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若者のクルマ離れ
若者のクルマ離れと言われるようになって久しい。

 私たちが大学生の頃は、大きな目標の一つであったし地下鉄のない田舎の街では不可欠であるとともに、対女子の諸活動において絶大なアドバンテージをとる武器になりえたものだ。

 ここでクルマを足と考えるのではなくクライアントと位置づけると、何がどう変化したのかを読み取るヒントが見えてくる。ここで言うクライアントとはIT用語上の定義で「情報処理をする上での端末」という意味である。

 その昔、遠距離で同時性を担保するクライアントが狼煙だった時代がある。1ビットの情報量しか伝えることができず、狼煙が上がらない場合は担当者や装置に不具合がある可能性が否めない甚だ不安定なクライアントだったはずだ。

 クルマは、既知の世界を繋ぐ日常的足であるとともに、あるときは私たちを未知の非日常的世界へ誘ってくれるクライアントの役割を果たす。「波の音が聞きてぇ」と誰かが言い出したら、渋川海岸まですっ飛ばして腰まで水につかってフリスビーに興じたしたMK君ほかの面々。「夜桜見てぇ」と尾道の千光寺公園までひとっ走りしたKI君たち。

 固定電話しかなく、ストックしてポータブル可能な情報は音しかなかったその時代に、クルマは特別なクライアントとして不可欠な存在であったと言える。

 過程の詳述は割愛するが、今やクライアントはスマホとして手のひらに乗っかるまでに進化してしまった。ネットを通じて繋がることができる世界と相手は事実上無制限に拡大した。文字情報も画像も動画も何でもありだ。こんなクライアントが24時間自分の手中にある現代の若者たちがクルマと必要とする道理を見出すのは極めて難しい。

 唯一の光明は「リアルな同時性と操作性」というキーワードにある。ネットの向こうからやってくる情報はバーチャルであり非同時的な情報も数多く含んでいる。そのことが多くのベネフィットをもたらしてくれる反面、大きなリスクをはらんでいることはご承知のとおりだ。また、一度でもネット上にあがった情報はもはや当事者の手による操作性がまったく及ばなくなってしまう。

 リアルな同時性すなわち時空の一致は、私たちに現象と認識の同一をもたらすことで安定感を提供してくれる。これはまさに現象学的安定である。また、操作可能性は人間としての安心感の源泉になる。

 つまり人が人として人らしい活動に回帰するルネサンスのような胎動を生成することができれば、新しい若者のクルマ文化を創造できる可能性がある。地球にやさしくある必要はあるのだが、それは決して電気化したりネットを搭載することだけでは実現しない。

 クルマメーカー各社は大学生などへの働きかけに躍起であるが、申し上げたような原理的思想的原点がなければ突発のプロモーションに終わってしまうことだろう。

 DOHC凄ぇ!と言いながら必死でチョーク引いてエンジンかけてた世代の戯言でした。人が人として人らしいの本当は、クルマなんかに乗らないで、歩け!というのがオチではある。
 2013/11/27 09:32  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
本質が掴めてるか?
KPIという言葉が通じるようになって久しいが、KPIとその先にある本質がぶれている場合が少なくない。

 アパレル業界で決算絡みで行われやすい目的と効果が曖昧な慣行がある。まずは、決算期末の”一斉出荷”だ。SPAが定着した現在ではあまり耳にすることはなくなったが、卸モデルにとっては決算をつくる上で重要なアクションとなる。

 あるアパレル大手で、伝票操作だけだとグレーではなくブラックとなることから、本当に3月31日に販売子会社にガツッと出荷して、月をまたいでガッツリ返品を受けていた時期があった。たまたまその時期に若造だった私にとっては、箕面の物流センターでピッキング業務のヘルプを経験する貴重なイベントであった。うっしっしと儲かっていたのは物流業者だけだったという笑い話だ。

 売上の反対側には原価がある。決算期にロジスティクスを数日間カットオフする事は、現場のオペレーション上やむをえないと言わざるをえない。ところが作業のカットオフに加えて仕入計上のペンディングを行う企業が少なからず存在している。

 卸モデルオンリーのアパレルであれば、数日間の在庫操作が与える影響はたいしたことはないが、直営店舗もしくはそれに準じる業態を擁するアパレルにとっては店頭の立ち上りにとって死活問題となる場合がある。

 3月末もしくは9月末に本決算もしくは中間決算をむかえる場合は、その影響が最大化する3月末は春の前売れのピークであり、9月末は秋のいよいよの立ち上り時期に相当するからだ。

 ご存知の通り、財務上の売上原価の方程式は「期初在庫+期中仕入-期末在庫」となる。期中仕入を期末に止めても期中の仕入枠を堅持することには寄与し得るが、当期中の売上がほとんど発生しないSPAビジネスでは期末の期中仕入≒期末在庫となるので、財務上の原価に及ぼす影響は微少である。

 物流センターでの仕入系上業務と棚卸作業が増えることは否めないが、財務上の決算に与える影響は無視してよいほど小さい。にも拘わらずかかる行為を継続するアパレルが後を絶たないということは、それほど作業増を避けたいのか、目先のKPIに過ぎない仕入枠や期末在庫にこだわる有能な現場管理者ではあるが優秀な経営者ではない人々が多いということか。

 ロジカルにKPIに分解することは経営の精度を上げる一方で、本質を見誤らせる可能性がある両刃の剣と心得なければならない。
 2013/11/19 19:21  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
コンプライアンスとブランディング
コンプライアンスが声高に叫ばれるようになって久しい。行きすぎたコンプライアンスが企業の力を削いでいるという議論すらある。

 出るわ出るわの飲食の次は楽天の記念セールにおける不当表示だ。違法と脱法と不当は異なる。違法は罪であるが脱法は罪には問われないが倫理的には不当である可能性はある。不当のハードルを上げてしまえば、脱法に至らない行為の中にも社会的には不快な行為は存在し得る。脱税と節税にも似たようなことがあてはまる。

 偽装ではなく誤標記だと言い張ったトップも返金はしないと突っ張ったトップも辞任して消えた。偽装は故意なので民事はもとより刑事責任を問われかねなくなる。誤標記は過失もしくは重過失によるものになるので民事的責任は免れ得ないが刑事責任のリスクは限りなく低くなる。

 返金には過去に遡った合意解約とそれに伴う受取り対価の返還、一方で食べた物を返却することは物理的生理的に不可能なのでそれを求めないとしたら損害賠償的意味合いという顔があるが、将来の再ブランディングに対する投資という重要な側面を見落としてはならない。あの方はそのような発想には至ることがなかったのだろう。

 法務を担当していた若かりし頃、家庭用品品質表示法や景表法、不正競争防止法などを徹底的に研究した。100%遵法状態にすることは到底不可能と思われるほど、それらの法律の網は細かいとともに抽象的で曖昧なところもある。それでも盾として武器としてそれらの法律と立法趣旨の思想は大いに活用させることができた。

 法務的知識とセンス、経営学的造詣が乏しい経営者をメディアの前でしゃべらせてはならない。もしくは、それらを具備したスタッフ陣が完璧なスクリプトを準備していない状態で人前に立たせてはならない。

 楽天の三木谷さんは「‥勝手に‥」という表現をしているが、これはギリギリの言い回しだ。彼は両方を備えた数少ない経営者の一人なのでこのような言い回しで崖っぷちを歩く能力がある。なければ崖下に落ちるだけだ。

 楽天に出店した際に、なんちゃってでバック便に自社カタログを同梱してみたら、一般消費者を装ったモニタリングに引っ掛かり指導を受けたことがある。「やられた!流石!」とうならされた楽天ではあるが、有象無象のテナント全てに目を光らせることは難しい状況になっているのだろう。

 ここにはディベロッパーとテナントが消費者にどう対峙するかという課題が含まれている。百貨店は契約形態が消化仕入れであることと歴史的に自分は小売だというIDがあることから、インショップの粗相に対して消費者に対する第一義的責任から逃げることは絶対にない。ただし日常的管理とその後の求償には相当厳しいものがある。

 家賃方式でテナントを抱えているディベロッパーが消費者に対する責任を問われることも、負うことも考えにくい。リアルなモールでは消費者側の認識も定着していると考えられるが、ネット上のモールはどうであろうか?社会的申し合わせも法的整備も発展途上にあると言える。

 薬のネット販売に対する政府の姿勢に鼻息荒い三木谷さんなので、この問題にも積極果敢に正しく取り組んでいただきよき前例を牽引してくれることを期待する。

 法に触れる触れない、儲かる損をするという問題ではなく、ブランディングの問題であり自分が携わる商品やサービスに対する誇りの問題はなかろうか。地位や名誉や名声は外部認識という蜃気楼に過ぎない。自信と誇りという精神的支柱にこそ人間の本質的価値が存在すると考えたい。
 2013/11/08 08:12  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
はじめての経験
マイナビABC選手権最終日のセッティングのままラウンドする幸運に恵まれた。

 三日目は確か15フィートと放送で言ってたので、ドキドキしながら行くと12フィートとの表示だった。それでもグリーンフォークがこれくらい刺さらないグリーンなど経験したことがない固くて早いグリーンだった。ラフがいじめ状態にあることは言うまでもない。

 午後からはひと雨あって、グッと遅くなったが前半の9ホールは最高に面白かった。10ヤードを超えるバックスピンも始めて。圧巻は石川遼のウォーターショットで有名な、そして昨日は池田勇太が池に落としてプレーオフに突入し、SKホを降したIN18番では下り4メートルを沈めて、なんとバーディ!来た甲斐があった一打は一生忘れまい。

 ギャラリースタンドやテレビカメラ塔がいたるところに残っていて、ティーマーカーは昨日のまんま。フルバックから眺めたフェアウェイは絶景(見るには素晴らしいが、決して打とうとは思えない恐ろしさ)。極めつけは綺麗に刈られたど真ん中のウォーキングウェイを歩く気分の良さ。

 INスタートの最終名物ホールでバーディを奪った後、目標を失ってしまった午後は惨憺たる目にあったが、素敵な休日を過ごさせていただいた。アレンジ頂いたMP社のM氏とY氏には感謝に堪えない。また、始めてご一緒させていただいたU氏のドライバーショットも凄かった。

 オマケとしては、ランチのフィレステーキが本物だったことにさらに感動。流石ABC。六甲国際西コースのカジュアルレストランのステーキには辟易させられた記憶が新しいので、同じ名門でもこうも違うかと。ちなみにホームの有馬ロイヤルが秋限定で出しているローストビーフは本物だ。とはいえ、関西なのにうどんがもうひとつなのはいつも寂しく感じていて、この秋の松茸うどんの松茸にはゲンナリさせられたのでまだまだ改善の余地はある。しかしながら名物の皿うどんをはじめよく頑張っていると思う。客は見て聞いて食べて知っているのだ。

 変動する仕入(食材種とコストの両面で)に対してメニューをある程度固定化しなければならない矛盾はあるが、出るわ出るわのホテルで気持ち良く食事ができる日は訪れるのだろうか?

 そもそも変動するINPUTに対してOUTPUTを固定化するビジネスモデルに限界があるのではないか?

 変動するOUTPUT(売上)に対して、早期にINPUT(仕様と数量)を固定化しなければならないアパレルのMDも矛盾との闘いだ。10月はどこもきつかったが、この三連休に流れは変わっただろうか。
 2013/11/04 19:40  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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