
 かつてないほどの逆風に業界が晒される中、偶然の成功に頼るリスクはあまりに大きく、必然の成功に注力すべき時と思われます。
 
 2008/07/24 14:18  この記事のURL  /  コメント(0)


当社はビジネススクール

 募集していたレディス担当MDコーディネーターがようやく決まり、肩の荷がひとつ降りました。109系ブランドでデザイナーをしていた美大出のお嬢さんで、当社の希望にピッタリの方です。残るはメンズ担当ですが、どなたか適切な方がいらっしゃいませんか(男女不問、詳細はこちら)。商品企画やバイヤーの経験があって“アバクロ”の味が解るカジュアル大好きな方が来てくれると嬉しいのですが。
 一連の募集で何人かのデザイナーを面接しましたが、お勉強のチャンスを与えられていない人が多いのは意外でした。僕らの若い頃はデザイナーもバイヤーも毎シーズン、パリ/ロンドン/ミラノやNYを視察するのが当たり前でしたが、何年も勤めて一度も無いとか一度だけとかいう人ばかりで、ちょっとビックリ。コレクション報告セミナーも毎回は行かせてもらえないと聞いて、もっとビックリ。インプットしないでアウトプットばかり求める企業側の姿勢には疑問を感じました。
 せっかく専門教育を受けた人達がきちんとした研修や視野を広げる機会を与えられず、一番伸ばせる若い時を浪費してしまうのは可哀想と言うしかありません。技術を体系的に教え視野を広げる機会を与えれば、意欲のある若い人はしっかりとステップを登って行くものです。2〜3年も磨けば蝶に化ける人も出てくるでしょう。それが楽しみでMDコーディネーターを育成しているのかも知れません。
 当社で東京ローカルからパリ/ロンドン/ミラノ/NYまでマーケットとブランドを見る目を養い、スタイリングとMDを組み立てる技法を毎シーズン積み上げて行けば、MD/バイヤーはもちろんディレクターにも化けられます。感性の画素数も桁違いに高密度になるでしょう。当社は真っ当な給与を支払ってMDのプロを育てる希少なビジネススクールなのかも。
 2008/07/22 09:51  この記事のURL  /  コメント(0)


『09SS版MDディレクション』が完成します

 『09SS版MDディレクション』の製作作業もようやく峠を越え、レディスは全12テーマの素材ボードも完成してヘッドラインも固まり、今週中にはフィニッシュ出来そう。メンズも全6テーマの素材ボードが完成してヘッドラインを残すのみですから、数日の遅れでフィニッシュ出来るでしょう。レディスは25日からメンズは30日から契約企業へのディレクションが始まります。
 当社のディレクションは「ブランド別販売動向と客層別スタイリング動向をクロスしてマーケット変化を掌握し、客層別のライフスタイル/スタイリング志向に受け入れられるトレンドをリミックスしてMDテーマを設定する」という手法を採っていますから、コレクション世界のトレンドより国内市場動向を強く反映する等身大な性格と言えるでしょう。今シーズンを総括して来シーズンを予測する為、SS版は7月末、AW版は12月末から提供しています。コレクション総括型のディレクションとは製作方法も提供時期も異なり、国内市場の客層別動向を正確に反映する事を重視しています。
 各MDテーマもコアスタイリングから展開する着回し巾を設定した上でアイテムの展開手法(ディティール/カラー/素材・柄/加工など)と素材構成、カラーリングをビジュアルに表現するもので、MD企画実務に落とし易く構成しています。
 導入を検討される企業は来社してディレクションブックの説明を受けるか、8月7日開催の『09SSのMD戦略ゼミ』(詳細はこちら)にお申し込み下さい。
 2008/07/16 16:53  この記事のURL  /  コメント(0)


ローカルとグローバルの選択

 07年前半までの景気回復局面とSC開発ラッシュの波に乗って拡大して来た企業が悉く壁に当たり、売上と収益が急激に悪化しています。店舗オペレーションやロジスティクスの仕組みを確立しないまま拡張して来たツケが一気に吹き出し、対策に右往左往する内に消耗して動きが取れなくなっていくという、“死に至る病”の死臭が業界に色濃く拡がっています。もとより苦戦していた企業は損益ラインを割り込んで赤字が膨張し存続を問われる情況に陥り、セレブだリッチだと派手なプロモーションを仕掛けていた新興企業も売上不振に色を失っています。企業の清算や破綻が急増し、その連鎖で行き詰まる企業も続出しています。かつてない氷河期の到来に戦線を縮小して生き残らんとするリストラがまた周辺を萎縮させ、縮小均衡のスパイラルがどんどん加速しています。もはや一切の光明が消え果てた暗黒の中を手探りで這いずっている情況で、いったい業界はどうなってしまうのでしょうか。
 そんな阿鼻叫喚の世界にも、まだ元気な企業は存在します。それは癖のある商品でマイナー市場を上手く捉えているローカルビジネス、突出したバリューのポピュラーな商品でメジャー市場を制圧しているグローバルビジネス、という両極のビジネスに他なりません。中間に犇めく癖のない商品(OEM調達の弊害ですが)を重なった大衆市場に供給するナショナルビジネスは同質化と過剰な店舗間の食い合いで悉く行き詰まりつつあります。
 ローカルビジネスで走れるのは1業態で3ダース(36店舗)まで、グローバルビジネスへと抜け出るのは10ダース(120店舗)以上、というのが多くのビジネスを見て来た私の経験則で、苦境に在る企業の多くはローカルの壁を超えてしまった企業とグローバルの壁を超えられない企業のどちらかのようです。あえてローカルビジネスに留めて多業態化するのもひとつの見識ですし、国内業界は末期的情況に在ってもBRIC'sのファッション市場は急成長していますから、グローバルの壁を超えて海外に活路を求めるのも当然の選択と言えましょう。もはやチャンスはローカルとグローバルにしか在りません。貴社は何処へ行くのでしょうか。
 2008/07/14 11:19  この記事のURL  /  コメント(0)


夏の終わりとともに消えて行くブランド
 予想された事とは言え、不振ブランド/業態の撤収が拡がっています。まだ公表されていないものも含め、この夏の終わりとともに消えて行くブランド/業態は10や20では済みません。事業部や会社ごと無くなる話もチラホラ聞こえてきます。社内の他事業に移籍出来る営業系はいいけど、新規プロジェクトがほとんど皆無という情況ですから、企画系の人材は難民化する人が増えているようです。そんな中からいい人材が当社のMDコーディネーターに応募してくれれば良いのですが、物づくりに固執する人が多いのか未だ欠員状態。いい人いたら是非、応募を勧めて下さい(こちらをクリック)。
 不振ブランド/業態の撤収は百貨店やSCを直撃し、この夏の終わりには穴埋め催事売場やシャッター店舗が急増しそう。もとから販売不振のSCなんかシャッター街になりそうで、SCデベロッパーの破綻も懸念されます。それがまたテナント企業の経営を圧迫し、撤収を加速するのでしょうか。業界は真っ青真っ暗。悲劇の連鎖はどこまで拡がるのでしょうか。
 2008/07/10 09:52  この記事のURL  /  コメント(0)


時代の気分にピッタリ
 先週は関西某タウンセンターのリモデル構成企画を仕上げる一方、ネットベンチャーのトップと会談したり郊外SC向け新業態のプロトタイプを監修したり、『09SS版MDディレクション』を詰めて行くうちに週末となってしまいました。中には気の重い仕事もあって、「自滅する企業」を生で演ずる企業の破滅の歯車をなんとか逆転させようと四苦八苦しています。
 旧帝国憲法でも立憲君主制で天皇さえ憲法によって権力を規制されていたのに、経営者が組織運営の憲法さえ定めず「私が法律だ」式に思うがままに指揮発動して組織の責務遂行を混乱させ、自滅して行く姿は狂気にしか見えません。‘現実否認’‘傲慢・慢心’‘組織無視’の果ては悲劇の結末が待っているのに、確固たる意志によって自滅して行く狂気を止める方法はまったく見当たらないのです。どなたか『自殺する企業』を救う妙案を教えてくれませんか!!。
 週末毎の雨と都内の野暮用にガソリン高騰も加わって、愛車のオドメーターは購入から2ヶ月たっても1400kmちょっとに留まっています。急発進急制動回避はもちろんアクセルに生卵を挟む神経で決して4000回転以上は回さないように運転しても、総重量2トンに近い4WD車の燃費は都内では5km/Lにも届きません。一回の給油で万札が飛ぶ感覚は堪え難く、週末の近場はもっぱらもう1台の愛車“SCOTT”(バブル期に買った総アルミフレームのモトバイシクル/89年ツールドフランスの覇車)で済ませています。自転車とは言っても大型スクーター並みのお値段でしたから、必ず有料駐輪場に停めてロックしています。
 今年の夏は洋服を買う気分には遠くバーゲンも無視し、週末気分を楽しむハワイ製のアロハやショートパンツを買っただけ。カトラリーなどのテーブルウェアやペルシャ絨毯には糸目を付けませんが、モードだラグジュアリーだとファッショニストを気取るKYにはなりたくない。伊勢丹メンズ館なんかで粧して歩いている親爺や六本木ヒルズあたりでケバく風切ってるヤンエグなんか、KYそのもので目も当てられません。
 車から自転車、インテリアからテーブルウェアまで高質アイテムに囲まれてせこく暮らす日々は、なんだかしみったれて時代の気分にピッタリ。おいおい、それでホントにいいのかよ!!
 2008/07/07 10:23  この記事のURL  /  コメント(0)


注目新ショップは皆、小粒

 百貨店向けブランドに続いて郊外SC向け業態開発も一斉に停止し、目を惹く新ショップは駅ビル/ファッションビル向けに限られて来ました。割高感から加速度的に顧客が離反している百貨店や乱開発とガソリン高騰で急激に商圏が縮小している郊外SCに、いまさら新規投資しようという物好きは限られるのは当然で、むしろブランド/業態の整理・廃止が加速しています。何時の間にかなくなるブランドや業態が続出しており、ラインナップが縮小して売場が埋まらなくなってしまいそう。
 駅ビル/ファッションビルとて時代の気分をリードして盛り上がっているのは109やルミネエストなどほんのひと握りで、時代ずれたパルコ系はひっそりと化石化し、浮ついた企画で開発された新規のファッションビルはほとんど大空振りで閑古鳥が鳴いています。今、一番元気なのは間違いなくルミネエストで、B2Fのロンドンアンティーク系コスメの“B”、同アッシュペーのカルチャーミックスセレクト“ゼロナナトリッキー&トラスティー”、B1のモードミックスカジュアル“リミットレス・ラグジュアリー”(なんとベイクルーズ系なのです)、1FのLAライフスタイルカジュアル“ザ・クローゼット”(ララプラン)、3FのOL向け4プライスシューズ“オリエンタル・トラフィック”なんかが注目されます。109は元気とは言え目を惹く新ショップは皆無で、“ギルフィー”“リダーク”(ギルフィー系)の躍進とララプラン系の絶好調継続、“ココルル”などコーストカジュアル系の驚異的復活が特筆されるのみ。
 駅ビル/ファッションビル系の新ショップは皆小粒で、離陸しても1ダースから精々3ダース程度までしか拡張出来そうもないものばかり。百店超に化けそうなパワーコンセプトはまったく見当たらないのが残念です。強いて挙げるなら“オリエンタル・トラフィック”ぐらいでしょうか。ファッション業界は服飾雑貨を含め、明るい未来が見えません。
 2008/07/03 10:55  この記事のURL  /  コメント(0)


急増する偶発債務リスク

 SPAC研究会準備の為に注目業態をリストアップして運営企業の業績をチェックしていたら、好調業態と言われていた300円均一雑貨店“CouCou”(株式会社イミクリエーションズ)が5月2日に東京地裁に民事再生法の適用を申請して倒産していた。業績は好調だったのに主力仕入れ先で親会社の株式会社マザーバード(大手寝具卸業)が4月28日に倒産した為、連鎖倒産してしまったのだ。同時に連鎖倒産した雑貨小売のアウトレットジャパンは直ちに店舗を閉鎖したのに対して“CouCou”は通常営業を継続していた為、まったく気が付かなかった。とは言え、“CouCou”の仕入れはマザーバードの口座を経由していたと言うから、今後の営業継続はどうなるのだろうか。
 不況が深刻化する中、デベロッパーが倒産して店舗の営業継続が困難になったり保証金が回収不能になったりする事態が頻発しているが、関連会社や主力取引先の破綻に伴う連鎖倒産まで心配しないといけない最悪の情況になって来た。好況時には詐欺的行為以外はあまり発生しなかった偶発債務リスクが急増しており、関連するデベロッパーや取引先の財務情況を総チェックせざるを得ない。「景気はどうでっか」「いゃー、ちょぼちょぼでんな」といった挨拶も「ほな、帳簿見せてーな」と突っ込む御時世なのでしょう。当社も取引先の総チェックをしないといけないのかも。
 2008/06/30 09:52  この記事のURL  /  コメント(0)


『自滅する企業』

 木曜の午後、春夏期最後のSPAC研究会を『ターミナルから郊外SCまで注目業態総研究』をテーマに東郷記念館で開催しました。雨模様の中、そして景気の悪い中、180名を超える出席で盛り上がり、アートヴィレッヂの鈴木社長とパルの杉本事業部長のパネルも好評でした。「偶然が開いた成功と必然がもたらした成長」って感じのお話の中にオリジナル開発や生活雑貨の調達手法など具体的な啓示もあり、皆様満足されたようです。メンバーには好評なSPAC研究会ですが、新たに入って欲しい会社に中々参画していただけないのは残念です。トホホ・・・・
 今、『自滅する企業』という翻訳ものの経営書を呼んでいますが、‘現実否認’‘傲慢・慢心’‘コア・コンピタンス依存’に陥って自ら没落していく企業の実例が次々と紹介され、「企業は偶然によって成功し、必然によって自滅する」というテーゼには説得力がありました。かつてない逆風に直面して自滅の坂を転がり落ちて行くファッションビジネスに係りながら説得し切れない自分の限界を嘆き、この本に一抹の救いを感じました。読ませたいトップが何人もいますが、‘現実否認’‘傲慢・慢心’の前にはこの本も無力なのでしょうか。諸行無常ですな・・・・
 2008/06/26 19:19  この記事のURL  /  コメント(0)


6月の惨劇

 先週の木金と月例の『販売データ交換会』を開催しましたが、木曜の婦人服部会は“緊急事態”という事で百貨店の欠席が多く、セレクトショップ中心の討議となってしまいました。かつてない売上減少に直面して対策会議や催事準備などにバイヤーが狩り出されたり売場に張り付かされたりで、店から出られなくなっているのです。昨年まではそれほど起こらなかった事態ですが、4月頃から“緊急事態”が頻発するようになりました。
 売上が急落しているのは婦人服だけでなく、3月までは堅調だった紳士服も4月以降は釣瓶落としに急落しています。有力セレクトショップとて情況は大差なく、ファッション業界はもはや阿鼻叫喚の世界。18日段階の既存店売上は婦人服、紳士服とも90の大台を割り込み、専門店やセレクトショップの一部は85前後まで落ち込んでいます。この情況が一段と底割れするのが“6月の惨劇”。なぜなら、昨年のセール開始が6月末だったのに対し今年は7月1日になるからです。セール初日の売上は少なくとも月計を8ポイント以上動かしますから、都内百貨店の婦人服、紳士服の6月売上は80台前半まで急落してしまう計算になるのです。
 不況下の諸物価高騰で生活防衛意識が高まる中、不要不急の衣料品は支出抑制の槍玉に上げられた感があり、モードだトレンドだラグジュアリーだといった浮ついた訴求は空回りするばかり。破綻寸前の国家財政に張り付いた濡れ落ち葉たる官僚機構と貧乏神福田政権の下、国家も社会も転落の坂を転げ落ちるのみで、ファッション業界/流通業界など惨を極めつつあります。戦線整理とリストラの縮小均衡の果ては破綻の連鎖が目に見えて来ました。“6月の惨劇”は阿鼻叫喚の大団円へのプレリュードに過ぎないのです。企業も労働者もBRICsへと明日を求めて旅立つ事になるのでしょうか。なんだか1930年代の『俺も行くから君も行け満州へ』的事態になって来ましたね。ならば、青年将校や血盟団の出番となるのかも。
 2008/06/23 10:17  この記事のURL  /  コメント(0)


H&Mに食われる者

 H&Mの上陸が9月に迫る中、グローバルSPAの脅威が叫ばれていますが、彼等のバリュー創造とコスト競争力は国内有力SPAと較べて本当に突出しているのでしょうか。
 バリュー創造はオリジナルなウェアリング提案によるものとトレンドの最大公約数的トレードオフによるものが在りますが、後者では‘速い安い’が伴わないと競争力を欠きます。H&Mは後者の代表ですが、確かに‘安い’が調達手法が突出している訳でもなく、国内有力SPAに較べて‘速い’訳でも上質でもありません。コラボなどによる話題作りは派手ですが「上手いトレードオフによる安いSPA」と言うしかなく、ハニーズのコンテンポラリー版と位置付けられます。既に日本市場に定着したZARAはH&Mより高価格ですが、独自の素材軸逆看板生産方式とシステマティックな物流体制で‘速い’上に上質でバリュー感は突出しています。
 前者を代表するのが来年に上陸するアバクロンビー&フィッチですが、手間暇掛けて商品化した独自のウェアリングをブルース・ウェーバーのフォトをフィーチャーした特異な店舗環境で訴求するブランディングはお手頃ラグジュアリーブランドの方程式と言えましょう。GAPも本来のスタンスはこの仲間ですが、マス化し過ぎてウェアリングのオリジナリティもバリュー感も薄まってしまいました(直近は復活著しい)。コンテンポラリーベーシックな上質パーツを提供するグローバルSPAと認知されるに至ったユニクロは、GAPとは異質ですが一種独自のウェアリングがあり、素材開発や生産工程まで踏み込んだNB的調達手法とそれがもたらすバリュー感で突出しています。
 ビジネスモデルの独自性とモードなバリュー感ではZARAが、ウェアリングとブランディングの独自性ではアバクロンビー&フィッチが、ライフスタイル感ではGAPが、バリュー感ではユニクロが突出していますが、H&Mはそのいずれも欠いています。その替わり、トレードオフの上手さと安さ、話題作りという3点で突出していますから、キャラのないトレードオフ型の国内SPAは食われる事必定でしょう。逆に言えば、H&Mに食われるような中途半端なSPAはH&Mが来なくても生き残れないという事です。ならば、それよりバリューを欠く不合理な古典的流通が生き残れる訳もありません。H&M上陸を契機に不合理な古典的流通の崩壊が加速するのは必定でしょう。
 2008/06/18 09:19  この記事のURL  /  コメント(0)


殿、お覚悟を!

 米国から始まった陰りが日に日に拡がって景気後退が大半の産業に波及する中、税金と諸物価だけが高騰するというスタグフレーションが深刻化しています。消費者は生活防衛意識を高めて価格とバリューに神経を尖らせ、モードだトレンドだラグジュアリーだといった浮ついた訴求は空回りするばかり。これまでの好調組も次々と失速し、ライフスタイル軸とバリューカテゴリー軸だけが元気という情況です。各社の対応も弱気の戦線縮小派と変に強気の成功体験固執派ばかりで、自滅の坂を転がり落ちて行く企業も少なくありません。ブランド/店舗の整理撤収や大量リストラ、果ては倒産と暗い話題が増え、業界は凍り付いています。
 この情況はバブル崩壊局面に匹敵するという声も聞かれますが、あの時は日本だけが重篤に陥ったのであって欧米は軽症でした。今回は米国の住宅バブル崩壊が全世界に波及して病み上がりの日本は再び重体に陥るという、より深刻な救いのない情況です。国家財政も破綻して90年代のような公共投資による景気下支えも困難で、無為無策のまま日本は衰退していくしかありません。我らファッション業界も消費者のモード離れ/衣料支出抑制による売上低下、調達から店舗運営まで止まらぬコストアップと両面から追い詰められて収益構造が崩壊しつつあり、百貨店のようなコストの高い流通から順次、破綻が拡がって行くと危惧されます。不思議に上手く行っていたバブリーな元気ベンチャーもここへ来て冷水を浴び、一時、業界に雪崩込んだファンド資金も潮が引くように退避し始めています。
 ‘祭りの終わり’と言うより‘御落城’という末期的情況で、バブル崩壊局面を上回る悲劇の連鎖が始まろうとしています(売り掛け債権の回収に要注意!!)。失われた12年の後は衰亡の12年になってしまうのでしょうか。殿、お覚悟を!
 2008/06/16 10:20  この記事のURL  /  コメント(0)


小が大を制したちはら台の闘い
 7日土曜日にE350・4MATICステーションワゴンを飛ばしてイオンおゆみ野SCまで行って来ました。同SCは富士南SC、仙台泉大沢SCに続くマックスバリュー核ライフスタイルセンター第3号で、富士南の予想外の大健闘を聞き、開店したら是非見たいと思っていました。
 京成千原線の終点ちはら台のひとつ手前のおゆみ野駅から歩いて10分、県道磯辺・茂呂町線という立派なバイパスに面したイオンおゆみ野SCは商業面積24,000平米と小粒ながら、道路からミニ・イオンモール的外観がよく見え、この種の小型モールとは一線を画した高質な外観に期待が高まりました。パーキングのレイアウト/誘導とも適切で、ほぼ満車ながらスムースに駐車出来、ミニ・ドックランのついたペットシティ側からモールに入りました。ここで気付いたのが、こんなミニモールには珍しく客層のレヴェルが高い事。ヤングミセスの二人に一人はブランドバッグを持ち、カジュアルながら小奇麗にしておられました。駐車している車も外車や国産上級車が目立ち、豊かな緑区の住民が主なターゲットのようです。パーキングがモール前面に集中して全景が見渡せる理想的なレイアウトで、当然バリアフリー建築。身障者専用パーキングも用意されています。
 モール内のレイアウトもまさしくミニ・イオンモール。昇降導線の配置やモール・デザインも秀逸で、最新のイオンモールかと見紛うほど。開店から2週目という事もあってモールは大変な人出で、家族連れやカップルで賑わっていました。テナントミックスも「癒し、楽しさ、心地よさ」というコンセプトを体現したもので、カジュアルアパレルやライフスタイル雑貨、その複合業態など、お馴染みの店に加えて新手ローカルチェーンや大手の開発業態もチラホラ。とりわけ注目はナチュラルライフスタイル複合の「メイプルファーム」で、水戸発のローカルチェーンながら米国の「アンソロポロジー」を思わせます。その隣にあるレザーグッズの「ALZUNI」のVMDは出色です。その向かいにあるドロップ(ポイントの別働隊)の「early and」はナチュラルカジュアル本流ながらSPA臭い平板さに失望しました。2Fでは「ジーンズショップOSADA」の力入ったストアについ惹き込まれました。「ライトオン」と原点は同じなのに、ナショナルチェーン化していない味の濃さとバラエティが新鮮でした。タカキューのシャツシングルライナー「SHIRTS CODE」も若々しいデザイン性に好感が持てました。アクセサリー&服飾雑貨の「アラベスク・バザール」も楽しいですね。
 計画的に大規模開発された高質な住宅地を背景としたコンパクトながら高密度な心地よいライフスタイルセンターで、立地/レイアウト/建築/モールデザイン/テナントミックスとも望外に高水準。安手なエセライフスタイルセンターが多い中、本物のコンセプトと完成度に脱帽しました。ここは売れるでしょう。
 それに対して隣駅のちはら台から歩いて15分、イオンおゆみ野SCからは1.5kmほど南に位置するユニモちはら台は悲惨でした。規模はイオンおゆみ野SCの倍(商業面積48,000平米)もあるのに性格が曖昧で建築は露骨に安手。モールデザインも劣悪でテナントミックスにもストーリーがなく、埋め切れなかったのか仮設店舗のような店もちらほら。昨年の9月8日に開業したばかりなのに、もう撤退店舗が続出。その跡も“カミングスーン”などと小奇麗に覆ってもおらず、パネルを立てただけという惨状。週末なのにモールイベントも賑わいもなく(イオンおゆみ野SCは地元高校生チアガールのイベントで盛り上がっていました)、どんより暗い雰囲気に逃げ出したくなりました。
 道路から一段沈んだ立地でちはら台公園の森に隠れ、ちはら台駅方向から来るとまったく見えないまま通り過ぎてしまいます。道路から直角に長くレイアウトされた建築で駐車場も分散してスケール感がなく、イオンおゆみ野SCよりコンパクトなネバフッドSCに見えてしまうのです。サーキットモールとは言えコアの吹き抜けや昇降導線が弱くダラダラと一周しているだけで、魅力的な店が少ない事もあって途中で戻りたくなってしまいます。豊かな緑区と言うよりローカルな市原市を向いた性格で、地味で安っぽい印象は否めません。立地/コンセプト/建築レイアウト/モールデザイン/テナントミックス/営業運営とも劣悪で勝ち目は無く、半分の規模でしかないイオンおゆみ野SCに客は流れてしまうでしょう。
 SC開発には立地/コンセプト/建築レイアウト/モールデザイン/テナントミックス/営業運営と多様なノウハウが不可欠で、それらの優劣で規模の差を超えた逆転も起こり得るのです。この両SCの明暗はSC開発に当たる者すべてが直視すべきと思います。小が大を制したちはら台の闘いを是非、実見して下さい。
 2008/06/09 09:55  この記事のURL  /  コメント(0)


ユニクロ独り勝ち
 直近の販売成績を見ても決算報告を見ても、皆が失速/低迷する中でユニクロ(ファーストリテイリング社国内事業)の独走が際立っています。5月も他のカジュアル企業の既存店が総べて前年を割っている中、ユニクロだけが7.9%増と独走。いったい、何がこの情況をもたらしているのでしょうか。
 景気後退と諸物価高騰という暗い御時世下で生活防衛意識が高まる中、‘高品質低価格ニューベーシック’というユニクロの本質が評価された、というのが一般論ですが、ユニクロ自身の急ピッチな進化も大きな要因と考えられます。商品企画やデリバリーの精度向上にプロモーションとVMDが上手く連動し、多彩なアーチスト達とのコラボなどを次々と打ち出して話題を振りまき、やる事が洗練されてメジャーイメージが際立った、と評価されます。加えて、未だ離陸し切れないとは言え海外事業展開によるブランドイメージのグローバル化も著しく、同社のブログ・プロモーションが米国「ワン・ショー」の広告大賞を受賞した事もあって世界的な評価が高まり、今やGAPやH&Mと並ぶグローバルSPAと認知された感があります。そのようなブランディング効果も国内の支持層を拡げていると推察されるのです。
 快走するユニクロですが、心配がないわけではありません。国内関連事業(買収した他企業とgu)はどれも業績低迷を脱しておらず、戦略もマネジメントも首を傾げる事ばかり。一点突破全面展開とは行かないようです。加えてグローバル化著しいユニクロの商品にはモードやトレンドが色濃く加わり始め、ベーシックという枠を逸脱しかけています。H&Mを意識し過ぎという感があり、本来のポジションからズレてしまうのではと危惧されます。その路線が明と出るか暗と出るか、9月にH&Mが上陸すれば回答が出るでしょう。
 2008/06/05 11:15  この記事のURL  /  コメント(0)


SPAC月例会は満員御礼
 5月29日に開催したSPAC月例会「消化回転向上への調達・配分・在庫運用総研究」はお申し込み段階で人数制限をかけたにも拘らず創立来新記録の208名様が出席され、立ち見まで出る盛況でした。会場の定員は本来154名で補助椅子を出しても180名ぐらいが対応の限界なのですが、お申し込み段階で(参加人数の規約に従って)人数を限らせて頂いても勝手に押し掛ける方もいて、会員企業の方である以上お断りする訳にも行かず、予想を超えた混雑となってしまったのです。
 それほど会員企業が増えている訳ではないのですが熱心な会員が多く、人気テーマでは参加者が溢れてしまうのです。今回のテーマは地味なものですが販売情況の混迷から関心を集め、人気テーマとなったのでしょう。こんな地味で本質的なテーマが人気を集めるところがSPAC研究会の性格を如実に現しています。実務の改善に直結する真摯でリアルな研究こそ最大の目的なのですから。
 SPACは参画メンバーのアンケート回答によって研究の骨格が成り立つものですから、事務局では参画して欲しい企業を定期的にリストアップして参画を呼び掛けていますが、長年呼び掛けても参画して頂けない企業も在って中々思い通りにはならないのが実情です。既に参画しておられる企業がこれほど熱心に例会にお集りになるのは相応の実利があるからで、未だ参画頂けない企業には是非、御検討頂きたいものです。
 ファッション市場が冷え込む中、伸びている業態はほぼライフスタイル軸かカテゴリー軸に限られて来ています(モード軸/トレンド軸はほぼ全滅です)。どのような切り口の業態が好調なのか、その成功要因は何なのか、これからどんなマーケット/業態が有望なのか、6月26日のSPAC月例会では最新の販売データと社会情況を子細に検証して明白な結論を提じます。乞う御期待でしょう!!
 2008/06/02 10:39  この記事のURL  /  コメント(0)


ライフスタイルセンターって何
 都市計画法改正による大型SCの開発抑制で小型のライフスタイルセンターが主流になるという見解があるようですが、ライフスタイルセンターって何なのでしょう。色んな先生の説を伺ってもライフスタイルセンターが有望とかその条件とかの入り口論ばかりで、「どんなライフスタイルを提案するか」という具体論には永遠に至らないのが実情です。
 エエイ、黙れ!役にも立たない能書きはいいから、その商圏/立地ではどんなライフスタイルが素敵なのか、それに応えるにはどんな構成が必要なのか、具体的に提案しろよ!!と言いたくなってしまいます。
 今、関西のあるニュータウンをリモデルするプランを組み立てていますが、郊外の端っこの丘の上に人工的に作られたその街には独特の平和な文化が根付いており、それをどう構成に反映するか鋭意検討しています。統計的なデータや競合関係から勝てる構成は容易に組めるのですが、この平和な街の住民に毎日を楽しみ街を誇りに思ってもらうにはどうしたら良いのか真摯に思案しています。誰かが勝手な理屈で構成しては街の文化や住民の利益を損ないかねません。ライフスタイルセンターとは街の文化に立脚し住民の期待に応えるパブリックなSCのはずで、空理空論で構成してはいけないと思います。
 ライフスタイルセンターを構成するには、アパレル/服飾/生活雑貨/HBA/食品など多様なカテゴリーを複合したライフスタイル業態はもちろん、フードサービスやエンターテイメントなど様々な要素を適確に組み立てなければなりません。新たなSCが出来たりリモデルされる度にテナント構成を実見して個別テナントの性格を位置付け、コンセプト/ターゲットから価格帯やカテゴリー構成まで入力してテナント・データベースを随時更新していますが、一年がかりでようやく二千業態に達しました。アパレルはほぼパーフェクトだと思いますが、服飾雑貨や生活雑貨ではまだ漏れがあるかも知れません。日々研鑽して詰めて行くしかないでしょう。SCの企画には適確なテナント構成が不可欠で、知らないでは済まされないのです。
 2008/05/29 12:05  この記事のURL  /  コメント(0)


本物のVMDは猫に小判か
 業界にはVMDと称する書籍やセミナーが溢れていますが、その99.9%はディスプレイを軸としたもので、「マーチャンダイジングの売場展開表現」という本来の目的を体現するものは皆無と言ってよいでしょう。私は1992年の『見えるマーチャンダイジング』、2004年の『ブランディングへの解る見えるマーチャンダイジング』と一貫して本来のVMDを提じて来ましたが、業界はディスプレイ紛いのVMDを大合唱するばかりで少しも進化していません。店頭に見るVMDもここ数年は退化気味で、洗練されたスタイリング表現やダイナミックな単品展開を見る機会は極めて限られ、セミナー用の参考写真にも困る有り様です。美しい色環配列や韻律のフォルムなどラグジュアリーブランドのごく一部に見られるのみで、在庫置場然とした汚い売場ばかりで悲しくなります。ブランディングと消化回転に直結する売場再編集運用など幾ら訴えても顧みられないのが実情です。
 半期毎に開催している『ブランディングへのVMD技術革新ゼミ』が6月12日に迫っていますが(御案内はこちら)、当社の他ゼミに較べれば人気はいま一つで、長年かけて確立した技術体系を業界に普及できない徒労感に落ち込んでいます。「マーチャンダイジングの時系列な展開表現を基本に、ルック展開/単品展開の様々な技法から洗練のカラー/フォルム陳列技法まで駆使してブランディングと消化促進を図る」というのが当社のVMD体系であり、配分・補給・店間移動の消化管理体系とも連係するもので、ディスプレイなどごくごく一部の領域にしか過ぎません。活用して頂けば消化促進はもちろん、ブランディングやロジスティクスも確実に改善出来る画期的な技術体系なのに、「猫に小判」という事なのでしょうか。

国内ブランドでは例外的に洗練されたVMDで適確にスタイリングを表現している“スマートピンク”
横森美奈子さんの美術的センスは頭抜けていると思います。


 2008/05/26 13:02  この記事のURL  /  コメント(0)


カジュアル大好き
 百貨店も百貨店アパレルも凍り付き、郊外SC方面も祭りの終りが見えて来た一方、駅ビル/ファッションビル方面やネット/ケータイ方面の一角はまだ元気ですが、今さらモードやトレンドという気分ではないしラグジュアリーと言われても遠い世界のようにしか思えません。そんな中、ロハスでスロウな時代の気分に合った等身大なカジュアルにはそれなりに魅力があります。キャラもライフスタイル感も無いH&Mにはまったく関心が持てませんが、アバクロやホリスター、エアリやギリーヒックスにはキラキラとした眩しささえ感じるのです。それを着ている若者の爽やかな息吹きが伝わって来るからでしょう。街を渡る風や草花、旬の食品など季節を彩る森羅万象を味わい、心豊かに過ごす日々にどんな装いが必要なのか。モードもトレンドも自分の生活感で着崩すカジュアルに遠く及ばないと思います。と言うわけで、カジュアル大好きなスタッフ(MDコーディネーター)を募集しています。詳しくはこちらまでアクセスして下さい。
 実は連休前にまったく同じ型式/色の新車に乗り替えたのですが(ナンバーまで同じE350・4MATICステーションワゴン)、3.5リッターのパワフルな性能や静粛性、完成度には満足しているものの、総重量2トン近い大柄なクルーザーを街中で乗り回す気分ではなく、ちょこまかと駆け回るミニクーパー(とりわけクラブマンやガブリオレ)を見る度に羨望の目線を禁じ得ません。熟年カップルや親子連れが楽しそうに(そう見えるのです!)乗っているのを見ると、たまらなく欲しくなります。メルセデスは完成度が高いとは言え所詮、階級社会の産物であり、そのしがらみから解放されたカジュアル感は期待すべくもありません。もうすぐひとり息子が二十歳になるので、一台買ってやろうかな(週末は私が占拠します)。
 2008/05/22 09:37  この記事のURL  /  コメント(0)


祭りの終わり
 4月13日付けのブログ「SCに観覧車は不要です」で冗談ぽい企画のSCに警鐘を鳴らしましたが、5月7日には名古屋港イタリア村が自己破産を申請して同日付けで全従業員を解雇し営業を停止、16日には千葉ニュータウンのビッグホップガーデンモール(観覧車を建てたアウトレットモール紛いの冗談SC)などを運営する商業デベロッパーのミキシングが民事再生法の適用を申請して同日、保全命令を受けました。まさに当然の帰結と言うしかありません。SCには冗談も吉本も観覧車も不要で、商圏と立地の特性に素直にひたすら真摯に現実的に企画・開発するしか成功のチャンスは無いのです。当社のSC企画はAからZまで計算と検証に基づいてひたすら真摯に組み立てるもので、冗談は一切ございません。
 世の中には怪しいけど上手く行っている事業が山程ありますが、やがては化けの皮が剥がれるものです。銀座のクラブみたいに法外な価格を付けている百貨店がいつまでも続く訳がないし、5掛け消化仕入れのTVショッピングの熱気が醒めるのも時間の問題だと思うのだけれど、世の中には溝に金を捨てる快感を忘れられない人も沢山いるのでしょう。
 GWから咲き誇っていた我が家の薔薇達もようやく盛りを過ぎ、アンクルウォーターの真紅の花びらがポーチの階段に降り積もる様はヴィスコンティのキネマのようです。祭りの終わりは切ないですね。百貨店と百貨店アパレルも滅びの美学を演じているのでしょうか。諸行無常ですな。
 2008/05/19 11:50  この記事のURL  /  コメント(0)


丘の上の百貨店に学ぶ事
 新宿の某百貨店から毎週のようにDMやカタログが届くけど、モードだラグジュアリー
だと時代の気分とずれた提案ばかりで関心が持てない。確かにブランド揃いは突出しているけどモードとコンサバの両極ばかりでライフスタイル感に合ったブランドがまったくなく、各ブランドの品揃えも売れ筋に限定されバラエティを欠いている。売場は何時も混雑しているし駐車場に入るのも大変で、「手早く沢山買って早く帰ってくれ」とせっつかれる感じもあって疲労困ぱいしてしまう。顧客にあまり親切ではないし小奇麗な格好もしなければならないから、よほど必要に迫られない限り行きたくない。我が家のように年間百数十万円しか買わない客は下客扱いで(何百万円も買う客が山程いるのでしょう)、妻がちょっと買い過ぎた後はハウスカードの使用を断られた事も度々で頭に来る。いっぱい買っても(ほんの20万円弱でしたが)駐車料金を請求されるし、売れ過ぎて顧客を大切にしなくなった体質は如何なものかと思う。
 そんな新宿の某百貨店に較べれば、渋谷の丘の上にある某百貨店には本当に大切にしていただいて好感を抱いている。高級住宅地を背景にした上質な店だが不要な気取りがなく、普段着でも気楽に出かけられる。何時もそれほど混雑しておらず、親切で隅々まで気配りが行き届いているから、何時出掛けても快適だ。外商の担当者と顔が通じているのも心強い(計算づくのポイント制とは温もりが違う)。隣の文化村の出し物も充実しており、御近所の高質なコミュニティセンターとして重宝している。我が家の出費は新宿の某百貨店の倍近いのではなかろうか。とは言え、妻は三日に空けず食品売場にお使いに出掛けるものの、洋服を買う事は稀なようだ。私も妻との記念日や誕生日の贈り物は1階のエルメスやブルガリを愛顧するものの、洋服は買った事が無い。最近は大分改善されたが、時代かがった高齢者向きブランドばかりで今風の洒落たブランドがほとんどなく、買いたくても買うものがないのが実情だ。やむなく、混雑する新宿の某百貨店に根性入れて嫌々出掛ける事になる。
 そんな丘の上の百貨店がちょっと前、新宿の某百貨店と提携してファッションMDを指導してもらう事になった。これで少しは洒落たブランドが揃うようになるかもと期待する反面、新宿の某百貨店のように「手早く沢山買って早く帰ってくれ」とせっつく不親切な店になったら嫌だなとも思う。少しは今風なブランドも揃えて欲しいが(もっと高質なライフスタイル感のあるブランドであってモードなブランドではないはず)、これまで通り、ゆったり上質な日常を親切に提供する店であり続けて欲しい。顧客目線で見るなら、新宿の某百貨店が丘の上の百貨店に学ぶ事も多いのではないか。
 2008/05/13 11:04  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール

小島健輔(こじま けんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。

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