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輪をかけて
今年もあと50時間余りで終了だ。私は明日の午前で仕事納めの予定である。

 ファッション業界は、およそ30年のサイクルで訪れる立地が問い直されるシビアなステージに直面していることは何度も申し上げてきた。52週のMDというオペレーショナルな側面からみたビジネスモデルが陳腐化しただけでなく、ODM任せの乱暴なモノ作りにより大切な遺伝子まで欠損してしまった。

 時代はモノやエネルギーを消費するモードにはない。子供も家を出て、50代も半ばに差し掛かろうとしている我が家では、「モノはいりません」コールの嵐である。

 この10年ほど、クライアントの手前もあって毎シーズン数十万は洋服に投資してきたが、この秋冬はVIPセールになってからスーツを三着新調しただけだ。ゴルフウェアですら、去年までのものを着回している。スーツは講師ビジネスにおける制服のようなものなので、実質プライベートな洋服は買っていないシーズンとなる。

 ビジネスモデルが大きな転換期に差し掛かり、消費者のマインドも大きく変化しつつあり、加えてトレンドのキーワードも乏しいこの秋冬に、よりによってスーパーエルニーニョとは、天はかくもやんちゃなりというところか。今週からようやくスキー場も稼働し始めたが、ヘビーなアウターは未だ着用機会がない。

 このまま二酸化炭素を排出し続けると、50年後には桜が入学式ではなく卒業式の頃に見頃になるらしい。水面上昇で夏のビーチは狭くなり、冬にようやく紅葉を楽しむことができて、
多くの地域が行きのない冬を迎えることになる可能性が高いという。温帯から亜熱帯へと教科書も書き換えられるのだろう。

 ここまで輪をかけられては開き直るしかない。薄利で大量に商品を売るのではなく、本当に価値がある長く愛用されるものを手をかけて作って、その分、厚い粗利をいただく、そのようなビジネスしか生き残っていくことはできないだろう。

 この秋冬のニットへの市場の反応がそのことを示唆している。本当のちゃんとしたニットを世に問うことができているブランドはいかのどだろうか。180度マーケットは変わってしまっていると認識して、春夏には間に合わないアパレルが多いと思われるが、来年秋冬にはモノ作りを根本から転換することにチャレンジされたい。
 2015/12/29 18:47  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
会計の圧力
東芝が大規模なリストラ策を発表した。

 国内のTV販売を二年で九分の一にするという。クビの皮一枚の一割強が残ってほっとした。REGZAはお気に入りブランドのひとつだからだ。六チャンネルのおよそ一週間分の番組が丸々録画されるタイムシフトマシンは優れものだ。

 タイムシフトマシンでテレビとの付き合い方が180°転換した。時間を気にすることもなく、録画予約を気にすることもなく、いつでも何でも状態だ。
そのための6テラのサーバーがテレビの後ろに鎮座している。リビングに6テラという時代が来るとは思ってもみなかった。次に買い替えるとしてもREGZAしか考えられないので、廃版にはならなくてよかった。もう一つのお気に入りVAIOもソニーではなくなったが、新生バイオ社の第一号機が今の愛用PCである。

 昨日、早稲田の学生さんに卒論のアドバイスをさせていただく機会があった。曰く、何故に企業は見えているにもかかわらず戦略や戦術を踏み誤るのか?と。戦略を見誤るのは見えていないケースであるが、やるべきこととやってはならないことが明白であるにも関わらず、時としてそれができないのは何故かという質問だ。

 理由はいくつか考えられるが、そのうちかなりのウェイトを占めるのが会計の圧力であり、年次決算がその元凶だ。井上達彦先生の門下生たちなので、システム時間の概念を使って次のように説明した。

 業界や企業、ひとつの企業の中でも部門によって固有のシステム時間があって、それらを上手くシンクロさせなければ当該ディビジョンのパフォーマンスが劣化することは井上先生の議論のとおり。

 ところが会社法は一年という暦月での決算を要請し、投資家の人々は四半期の業績にやいのやいのと騒ぎ立てる。四半期も含めて決算を飾らなければならない圧力が経営にのしかかる。現場にも日次や月次の売上必達プレッシャーがかけられる。挙げ句の果てが東芝の案件であり、エンロン以来の大型事案だ。組織的にやむにやまれずという場合も少なくないだろうが、今回のケースも含めて単に経営者の個人的見栄に過ぎない場合も多くのではないだろうか。

 投資家の短期志向に辟易してMBOに踏み切った会社があったが、メザニンファンドの貸し手である銀行の方が投資家よりよほど細かくてやかましいので、上場廃止前より事態が悪化したとの笑えない話しもある。

 弊社も今月末で決算をむかえるが、何を飾る必要もなく全てが自己責任なので気楽なものだ。数千万人の企業戦士には申し訳ないが、他人の金は担がない、他人のご都合や大義のない指示命令や依頼はやり過ごすに限る。

 ちなみにファッション業界において明白な歴史的ダイナミズムは、クラフトとインダストリーがスパイラルアップしているというもの。今はまたクラフトの時代に急激に戻りつつある。詳しく知りたい方は彼女たちの卒論完成に期待されたし。時は年明け1月15日也。

 もちろん私にコンタクトいただければ、個別に情報提供およびアドバイスさせていただきます。
 2015/12/22 13:03  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
また一つ巨星が
 ソ・ソ・ソクラテスかプラトンか、ニ・二・ニーチェかサルトルか。みんな悩んで大きくなった、俺もお前も大物だ!と聴かされたのは確か中学生の頃。

 その後大物になるほどの勉学には勤しめず、ソクラテス、プラトン、ニーチェに触れたのはようやく50代になってから。サルトルは未だアクセスできていない。

 火垂るの墓はTV放映で見て涙したのが新婚時代。ちょうど岡山から神戸に出てきてすぐの頃だったので、より強烈な感動を覚えた。
 
昭和の巨星が次々と逝ってしまうと、今度は昭和中期(36年生まれ)の私たちの番がそろそろ近づいていると感じざるを得ない。小惑星レベルに過ぎないながらも、これまであまり悩んで大きくならなかった分、残された時間をそれに費やそうと思う。

 悩まずに大きくない人間になってしまったので、今から大きな人間になる必要もないので、自分なりに納得できるよう生涯最後まで前進あるのみ。

 分野は三つ。第一は次世代支援の腕前を超級レベルに磨き上げること。第二にそのために必要な一般教養と専門知識を学び続けること。第三は体力増強。マッスルを鍛え上げることと5下のシングルになること。

 最後の目標がもっともハードルが高い(笑)。
 2015/12/20 16:27  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
案の定もめてる
消費税軽減税率の適用範囲を巡って議論がもめている。

 おそらく施行後も決着のつかない堂々巡りの話しになるであろうオチは見え見えだ。刑法においては厳格に罪刑法定主義が貫かれないと、私たちは安心して暮らしていけない。
とはいえ、ストーカー防止法がメールという手段を規定していないことから取り締まりが後塵を拝したことは記憶に新しい。

 外食の手前に中食という概念が生まれたり、イートインという新しいサービスが生まれたり、常にビジネスの法がダイナミックに先行して動く。法律は後付けでそれらの変化を追いかけ続けるしか方法がない。

 ジャンケンで親指と人差し指を立てて、グーでもパーでもチョキでもあるとギャグをかましていた小学生時代を思い出す。

 MECEが成立しないと、グレーゾーンとストレスが発生する。ストレスフリーな軽減税率適用範囲は期待すべくもないが、少なくとも足元の商品分類においてはできるだけMECEを目指したいものだ。
 2015/12/14 18:42  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
クリエイティブ・セレクター
おそらく業界で初お目見えの概念なので、当ブログにて発信しておく。

 時は今宵、場所は業界の次世代を支える愛すべき教え子たちとの小宴。ゴルフでの当日一番のグッドショット、トーキチロー、ユキコ、渉れの四名と与太話のほとんどない三時間にて。

 ファシリテーションにおいて、発散〜収束〜発散〜収束は鉄板のプロセスフレームワークだ。MDやDBの概念やロジックが進化したこの四半世紀であったが、せいぜいシングルループしか回せていなかったとハッと気付かされた。その手があったと。

 上流のクリエイティブ(発散フェーズ)があって、それを量的に収束させる機能をMDやDBが担ってきた。MDとDBの役割分担もラグビーを7人制でやるのか15人制でやるのか、その選択にはバリエーションがあるが、もう一度発散と収束を繰り広げてダブルループにする手があったのだ。

 すなわち、クリエイティブディレクターが最初の発散を行い、クリエイティブセレクターがその幅のある方向性や曖昧言葉を絞り込んで見定める役割を果たす。次にMDが品揃えという形で横幅を広げて定義する役割を担う。ここではあくまでも質的業務に留まり、品番数だけが唯一の数的メジャーとなる。

 それらの動きを受けてもう一度奥行き(仕入〜在庫〜換金)を数値のみに基づいて行うDBが見事トライすることで勝利に貢献する。これは大いにありだ。スパゲティ状態に陥っている可能性の高い量と質のMDの棲み分け、クリエイティブとロジックの共存の解決の一助になればと切に思う。

 渉れ⇒チアキへの宣言の後押しとなればと祈念する次第だ。
 2015/12/10 23:23  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
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プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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