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消費者の勝利
重衣料がまったく動いていない。気持ち暖冬気味の予報もふまえると、どうやら消費者側の勝利に終わる14秋冬になりそうだ。

 46週に冬コートが一度だけ出動したが、それ以外は薄手のアウターが二三度活躍しただけで未だ外套が必要のないまま12月を迎えようとしている。その12月がスタートする来週月曜日からVIP(シークレット)セールの幕が開く。

 おそらく今年中に防寒上着の出番はさほどないまま正月を迎えて、暖冬気味とはいえ1月2月には極寒の日々が何日もあってという冬は目に見えているが、年内の五月雨マークダウンに加えて、年明け2日には多くの館で一斉にバーゲンが開始される。実需に備えて除外品扱いにするブランドも多々あることは予想されるが、消費者のマクロマインドにおいてプロパースイッチは切れてしまっている。

 せっかく小売りの伊勢丹やアトレが踏ん張りを効かせてくれているのだから、ここは供給側のアパレルも同期をとってマーケットカレンダーを正常に戻すべき最後の正念場に差し掛かりつつある。

 モコモコ系、持ってるけど街で見ないしこれ以上欲しいとも思えないねと、言葉を交わした本日の小宴会に全てが言い表されている。本来レアものであるはずのファッションがマスのインダストリーと化して、物量として氾濫をしてしまった今。

 ちょっと腰をかがめて暫く我慢をしないと、次なる時代の流れをつくることはできない。それでも連続的会計年度はまったく逆のプレッシャーとして経営に重くのしかかる。大きな潮流は単年度では動いておらず、ましてや四半期や月次はさざ波にすぎない。

 高校時代に読んだけどさっぱり覚えていなかった「罪と罰」を読了した。主人公ラスコーリニコフの歪んではいるが理解できないでもない二元論(動かす側と動かされる側)と、同類性(英雄と犯罪者のメビウスの輪状態)がそこに重なる。

 動かされる側で犯罪者になることと動かす側で英雄になることは本質的には同義的行動になるが、結果的には天と地ほどの差にもなる。それが人生であり経営でもある。
 2014/11/29 19:06  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
あるべき姿が見えない
舌戦が始まりつつあるが、あるべき姿が見えてこない。

 大手生保の業務職の女子81名と熱い三日間を過ごしたのは12年11月〜13年5月のことであった。同社にとっては女性管理職の登用は必須課題で、20年までに100人を目論んでいる。決して促成栽培という訳ではなく、熱く動機付けされ深く問題解決能力が備わった女子を発掘、育成しようというプログラムであった。

 幸いなことに受講生の反応が良好かつ好評で、実際に十名ほどの方が既に課長職に昇進されたと聞く。今回はCS総合職と呼ばれる、より現場に近いメンバーも加えて総勢43名の女子軍団とのカリキュラムがスタートした。他の研修で既にご一緒させて頂いた方も数名いて、声もかけていただいて。午後の三時頃にもなると脳みそが融解するメンバーが続出して。それでも、前回に劣らず皆さんの反応はハイテンションの上々の状態でで終えることができた。

 基本手順としては、あるべき姿を明確にして、現状を的確に把握して、そのギャップを問題として定義して、そこから何故何故を深掘りして打ち手に繋げていくというものだ。問題解決の基本と言えばその通りであるが、あるべき姿を的確に表現することは意外に困難である。もしくは、あるべき姿が吹き飛んだ議論が少なくないのが実情であるとも言える。

 消費税が、集団的自衛権が、原発がと各論は賑やかであるが、この国の30年50年のあるべき姿を語る人物が見当たらない。選び取るのではなく退場を迫る戦術に出ることが私たち有権者にできる精一杯というところか。アパレル企業においても、あるべき姿が見えなくなって久しい。モノ作りと小売りが分断されたビジネスモデルは経済的に非効率であることはもとより、真のCS(顧客満足)にはほど遠いギャップを埋めることを大義としてSPAビジネスモデルは進化するとともに定着したこの四半世紀であった。

 前年同月比や今期予算比に追い回されるだけで、あるべき姿が見えなくなってしまってはいまいか。それは本来的には経営者の責任に帰するものである、現場を担っている私たちも胸に手を当てて猛省する必要がある。
パッションをともなって職務に邁進できているだろうか?

 他責で済ませてしまって、自責に目を向けることができているだろうか?そもそも、ファッションや洋服に対して自分自身がワクワク、ドキドキしているだろうか。ワンジェネレーションに相当する年月を経て不連続の変化が訪れようとしているが、それは天から降ってくるものではなく自らが仕掛けていくものだ。そのためには足下の数字ではなく、あるべき姿の明示が不可欠となる。

 北村チルドレンがたくさん排出されつつあるとの、人材開発担当者の皆様からのお言葉が何よりの勲章である。
 2014/11/22 17:42  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
勇気をもらった
数百万人が既に読んだベストセラーも悪くない。

 零戦のエース宮部久蔵からもパイレーツと呼ばれた国岡鐵造からも、勇気をもらうメッセージを受け取ることができた。

 私たちにはやらなければならないこととやってはならないことがある。考えなくてはならないことと、考えてはならないことがある。生きるとはどういうことで、稼ぐとはどういうことか。信念のために生きるのか、見かけの使命に自己を没入させてしまうか。皆が言うこととすることと、自分が言うべきこと、なすべきこと。筋が通っているとはどのようなことなのか。日々の言動にどのような筋が通っているのかいないのかを天は見ている。

 実在のエース、坂井三郎とは高校時代に衝撃の出会いがあった。クラスメートのMN君が薦めてくれた“大空のサムライ”では、たとえようもない畏怖の念を感じた。多感なティーンエイジ時代のベスト3は、“宇宙からの帰還”と“ルーツ”だった。エンタメ系も交えると“将軍”も忘れられない本だ。

 国岡のモデルの出光氏は神大の大先輩にあたる。六甲台のキャンパスに記念館があり、そこで博士課程前期課程修了証書授与式が執り行われた1995年には、私は何も知らなかった。相手が国であろうが業界であろうが、はたまたGHQであろうが分け隔てなく自身の信念を貫く姿は見習わねばならない。

 いつの時代にも、官にも民にも軍にもネズミのごとき木っ端がいるのは私たち社会の宿命ではあるが、ネズミとして生きるかサムライもしくはナイトとして生きるかの選択はそれぞれの意思と能力に委ねられている。

 サムライとして国と歴史に貢献すること。立場や規模の大小や高低は関係ない。説明責任は自分自身に対してあるのだと勇気をもらった二冊だった。


 2014/11/09 17:47  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
今年もあと二ヶ月
今年もあと二ヶ月を切った。台風が近付きつつあることには辟易させられるが、慌ただしい年の瀬がやってくる。

 12月決算の弊社は着地が云々かんぬんという頃合いに入ったが、10期目の今期も何とか形にはなりそうでほっとしている。まずは10年とスタートを切って以来、決算期は10期めが終わろうとしているが、正味で言うと来年1年間を経て丸10年ということになる。
そこまでは今のペースで走りきってみて、その後どうしていくのかを見極める一年にしなければならない。

 年末のかためめ読みに備えて買い込んだこともあって、積ん読が数十冊積み上がってしまった。移動中が主な読書タイムになるので、自ずから歩留まりは限られてくる。

 週末に自宅で読書三昧という生活環境はゲットできていない。週末のおよそ7割程度は内勤を中心にした仕事に押し出されており、残り3割程度は下手の横好きのゴルフの練習とラウンドに充てたいからだ。

 そんな中、ここ二ヶ月ほどは古典に触れてみた。プラトンの「饗宴」「ソクラテスの弁明」「プロタゴラス」、ニーチェの「ツァラトゥストラ」、魯迅の「阿Q正伝」、レーニンの「帝国主義論」、トロツキーの「レーニン」。そして、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」と、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」ときて、「ファウスト」を今日読み終えたところだ。

 中でも、カラマーゾフの兄弟とファウストは、様々な識者がいろんなところで引用していることから早くひと舐めしなければと気になっていた著作なので、ちょっとした山に登った感がある。それぞれ、その時代とその地域を生きてきた人々の息吹を感じることは何よりも心地よい終読感をもたらしてくれる。

 所詮、人間は生きるために食うことと、異性とのねじれ現象と、金と名誉という幻と、死んだらどうなるという四大プレッシャーに苛まれ続けて今日があるということ。残念ながらそれは今日に限ったことではなく、これからも未来永劫それらの圧力と対峙相克し続けるしかないということ。であれば、あと何年の余命が許されているかは神のみぞ知るであるが、それらを超越した人生で終演を迎えたいと決意を新たにし。

 「元気でいこうぜ」と声をかけるような、マルサスの「人口論」(匿名による初版)が、明日の出張の友である。それが終わったら、現代のベストセラーにジャンプしようと目論んでいる。
 2014/11/04 20:46  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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