« 2016年05月 | Main | 2016年07月 »
やっちまった英国
 民主主義を取り戻すと声高に叫ぶのは結構なことであるが、民族主義が台頭しているだけに思えるのだが‥

 民主主義が制度的に内在する矛盾と限界が露呈してしまったとも言える事態である。多数決の功罪を教えてくれたのはジョン・スチュワート・ミルだった。太陽が地球を回っているに投票した人が99人で地球が太陽を回っているに投票した人が一人だった場合、真実は否決されることになる。

 そして思い出したのが20代後半の頃に抱いた素朴な疑問であった。組合活動を通じて会社と侃々諤々の議論を繰り返していた若かりし頃のことだ。N総研のA氏に喰ってかかって大喝を頂戴したのだ。会社における残り時間が幾許しか残っていない人々が幹部を形成して、まるで他人事のような意思決定を行うことは甚だ理不尽であると主張したのだった。これから30年以上の時間をこの会社で過ごす私たちこそがキャスティングヴォートを握るべきではないかと。

 元千葉市長の熊谷俊人氏が日経ビジネスのコラムで同じ趣旨の発言をしているのを発見して、すくなくとも私の言っていたことは間違ってはいなかったのだと確信することができたときにはおよそ20年の歳月が流れていた。

 今回の年代別の投票結果を見ると一目瞭然で、余命幾許もない世代が前途ある若者達の未来を引きずり戻したという構造になっている。言ってみれば、年寄りのけったくそで英国の大いなる未来、そして世界経済の前途が変えられることになってしまったということだ。

 読み返して欲しい書籍が三冊ある。ミルの「自由論」、塩川伸明の「民族とネイション」、そして柄谷行人の「世界共和国へ」だ。その上で、本川達雄の「生物学的文明論」を通じて私たちが選択するべき道について考えて欲しい。

 生物学的に既に死んでいる世代の介護に明け暮れるのではなく、次世代が安心して次世代を育てられる環境作りに汗を流すべきだということを。

 昨日の塾第二回は、見えざる資産を創出する源泉であるところの“ヒト”づくりというキーワードで締めくくった。世界は大きな迷い道に突入しつつある。
 2016/06/26 14:11  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
とんでもレベルの論文
 繊研教室ではしばしば目を見張る議論に出くわすが、今回はとんでもレベルの別格だ。6月7日付の「ファッション業界でも急速な進展の人工知能」(古田隆彦氏)である。

 同氏は私たちの20年以上の大先輩であるとともに、その経歴たるや足元にも及び得ない真の知識人でいらっしゃる。AIを私見として二つの系列に分けて既存のソフトウェアを分類するとともに、オチは“クリエーターに求められるメタファー力とパロールUである”という。

 業界人としては、AIには何とかついて行くことができても、メタファーで多くの人が脱落、パロールとなると理解以前に言葉として耳にしたことがあるなしのレベルでほぼ全滅状態に陥るのではないだろうか。

 このクリエーターに求められるメタファー力とパロールUを私なりに咀嚼して、多くのクライアントや後進の人々に対して分かりやすく伝えていかねばとの思いを新たにさせられた、久々のスカッととんでもレベルの論文であった。

 ちょうど来週開催する私塾の第二回目で、ジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」を課題図書として読み解くことにしている。ビジネスにおける銃・鉄・病原菌に相当するものは果たして何か?について議論を交わす予定であるが、文化人類学者としてのダイヤモンド氏に連環して、レヴィ・ストロースに言及し、構造主義を説明して、記号学に遡ることを想定していた。

 そのため、レヴィ・ストロースやソシュール、丸山圭三郎を復習していたところに飛び込んできた今回の記事には、そのタイミングのよさにびっくりさせられた。

 ランガージュとラングとパロールの構造、シーニュとシニフィアンとシニフィエの関係がぼんやりでもいいので頭の中にないと、古田氏の主張を正しく理解することは難しいと想像される。さらに、佐藤信夫にあたるなどして「レトリック」に多少なりの知見がないと、メタファーとメトノミーもなかなか腹落ちしないだろう。コノテーションとデノテーションに至っては、記号学にある程度の造詣がないとその意味するところはファウルチップすることすら困難だ。

 何度も復習を繰り返し、他者に伝える必要性に迫られて、ようやく少しだけぼんやりとわかりかけてきたレベルに過ぎない私であるが、こんなとんでもレベルの議論をたったあれだけの紙面で語り尽くしてしまう古田しの力量と、それをサクッと繊研教室に掲載してしまう繊研新聞社の男前ぶりにはすっかり脱帽だ。

 こんなスカッとした高度な議論に出会えたことを少なくとも認識することはできるので、日頃から多分野にわたる勉学に勤しむことは重要であるとともに楽しくて仕方がないと感じる。

 来週土曜日に向けてモチベーションがグッと高まってきた。
 2016/06/18 16:58  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
速すぎず小さすぎず
 めちゃ忙しい二週間であった。唯一空いた日には早朝から起き出して芝刈りしているのだから体がもつわけがない。

 久々の風邪気味と、肋間神経痛が重なってこの週末は大人しく内勤に勤しんでいた。その間、量子力学の勉強の三四周目で古典的ブルーバックスを数冊読み返すことができた。

 何度勉強しても、そのときはわかったつもりになるのだが、イメージだけは残るものの詳細はきれいさっぱり記憶から消えてしまうのは、私がアホだからだろう。そんなめげそうな気持ちに、救いの一文があった。

 相対性理論を実感するには私たちの日常のスピードはあまりにも遅すぎて、量子力学を体感するには私たちの日常のサイズはマクロとして大きすぎてミクロの世界を認識することができない、と。

 ここ三年ほど、戦略ワークショップや問題解決ワークショップがマイブームになっている。各企業におけるニーズが高まっていることもあるが、私自身が大いに関心を抱くとともにエネルギーを突っ込んでいる。

 錚々たる企業の部長や課長そして幹部候補生クラスが、それらのトレーニングを受ける機会は絶望的なくらい乏しいまま今に至っている。補って余りあるそれぞれの人間力と各社各様のアナログノウハウで何とか辻褄を合わせてきたが、これからはそうもいかない様相である。

 そこでクローズアップされるキーワードが、“ミドルアップダウン”だ。野中郁次郎発の世界に誇るべきコンセプトであるが、量子力学的に考えると諸刃の剣ということになる。つまり、経営のダイナミズムに比べるとスピードが遅すぎて時間と空間とサイズの伸び縮みを体感することができにくい。現場のミクロの世界の振る舞いに比べると、マクロ過ぎてその真実を理解することができにくいというジレンマに直面しているのがまさにミドルである。

 今月末の塾に備えて、レヴィ=ストロースとソシュールも復習しておかなければならない。
飛んでけ、肋間神経痛
 2016/06/06 19:34  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

北村禎宏 プロフィール
リンク集
カテゴリアーカイブ
最新記事
2016年06月
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
月別アーカイブ
最新コメント
Sayo
ファッションのコモディティ化 (2015年12月11日)
冨田さより
すごい学生がいたもんだ (2015年08月09日)
しの
日本人の忘れもの (2013年02月11日)
nobu
やっぱやられた (2012年10月24日)
北村禎宏
ダイバーシティにて (2012年05月24日)
最新トラックバック

http://apalog.com/kitamura/index1_0.rdf
更新順ブログ一覧
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード