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    小島 健輔
 2017/12/07 10:03  この記事のURL  /  コメント(0)


ZOZOSUITかTBPPか
 スタートトゥデイが無料配布(200円の一律送料は必要)を始めた伸縮センサー内蔵の採寸用ボディスーツ「ZOZOSUIT」は注文が殺到して二ヶ月待ちの人気と聞くが、その先進技術や無償配布の大判振る舞いもともかく考えさせられるところが多い。
 まずは「ZOZOSUIT」が衣料品購入におけるサイズ選択の決定打となるかだが、素材の物性やパターン、フィットの好みを考えれば、如何に精密に採寸しても実寸データだけでは決定打にはなるまい。静電容量を利用した伸縮型ソフトセンサーによる精密な計測という最新テクノロジーは評価されるが、「究極のフィット感」など追求されては自分流の緩い崩しも難しくなるという拒絶反応も無視出来ないのではないか。恐らくは近々にベールを脱ぐPB「ZOZO」のスタイリングやパーソナル対応の生産システムと関連しているのだろう。
 サイズのミスフィットによる返品がもたらすコストや減耗(返品の再販不能コンディション率は13%以上)を回避するには、ZOZOほど多くのブランドを販売して年間取扱高が3000億円に迫るECモール事業者なら、お直しサービスも合わせる「TBPP」をFC展開(結構な‘利権’として売れる!)する方が確実だと思う。一人一人のフィットの好みを反映するには服のパターンや素材の物性はもちろんメンタルな装い気質に応える‘人が人に接して聞く’採寸とお直しが不可欠で、どんなに精密でもボディサイズを掴んだだけで解決するものではない。それでも「ZOZOSUIT」の無料配布という力技に踏み切ったのは、あくまで‘店舗’というコストのかかる接点を回避してECで完結するという戦略意志の表明と受け取るべきだろう。
 店舗小売業から発した経営者なら‘店舗’という‘人’との接点を何処かで活かすオムニチャネル戦略を構想するだろうが、前澤友作氏はそんな固定観念に囚われない‘自由人’なのだから、外野の想像を超えた‘超戦略’を構想しているに違いない。それでも‘フィット’はボディサイズだけでは捉え切れないメンタルな装い気質に左右される、と思うのだが・・・・・

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 2017/12/05 09:13  この記事のURL  /  コメント(0)


ビジネスモデルのブラッシュUP
 11月29日に開催したSPAC研究会でのパネルで印象深かった事がひとつ。それは如何にデジタルなビジネスモデルもアナログな運用実験によるブラッシュアップが不可欠だ、という至極当然の理だった。
 オーマイグラスの清川さんのお話では、店舗における品揃えのフォーカスとタブレット接客スキルの個人差が興味深かった。品揃えのバラエティが制約されないECでは検索に引っかかりやすいブランドものに売上が偏りがちだが、限られた売場で品揃えをフォーカスするしかない店舗ではオリジナルブランドの売上を伸ばせる、という試行錯誤で得た経験則で、ECでは三割に留まるオリジナルブランドの売上が店舗では七割を占めるそうだ。店頭のタブレットで顧客にECの品揃えや在庫検索を案内する‘タブレット接客’は販売員の個人差が大きく、適性を見た人員配置が大切だ、というのも店舗運営で得た経験則だ。
 青山商事の石矢さんのお話では、「デジタル・ラボ」一号店(秋葉原店)での一年間の運用に基づいて店長から提案されたのが、1)従来の身長別陳列ではなくオリジナルブランド別陳列にすべき、2)EC接客に慣れたらSKU組み合わせ最小在庫以上の陳列は不要で、陳列量を減しても「座れる接客テーブル+タブレット+サイネージ」の接客ユニットを増やすべき、の二点だったそうだ。
 青山商事では様々なお客様をカバーすべく体型やテイスト、グレードなどで14のPBを揃えているが、EC接客なら400着あれば全ブランドのサイズと素材の組み合わせをお試し頂けるという運用体験を得て、ブランド別に陳列してEC接客空間を重視すべきという結論を得た。
 タブレット接客については両社で感触が異なるように聞こえるが、青山商事の場合は紳士服の接客に熟練したスタッフが揃っており、これまでもECタブレットによる取り寄せサービスでシステムを使い慣れている事が大きいと思われる。オーマイグラスの場合は眼鏡販売の経験者に拘らない採用もあって、タブレット接客以前に眼鏡の販売スキルにバラツキがあると推察される。
 両社ともECのシステム自体は今時、突出したものではないが、店舗販売での使い易さや店舗物流・EC物流トータルでのアナログな効率化が成果に繋がっている。ショールーム販売と言えども店舗運営や接客販売はアナログなカイゼンとスキルの熟練が不可欠で、時間をかけてブラッシュアップしていく事が望まれる。頭で考えた仕組みを躰で動かす仕組みに昇華させるには運用経験の積み上げが不可欠なのだ。

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 2017/12/04 09:26  この記事のURL  /  コメント(0)


クリエイティブシンキングの功罪
 ロジカルシンキングがコモディティ化した今日ではアートなクリエイティブシンキングが企業戦略の突破口になる・・・・と山口周という外資系コンサルタントが提じているそうだが、誰もがクリエイティブシンキングに熱中してロジカルシンキングが疎まれるこのギョーカイではそんな実感はまったく無い。クリエイティブシンキングの方がコモディティ化してカジノ状態なのだから致し方あるまい。
 マーケティングでは広く全体を鳥瞰して顧客の嗜好変化と需給バランスを定性・定量検証し続けるべきだし、マーチャンダイジングやロジスティクスもECや店舗の運営まで連続したプロセスと捉えて流体力学的にロジカルコントロールすべきだと思うが、クリエイティブシンキングを至上とするこのギョーカイでは耳を傾けてももらえない。誰もがクリエイションを主張して顧客の支持を期待するカジノ化したアート市場という側面は否定しないが、一方で大きな成功を収めているのはコモディティに徹してロジカルにコントロールしている巨大企業だという事実にも目を瞑るべきではあるまい。
 アート商品は一点ものの‘作品’から作家もの‘工芸品’、産地もの‘民芸品’まで様々で、リユース流通も多く需給バランスが読めないカジノ市場ゆえロジカルなコントロールは難しいが、それゆえ買い手が価格を決める「オークション」、天候・市況に左右される生鮮産品では「競り」というシステムが確立されている。
 アパレルの世界でも、かつては‘卸流通’という各段階がリスクを分担する垂直分業が主流を占めて「競り」的な需給調整が成り立っていたが、今日では利益もリスクも独りで背負い込んでしまう水平分業の‘SPA流通’が大勢となり、糸、生地、製品の各段階が独自に創意とリスクを担う醍醐味も薄れてしまった。SPA流通では各段階の「競り」も需給調整も成り立たず、カジノ市場の創造性が損なわれた事も衣料消費衰退の一因になったのかもしれない。
 ロジカルなコントロールが難しいアート市場では「競り」に委ねるので無い限り(それも有効な選択肢だ!)、需要を超えない過少供給に徹して商品計画から販売まで全プロセスを精緻に連携する‘スキルの環’を追求しないと消化が覚束ない。大半の実務者は自身の担当する部分最適に囚われ、全工程を繋ぐ‘スキルの環’まで視野が及ばない事が多いが、何かを変えようとすれば総てのプロセスとスキルを洗い直さねばならない。真にクリエイティブであろうとすれば、それなりの全体観を持ってロジカルシンキングするしかないのではないか。
 それが困難なら社内の業務プロセスもZARAのように「競り」に委ねる方が確実で、各段階・各個人の成果評価も明確になる。権限を集中するCMIに固執するより各々が責任を担うSMIやVMIに発想を切り替えてみるのも‘クリエイティブシンキング’ではないか!

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 2017/12/01 09:17  この記事のURL  /  コメント(0)


‘老人力’がアパレルを救う?
 シャツ屋さんからランドセル屋さんに転職された方のお話を伺ったが、ボーナスがヒト桁違ったそうだ。大量の期末残品に苦しむシャツ業界と一年近くも前倒しの受注生産でほぼ残品ゼロのランドセル業界の明暗を痛感させるエピソードだった。
 そのランドセル屋さんでは来年の新学期向け商品どころか再来年の新学期向け商品もすでに生産を終え、今は再々来年向け商品の見込み生産に入っているとか。注文の入り方は毎年安定しているので計画生産してもズレは小さく、職人のキャパがギリギリなので手が空いたら先の商品を生産するようにしているとか。アパレルギョーカイから見れば雲の上の高天原かと思うようなお話だった。
 少子化で毎年、新入学する子供の数はジリジリと減っているし、購入したら6年間は買い替えもほとんどないという安定縮小が続く特殊なマーケットだが、パパママに爺婆が加わった6ポケットで単価の上昇が続き、新入学小学生の減少と職人の高齢化・引退による国内生産のキャパ減少が釣り合って需給が均衡するというマジックが成り立っている。ここでポイントなのが‘国内生産’が大前提になっている事で、海外生産が当たり前で‘国内生産’など滅多にお目にかかれない(今や数量では3%を切る)というアパレルの世界とは価値基準の次元が違う。
 それが成り立っているのは商品選択の真の決定者が子供ではなく爺婆だという事に尽きる。デザインや色は子供が選択するのだろうが、ブランドの選定はお金を出す爺婆の意向が大きく左右しており、彼らの価値観が‘日本製’と決めつけているからだ。度外れた過剰供給がアパレル不振の最大要因なら‘メイド・イン・ジャパン’の喧しいキャンペーンも実効性が期待されるが、それには‘真の決定者’を変えなければなるまい。
 バブル期にプレゼント癖が付いた団塊世代も既に‘財力’で孫のご機嫌を取るご隠居となっているから、将を射んとすれば〜で彼らの価値観に訴えるのも一手と思われる。ブランド子供服にも波及している‘爺婆’の発言力がトゥイーンズ服やフレッシャースーツまで及べば、アパレルの苦境も多少は和らぐのではないか。‘老人’の頑迷な拘りも時として世のためになる事もあるのだろう。

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 2017/11/30 11:20  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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