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小売のDNA
 小売業のDNAが、かくあるもので、かく存在することを実感させられる三日間であった。

 CVチェーンの新入社員総勢226名をエリアマーケティングの世界へと誘う機会を通じて改めて感じさせられたリアルな印象だ。

 まずもって爽やかさに溢れんばかりのフレッシュパーソンの集まりだ。一挙手一投足もしなやかで、号令時の気を付けの際の手の位置が男女ともおへその下で交差されていて、おもてなし感満々であった。

 初日のマーケティング一般論では、初めての言葉が満載で少し腰が引けてしまう受講生が多かったようである。いきなりブルーオーシャン、レッドオーシャン、GMS、SKUときた日には、マーケティングを履修していない人にとってはちんぷんかんぷんのことだろう。

 かく言う私も法学部出身なので、社会に出た折に流通用語や小売用語の知識は皆無であった。声の大きさと体力勝負の卸アパレルが最初の土俵だったのでなおさらだ。プラノグラムやフェイスアップという言葉や、先入れ先出しや前出しまで引用して、初日は緊縛モードで終了。

 中日には、京王沿線の実店舗を素材にして、エリアマーケティングのディスカッション。グループ内での議論が進めやすく、アイディアが出るようになったとの反響で、リアルな題材には特別なフレームワークやアプローチなくしてもグッと入り込むことができた様子。

 最終日は配属先の店舗におけるエリアマーケティングの議論で、みんなのボルテージは最高潮に。散髪屋、美容院、喫茶店、クリーニング店、銭湯など、地場の情報が入手できるホットスペースで情報を獲りまくってくれることを願うばかり。

 人を知り、街を知ることは小売の基本だ。ディベの中のロケーション以降のロジックでしか出店の是々非々を判断してこなかったアパレルのツケは小さくない。そもそもディベがやっちまったゾーンに突入しているオーバーストアの現状では、時計の針を大きく巻き戻さざるを得ないのが正直なところだろう。

 ニッチという生存圏に生かされるのが小売業の宿命だ。会社として、ブランドとして絶滅種になってしまうのか、一日でも長く我が世を謳歌できるのか。生存競争には何の容赦もなく、神様は誰の味方でもない。

 2017/04/23 16:54  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
フレームワークの重要性
 老舗中堅アパレルの次期経営層の面々と戦略ワークショップが進行中だ。来月、一泊二日の合宿で仕上げを迎える。

 ワークショップの背骨には経営に必要な「フレームワーク」を配置し、素材としてはKBSとHBSのケーススタディを用いて最終アウトプットは自社のリアルな戦略繋げるストーリーだ。

 クレームワークの意義と重要性については三枝匡氏による以下の教えを引用している。

フレームワークの役割

 単なる経験値や思いつきはその場限り

 人や組織の経験と知見は、話しが単純化、抽象化されてこそ活用ができる

 論理・概念、コンセプト、枠組みが単純化、抽象化された論理こそがすなわちフレームワー ク

 経験と知見がフレームワークに転化されることで、人々への「伝承」が可能になる

 人々による「応用」が可能になる

 人々の「価値観、行動」に影響を与える
 
 組織の「文化(共通言語)」の一部になりうる

 できるビジネスパーソンは必ず強いフレームワークの発信者だ

 参加者は、いずれも経験値に基づく暗黙知の達人であることは間違いない。ただし、それを再現ならびに継続および承継可能なるものとして形式知化、つまり見える化する術は残念ながら持ち合わせていない。

 染み入るように道具箱を拡大し、その中にフレームワークの各ツールが収められていくプロセスは圧巻とも言える。

 多くのビジネスパーソン、とりわけアパレルで肌感をコアにナレッジとノウハウを蓄積してきた上級マネージャー〜経営幹部クラスに、道具箱の取得と中身としての道具の棚卸しと補充が喫緊の課題であると痛感させられる。





 2017/04/17 18:44  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
今年の新人
 今年は新入社員研修を5社担当させて頂いている。通信、商社、流通、金融と業界も様々だ。

 院卒で次男と同級、学部卒だと二つ下になるので親子ほどではなく親子以上の年齢差になってしまった。しかしながら次世代が社会に飛び立つ最初のお手伝いをさせてもらえることが、この上ない喜びであることは何ら変わるものではない。

 日本生産性本部は「ドローン型」と名付けた。毎年旬の話題に紐付けるので、どうしてもフォーカスする箇所がその話題に引っ張られてしまい、経年で変化を追いかける困難さは否めない。

 ここにきて、新入社員のキャラにどうやらターンオーバーが起こったという印象がある。11年前、ハングリーで型破り、夜もエンドレスという空気が十分に残っていた古き時代であった。30年以上前の私のときには、貫徹に近い日もあったことを記憶している。

 以来、年を追うごとに若者達の角が取れていき丸く丸く成形されつつある感が増した。言われたことはやるが、言われたこと以上のことには手も口も出さない。そして和やかということではなく、個人および全体としても緩さが増長する傾向も気になっていた。締まりが乏しいのだ。二三年前が底だったろうか。

 昨年はちょっと違うな程度には感じていたが、今年は明らかに違うと確信した。緩さではなくピンと張り詰めた空気が個人にも全体にも漂っていて、各人の背筋も伸びているし、動きもテキパキと活発になっている。ゆとり教育との関係性の可能性について言及したこともあるが、何の何の、回り回ってまた新人らしい新人が帰ってきたと嬉しく思う。一方で残業の問題などが制約となり、うかつに宿題も出せない時代背景がもどかしい限りだ。

 事象は必ず回帰し続ける。つまり振り子は永遠に振れ続けるということだ。80年代にはバブルで90年代には団塊ジュニアで春を謳歌した百貨店が氷河期に突入している。反対にその頃商社冬の時代と言われていた総合商社が気を吐いている。アパレルも日差しは傾いて肌寒い季節に突入したが、必ず回帰は訪れる。

 ただし、季節と違って時間の経過をじっと耐えて待つのではなく、みずから回帰現象を引き起こす自助努力は必要だ。今年もワクワク、ドキドキで社会に飛び出してきた次世代の人々の30年後に対して、確固たる土俵を残していく責任が私たちにはある。
 2017/04/09 11:51  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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