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またその季節がきた
土日に今年度第一弾の新入社員研修を終えた。大手メディア企業のネット系人材との二日間だった。

 理系の院卒が7割という属性だったこともあろうが、人柄といいレベルといい、とてもさわやかで刺激的な時間だった。当該企業の新入社員研修は3年連続の担当になるが、一昨年が旧来の体制下、昨年がホールディングス体制の端境期、そして今年はネット系人材のみホールディングス横串で招集して、その余は各カンパニーごとの対応となった。

 一昨年はやんちゃでノリノリ、昨年はHR系のカンパニー配属予定者のクラスだったのでスマートかつ大人、今年はネット系の理系人材なので、クールでロジカルなんだけど、ほんのりとした温かさを感じさせる真冬の露天風呂のような感覚。

 ほぼ息子の同級生との真剣勝負は新鮮だ。たった二人しかいない実の子供たちとは交わしたことがないような相互作用は刺激と発見に溢れている。今年度で社会人30年目を迎えた私にとっては、ずばワンジェネレーションを隔てたナレッジの伝承。

 子供は社会の宝、新入社員は会社の宝。ささやかながらも貢献できているとしたら、その事実こそが私の勲章だ。

 今週、来週とあと三社ほどお世話させていただく機会に恵まれている。ありがたいことだ。

 2014/03/31 18:57  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
何かがおかしい
表参道の欧州ブランドの路面店に行ってみた。

 馴染みの販売スタッフのS氏が少し遅れてやって来た。警察の事情聴取を2時間半かけて受けてきたところとのこと。万引きでは済まされない少し大がかりな盗難の被害に関する取り調べだった。銀座の貴金属店でのプロの手による千万単位の犯行が、セミプロによる十万単位の犯行に移り変わりつつあるのか?アパレルではなく革物中心にやられたそうだ。

 余談になるが、調書において横文字はご法度なのだそうだ。ディスプレイは陳列や配置と、カーキ色は鶯色と表現しなければ調書に書けないらしい。コートやセーターは外套とか横編みのかぶり物とはしなくてよいと聞くと、その線引きがわからなくなった。きっと警察の調書にはパラダイムとかイノベーションという文字はないのだろう。

 一点単価3万円程度のかなり尖ったブランドで、内部関係者による手の悪さに悩まされたのは四半世紀も前のこと。バッタ屋に持ち込めば上代の10%ほどで引き取ってもらえたので、1パッキンやれば10万円ほどのビジネスにはなる。私が経験したもっとも大規模な事案は、上代ベースで1500万円ほどのちょっとした事件だった。

 世間的には上級職であるはずの航空関係者が盗品の運び屋として捕まった。ブツがユニクロのダウンというのでビックリ!彼の地での換金力はせいぜい下の方の数千円だろうし、それを10数枚扱っても運び屋の取り分は何万円にもならないだろう。当事者は副機長とCAなので、社会的地位、経済的環境と期待される経済効果が全く釣り合っていない。比較して失うモノの方があまりにも大きい。

 小売やアパレルにとって1%〜5%のポイント還元や、10%のカード値引きはそのまま粗利を喰う麻薬と化してしまったが、携帯各社の乗り換えキャッシュバックの額が臨界点を超えつつある。数万円(一台)から20万円(複数台)を超える数字が飛び交い、継続利用者一人当たりの年間負担額が3000円という試算が示されると、おいおいと言いたくなるのは私だけではないだろう。

 販促でよく議論になるのが、投資ですか還元ですかという問いだ。深く考えることもなく、漫然と販促を繰り返している担当者が多いのは嘆かわしい限りだ。携帯キャリア各社は新規顧客獲得投資として厳密な試算によりペイラインを設定している筈だが、その原資が長期優良顧客であるとしたら大きな問題だ。本来、還元対象にすべき顧客から搾取していることに他ならないからだ。

 だとすると、この経済的システムは早晩破たんする。目先の小さな系で成立するかに見えるメカニズムも、時間的、範囲的により大きな系にあてはめると全く機能しない場合が少なくない。厳密な対照実験をしない限り本当のROIが測定しにくいことから、商慣習としてのポイント還元がダラダラと普及し定着してしまった。何度も強調してきたが、値引きした分、量と数が増えない限り経済は成長しない。同じパイの食い合いでは駄目なのだ。

 この春、多くの企業がベアも含めた大幅な賃上げで第1ボタンを押す勇気を示してくれた。消費という現場で経済メカニズムを壊してしまっては元も子もない。

 リスクまで考慮した全体系としての経済合理性が見出しにくい現象の増加は、私たち個の退化を示唆しているのだろうか、それとも社会的病理なのだろうか。
 2014/03/27 07:51  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
リバースイノベーション
3月に入っても景気の良い話しが聞こえてこない。

 百貨店の高額品や家電の高級白物では駆け込み需要も起こっているようだが、その気配もない。消費者がファッションに見切りをつけてしまったというのが私の見立てだ。

 第一は上代に対する信頼感が完全に崩れてしまったことだ。常態化した期中のレジオフ。従来はアトリエセールでしか見ることがなかった70%オフがレギュラー店舗でも表れた。アウトレット専用商材に消費者は何を思い、税の表示方法に右往左往する各社の動きに何を感じただろう。

 一物一価も崩れ、不可逆的マークダウンの習慣も打破されてしまった今、顧客のマインドはオープン価格になってしまっていると考えるべきだ。オープン価格市場における購買動機は、小売が訴求するポイントの多寡や値引き販促が大きなウェイトを占め、相対的に商品そのものの訴求力が低下する。家電に比べて欠品リスクが大きいことはお客さんの重々承知で、そのことでギリギリのバランスが保たれているに過ぎない。

 第二は、さらに深刻化した商品の同質化だ。SPA型のビジネスモデルの普及がもたらした最大の弊害が期中のパクり合いによる商品の同質化であったが、ODMの普及により初期企画の同質化まで進行してしまったのだ。アパレル側はODM商品をチョイスしているだけで、MDとしての組み立てに基づくディレクションができていない事例も少なくない。リテールSPAのバイヤーがやっちまってしまう弊害だ。

 第三に、インダストリーに成り下がってしまったモノ作りがある。ユニクロに代表されるコモディディはインダストリー大いに結構だが、スペシャリティ商品であるべきファッションがインダストリーに走るのは間違いだ。私は、規模の経済性を梃子にコスト合理性を追求した大量再生産型のモノ作りという意味でインダストリーと言っている。つまり、凝った素材で手のかかっ
た商品を世に問うことができなくなるのがインダストリーである。

 実行するには困難が伴うが答は簡単だ。上記三つのことを降順に反転させていくだけのことでよい。まず、素材にこだわり手のかかった商品を企画する。その際、多くのアパレルがやっちまっている原価率縛りはいったん棚上げしなければならない。脱インダストリー、目指せアトリエ型という訳だ。

 次に、意思と仕掛けをともなうオリジナルのMDをしっかりと組み立てることだ。その上でODMを活用することは何の問題もない。

 それらの歯車がかみ合い始めたところで最後に手を付けるのが売り方だ。森岡毅氏のUSJで実施した施策には学ぶところが多い。彼が最初に指摘するポイントは、売り手としてのこだわりと買い手の消費者のこだわりのズレだ。コモディティに対しては価格としてのお買い得が求められるが、買う瞬間の買い得感はその時限りのものでストックされることはない。

 一方、スペシャリティ商品は買った後の所有におけるお得感が大きな価値を占めるので、買う瞬間の価格的お得感は相対的に小さいことになる。買う時のちょっとしたお得感よりも勝った後の所有価値的満足度を高めたり維持してくれるような、そんな商品をお客様は求めていると考えるべきなのだ。

 昨夜の呑み会で、大きな責任を背負った若きMDの心に力強い炎を灯すことができた。彼らとは上記リバースイノベーションを一緒になってトライしていくことになる。結果が楽しみだ。
 2014/03/19 08:25  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
チャレンジャー
二年越しでようやく呑み会を実現できた。

 11年の暮れに二年めとしてロジカルシンキングをご一緒したK氏だ。集合研修のクライアントとしては珍しく近しいファッション系のクライアントなので様々な期待に胸膨らんでいたが、それを裏切らない多くの人材との出会いがあった。有志を募った勉強会は実現していないが、大いに語り合う宴会は二度ほど楽しませていただいている。

 K氏とは翌年の3月に通信キャリアの同世代達と大阪での呑み会を企画したのだが、なんとぎっくり腰にて私だけリタイヤ。そんなエピソードで御迷惑を掛けてしまった彼が神戸大のMBAにチャレンジしている。

 今の神戸大MBAは70〜80名ほどの院生を3人の指導教官が3クラスに分けて担当する体制になっているが、どの先生がゼミを担当するのか予め開示されることがない。異動や転職の可能性があるからかもしれないが、これでは受験生にとっては大学は選択できても担当教官についてはくじを引くようなことになってしまう。3クラス体制なので、会計系、人事系、マーケティング/戦略系と概ね受験生が掲げるであろう研究テーマを漏らすことがないよう構える
ことができるが、ピンポイントで専門分野や担当教官を目指したい人々にとってはちょっと残念な仕組みになってしまっている。

 私の頃は古き良きおおらかな時代だった。当時(92年頃)はインターネットも社会人大学院の実績も3年ほどしかなく、巷におけるオープン情報はほぼ皆無であった。そこで神戸大MBAへのチャレンジを決めてから事前情報を手に入れるべく到達したコネクションは、人事がご専門の坂下先生だった。大学の憲法ゼミの恩師山口先生のテニス仲間でいらっしゃる。早速丁寧な手紙をしたためたのだが、受験を志す人物と事前に会ったり話しをすることはできない
というつれないご回答であった。私にとってつれないだけで、国家公務員として至極全うな対応に過ぎない。入学後に坂下先生の授業を受ける機会はなかったが、大学院でのイベントでお会いした際にエピソードとしてご報告したところ、今となっては都度大笑いしながら盃を交わさせていただいている。

 そこで次なる手立てとして目論んだのは、神戸大の先生が講師を務めるセミナーへの参加だ。幸い当時の業務として行くことができる内容の一泊二日のセミナーを発見。そこにスピーカーとして来られていたのが加護野先生と金井先生だった。どんな心構えでどんな準備をすればいいのかと、全く個性も意思も感じられない普遍的質問しかできなかった私だったが、加護野先生の一言は「受けるなら今年じゃなく来年にしなはれ。私がゼミを持つから。」という意外な内容だった。

 その頃は2クラス制だったので、受験年度のゼミ担当教官は開示されていたが、さすがに次年度情報はなかったので驚いた。ユニオンの活動も原体験になっていたので、人事系の研究テーマでチャレンすればいいかと漠然と考えていたが、加護野先生のお言葉に素直に応じてそのようにさせていただいて、その結果としてその後の私がある。まさに恩師だ。

 K氏は現在インナー事業のMDとしてご活躍で、哲学的な議論にも十分耐えうる素材は業界として将来を背負ってもらいたい原石ではある。しかしながら研究者を父にもたれる彼は、研究者としての道に志を抱きチャレンジを開始した。業界にとってはちょっぴり残念ではあるが、より大きな広い世界への羽ばたきとご活躍を応援したい。

 6月頃には研究計画ブラッシュアップの集いを約して小宴を終えた。息子達の世代にとっては兄貴分にあたる世代の人々との交流は大切にしていきたい。彼らがやがては息子たちの世代の直近の道標となってくれるのだから。
 2014/03/11 08:52  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
WANT条件
大手通信キャリアの教え子たちと一席設けた。

 両T氏とは既に三回目で、M氏とは初めての席となった。三人とも同期なので、富士吉田での二年次研修は共通原体験。私が担当した中堅社員研修とリーダーシップは、それぞれ異なる年次での受講となったことからこのようなシチュエーションになった。

 M氏は、神戸大の後輩にあたり金井ゼミの出身。当時の加護野先生の講義も受けていて、これも貴重な共通原体験。片方のT氏は一児の父となり、もう一方のT氏は早稲田のビジネススクールの修士論文を提出したところ。

 30歳前後の多感な時期に、共通の原体験を有する全く畑の異なるオッサンとの議論が何某かの刺激になっているれば幸いだ。私もその世代のころ、セミナーでご一緒したコンサルタントの方に噛みついていたものだ。その時のテーマは、結果だけでなくプロセスも評価対象にしなければ、特に若い世代の成長とモチベーションが阻害されるというもの。何を吠えとる、と一括された覚えがあるが、それはそれで若き日の思い出だ。

 MBAの最大の価値は、世代と畑を超えたビジネスパーソンが、さらに畑を違える大学の教員やプロパーの院生と丁々発止の議論を展開できることだ。大小を問わず、組織人になると比較的閉じた縦の世界でのコミュニケーションに終始しがちで、横や斜めのダイナミックな相互作用が欠如しかねない。

 オンタイムで最大限の気付きと学びを提供することは講師業としてのMUSTであるが、オフサイトを通じてもWANT条件に相当する場を持てることはありがたい。

 そんな機会を提供してくれる皆さんに感謝!今度はグリーン上でも、よろしく!
 2014/03/10 08:36  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
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プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

北村禎宏 プロフィール
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