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文明崩壊企業版
賛否両論の“文明崩壊”であるが、半科学半小説として読みさえすれば、そこに期待するものは真実ではなく何を読み取ってどう活かすかということになるので、何の問題もない。

 文明崩壊の要因の一部を企業組織にあてはめてみるとこうなる。

 その一、森林崩壊。
 森林崩壊は、光合成による地球上での総エネルギー産出量を直接減少させるだけでなく、次の要因の土壌侵食にもつながるやっかいな上流現象だ。企業における森林崩壊は、適正な社員構成(人口ピラミッドのようなものだが、必ずしもピラミッド型が適正とはいえない)の崩壊と重ねることができる。

 森林崩壊はその再生能力を超えた過度な伐採によるが、社員構成崩壊は作為的というよりは人事施策の無策すなわち不作為の結果によるところが大きい。当該企業の年齢、業界の競争環境や人材流動性などを加味して機動的に策を施さなければならないところに森林の維持よりも困難を伴うとも言える。

 次に、土壌侵食。
 肥沃な三日月地帯という単語を中学の社会科で習って以来、現代に生きる我々が“肥沃な土壌”という概念を思い起こすことはまずない。肥沃な土壌が侵食されて海に流れ込んでしまった暁には、再び大規模な地殻変動を経てそれが陸地に再生されるには、下手をすると億年単位の時間を要するかもしれない。

 企業においては人材の流出と残存社員のモチベーション浸食がこれにあたる。多くの企業がリストラの過程で不要な社員とともに有能な社員の多くを失っている。その上、リストラを担当した社員にも残留した社員にも、何とも言えない後味が残る。当然、回復には膨大な時間とエネルギーを必要とする。

 第三に、水資源の枯渇。
 これはそのままキャッシュフローに置き換えることができよう。

 第四に、外来種による既存生態系の破壊。
 トップの交代と外部人材の幹部登用がこれに該当すると考えられる。長年の進化の過程で淘汰され淘汰されなかった結果としての現状がそれぞれの生態系には存在するが、経験のない天敵や食物連鎖の崩れは生態系に重大な影響を及ぼす。

 生業の商品やサービスの拡大再生産というマーケティング系の維持がもっとも重要なことは言うまでもないが、組織には一定の秩序やモチベーションや人材の育成を担保してきたオーガニゼーション系も存在している。それが致命的不具合を起こしているのであれば外からのメンテナンスは必須であるが、単純なコスト削減や思い付きの戦略の為だけにオーガニゼーション系が自己回復能力を超えて壊された場合、結果的にマーケティング系のメカニズムまでおかしくしてしまうことになりかねない。

 我々はエントロピー増大の法則から逃れることができない世界に生きているが、それに抗うには強い意思と大いなる知とエネルギーが必要だ。自社の商品、サービスを取り巻く生態系と社内の生態系をよくよく見極めてほしい。特に後者はもの凄く目には見えにくいので。
 2013/08/28 09:25  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
重かった
お盆の週末はさすがにゴルフに行く気分にはなれなかった。

 今年も我が家はクーラーの点火ゼロを維持しているが、芝刈りモチベーションはこの高温の下、まったくもって湧かなかった。

 そこでチャレンジしたのが、シャレド・ダイヤモンドの「文明崩壊」だ。1000頁を優に超える大作なので、ほぼ丸一日半掛かりでの読破であったが、その印象としては重たいものが残った。

 私たち人間は賢くもあるが、愚かな選択をせざるを得ない存在であることを思い知らされた。会社も同じだが、あるコロニーはインプット<アウトプットという関係がなければ、そのうち崩壊することは自明の理である。

 ただし、私たちが直感的に目にしたり短期的利益を追求することの延長にその方程式が成り立つかどうかは、結果を目の当たりにしてみなければわからない。

 現代においては、そのメカニズムが限りなく科学的に解明されてきているのは間違いないが、未知のロジックの存在と人間の心理がやっちまう“やっちゃった!”は私たち人類が永遠に追い求め続けなければならない宿題だ。

 一時期流行るかと思われた経営学におけるエコシステムという概念であるが、拡大再生産が見込めない世界は崩壊するのが宿命だ。それは、品番レベルからブランドから事業部、そして会社から業界、国家から地球レベルにいたるまで従わざるを得ない究極のロジックだ。

 今週は、メディア企業、生保の中堅の方々との研修、セレクトおよびGMS平場アパレルの皆さんとのMD検証とDBの確立、ユニフォーム業界向けのロジスティクス提案etc.が連なるが、不等式の向きにどこまで注意を払えるか。

 拡大再生産の反対側は、縮小崩壊なのだから。
 2013/08/19 19:25  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
ダレッとしたお盆前後
流科大での集中講義は、暑さとの戦い以外の何物でもなかった。

 それは私だけでなく、受講生の皆さんも私以上にそうだった筈なので、とりあえずはお疲れ様でした。夏の集中講義に切り替えてもらって二回目になるが、前回同様十数名の受講で、濃い三日間だった。

 ファッション業界に興味があったり就職を検討している人が数名いて、特に興味はなかったけど講義を受けてみて面白い業界だと感じ始めた人が数名いて、あとは単位だけが目的の人がちょっとだけいて、ほぼ去年と同じ構成だった。

 クライアントの休みがまちまちなので、お盆休みのような感じがダレッと続いている。そんな中、昨年度の塾の卒業生から声がかかって食事をともにする機会があった。会社があるステージを超えようとしていて、ヘルプコールをかけてきたのだ。

 二時間ほどの会食であったが、いろんなメタファーを通じて私のメッセージは伝えることができたと思う。野球部を立ち上げて力を入れている会社なので、野球を通じたメタファーを二つほど。

 甲子園に出場して初の公式練習なのに、先週はプージャーやTシャツでバランバランで、監督はランニングとステテコでノックをしている。夜は既定の宿舎でトンカツ定食のはずだが、みんな外出して呑みに行っている。全員が岩城や殿馬では野球にならない。ましてあぶさんばかりではとんでもない試合になってしまうと。

 とても面白い講義だったのが印象に残っていると言ってもらえた。ただ、ひととおりレクチャーを受けただけでは全く自分達のものになっていないとも。確かに、その限界はある。だからこそ、長いクライアントでは7年間継続してご一緒させていただいている。そこでは確実に人が育っている。

 社会の入り口に立とうとしている若者に、何かの刺激とキッカケを提供することができたとしたら暑さも吹き飛ぶ。
 2013/08/13 07:23  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
三つの分解能
ようやく梅雨が明けたという感じの日差しが降り注いでいる。

 例年になく早めの“梅雨が明けたとみられる”という気象庁の発表であったが、ここにきてようやく名実ともに梅雨が明けたのだろう。

 「名」と「実」は、それぞれ名声(評価、評判)と実力(事実、実態)を表すが、私たちはさらに分解能を高めて三つの要素を厳密に使い分ける議論をしなければならない。その三つとは、「事実」と「認識」と「評価」だ。

 自然界の気象現象は連続的に変化しており、事実としての梅雨と梅雨明けの境目など存在していない。ただし、そこで生かされている私たちが梅雨だなあ、とか梅雨が明けたなあと主観的に認知することが認識である。さらに、だからうっとうしいなあと感じたり、早く明けないかなあと願ったり、さあ遊びにいくぞとテンションが上がることが評価である。

 以前は梅雨明け宣言としていたものを梅雨が明けたとみられる発言に変わって久しいが、そもそも事実として存在していない境目を科学として客観的に判定しようとすることにはそもそもの無理がある。とはいえ、ゲリラ豪雨や竜巻の精度の高い予測情報は私たちの安全保障上極めて重要な仕事でなので、気象関係者には大いに頑張って欲しいところだ。

 モノやコトが先にありきで、それをどう認識して評価するのかという場合もあるが(唯物論のようなもの)、私たちの認識が作りだすモノやコトも存在する(唯心論のようなもの)。そこで注意が必要なのは、評価→認識→モノ/コトの順でねつ造された事実が生起するケースだ。私たちの周りにこの三つの分解能や手順がグダグダになっている議論がいかに多いことか。特にマーケティングやMDや人事評価の際には要注意だ。

 明日から流通科学大学でのファッションマーケティングの集中講義が始まる。今年は19名の学生が登録してくれている。熱い三日間が楽しみである。
 2013/08/02 11:03  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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