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弁証法的に発展するモノとコト
オープン5日めのグランフロント大阪に行ってきた。

 昨年のヒカリエ、ソラマチに続き、今年のKITTE、UMIEと矢継ぎ早に都心型高層ショッピングモールの誕生だ。

 ソラマチとKITTEは完全に観光館。地方や海外からの観光客が押し寄せ、年配の方が多いことと一人者とカップルが少ないのが特徴だ。必然的に売れるものはお土産的雑貨に集中すせざるを得ない。すなわち、ファッションアパレルは苦戦を強いられる。

 jヒカリエは女子館だ。オッサンひとりでは空間と時間を持て余してしまう。なんちゃって通好みの食や生活雑貨がマグネットになっている。

 グランフロントの客層で目立ったのは、若いカップルが多いということ。意外と観光客と、何よりも"大阪のオバチャン"がほとんど観察されなかったことに驚いた。ちらほらお見受けする年配のカップルも、KITTEと比べるとはるかに垢ぬけているのが特徴だ。

 マーケティングにおいて、モノ消費からコト消費へと言われて久しいが、これら最新の館は全て"コト"をベースに企画開発されている。それはそれで、コトを求める各層や各カップル、グループが大挙して訪れて一定の賑わいを醸している。

 ただし我々アパレル人が見誤ってはならない重要なポイントは、コト消費において潤うのは飲食と雑貨に限られるということだ。コト消費において動くアパレル商材は、いわゆる"代理購買"モノだ。ここで言う代理購買とは、親子連れで親の財布で服を買ってもらう子供たちや、カップルで見立て合って、財布がどちらなのかはバリエーションはあろうが、デートの延長上で服を買う行為を指す。

 消費言購買行動においては、受益者(ユーザー)と意思決定者と財布の主を分けて考えなければならない。これら最新の旬の館では、自分のモノを自分で考えて、自分の財布で決済する自分買いは発生しにくい。

 なぜならば、本当に自分だけのためのプライベートな商品調達行為は本来的に卑しいものであり、公衆の面前で行うべきではない指向性があるからだ。ハレの場であるとも言えるコト全開の空間で、自分の時間と自分の行為を完遂するには相当の勇気か、もしくは能天気さが求められる。そのような空間と時間で、本当のモノと出会うこともさらさら期待できない。

 KITTEでは、出張鞄に入れ忘れた当座のハンカチを買うことに至ったが、それ以外の館では本日も含めてモノとの出会いは皆無であった。

 モノを売るだけではいけませんよマーケティングから、コト消費に対応するマーケティングの議論が進化したが、コト消費が行きつく空間では本当のモノには出会えないという逆説的矛盾が発生した。その先にあるのは弁証法的解決しかない。

 こんな時代に本当のモノに出会える場所を、自分買い消費者は心待ちにしている。路面の裏通りでの出会いは、確率論的にしんどいものがある。

 連休後半にはUMIEにも行ってみることにする。
 2013/04/30 19:50  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
アパの小技
アパレルのアパではなく、アパホテルの小技に恐れ入ったお話しだ。

 先月、前後の場所の関係から常宿の四谷三丁目ではなく、千葉県内のアパホテルに泊まる機会があった。話には聞いていたが、アパホテルに宿泊するのは初めての経験だ。

 広さは11uと、まさに寝るだけの空間であるがいろんな手配りがアパホテルの強みの源泉になっていると感じた。ズボンプレッサーが各フロアのエレベーターホールにぞんざいに置かれている。

 2Fには大浴場があり、部屋の狭さを補うアメニティ機能を果たしている。なんと浴衣の上には手作りの折り鶴が二羽。セミダブルベッドの部屋にしたので青と赤の二羽がちょこんとたたずんでいた。

 スリッパは都度クリーニングをしたり使い捨てにするタイプではないが、その代わりに使い捨ての消臭中敷が用意されていた。バスタブには、体重を目盛にしたスケールシールが貼られておりお湯を張る量の目安がわかるようになっている。

 水周りは昭和時代のビジネスホテル並みだが、ボディソープ、シャンプー/リンスがどでかサイズで鎮座していてそのプアさを忘れさせる。

 デスク周りには、宿泊約款をはじめとするファイルがどこのホテルにもあるが、そこにレストランや自販機、モーニングコールなどを案内する一般的な情報はない。その代わりに、避難設備と避難経路を案内する情報が満載で、何かを加点するのではなく減点要素がないのが売りだという自信に満ちた独自のコンセプトが伝わってきた。

 極めつけは、"煙ふせぐーん"という、火災の際に頭からかぶって逃げるためのスモークガード(とは言ってもただのビニール袋)が常備されていることだ。脱出する前に窒息するのではと不安になるが、このクソ真面目なギャグ的センスには頭が下がった。

 そして、部屋のサイズとは不釣り合いな32インチの液晶テレビがどんと構えているのが圧巻だった。コストのかからないところで、プチ清潔とプチリラックスを提供して、滞在を楽しむことよりもリスクマネジメントを前面に押し出して安全性を強調する。

 手軽さと利便性と廉価性だけではないアパホテルのこだわりを垣間見ることができた。
 2013/04/25 23:53  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
子供が増えた?
人口動態的には少子高齢化にターンオーバーしたが、社会には子供が増えているらしい。

 愛すべきT女史に紹介してもらったこれまた愛すべきY氏と初めての会食のおりの話題だ。
ゆとり世代の若者たちがほんわかでたたき甲斐にもいじり甲斐にも乏しいことは周知のことであるが、その上の世代の大人であるはずの中堅世代が、実は子供だったりするらしい。
内側の論理でいくら正しい仕事をしたつもりでも、相手の心に響かなければ結果としてそれはいい仕事をしたことにはならない。

 相手の心に響くかどうかはコンテンツとしての正しさよりも、相手の価値感の中で作法に則ることができているかどうかとそこまで考えてくれているか、そこに目を付けてくれたか、すなわち琴線に触れられるかどうかに依存する。

 これは単純記憶再現型の頭の良さでは到達できない、砂金発掘型の泥臭さとアート的クリエイティビティによるところが大きい。前者のモノサシで序列化された名門大学に入る(そこで学んで出ることではない)ことを目的に、特に母親が純粋培養してきた人々に、後者の能力が著しく欠如しているようだ。

 彼ら彼女らはそれらの分野が存在し、社会においてはむしろそちらの方が重要であることに気付いてもいないようだ。日本人の識字率は5%しかないとも言われる。もちろん日本語の読み書きができるという意味での識字率では世界でもトップクラスの我が国であるが、巷に溢れる情報を正しく読み解いて、世の中で起こっていることとその中での自分の位置づけと、そして自分が立ち居振舞うべきとべからずを正しく認識することができるのは20人に一人くらいしかいないそうだ。

 5%が厳密に正しい訳もないが、感覚的にはそんなもんだろうなと実感を伴う数字である。そして、その5%を真の教養人と定義することができるという。
 
 皆が皆教養人になっても社会も会社も回りにくいとは思うが、少なくとも自分は教養人でありたいと考え勉強し続けるしかないと考える。

 美味いビールをごちそうになりました。謝!
 2013/04/19 08:18  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
やばいっ!
佐藤優氏の著書に辿りついて、「僕らの脳の鍛え方」を読了として愕然とした。

 共著の立花隆氏の「宇宙からの帰還」は大学生のときに読んで、「僕はこんな本を読んできた」も読んだ筈なのに…。彼らが推挙する400冊の文献のうち私が読破しているのはほんの両手ほどに過ぎなかったからだ。

 研修の受講生の前で"生涯学習"とのたまう自分が恥ずかしくなってしまった。東大出版会による「知の…」シリーズも迫力があったが、お二人の対談には宇宙レベルの重みを感じさせられた。

 姑息な手段としての知識ではなく、この世に生れてこの世に生きるものとして必須の真の教養の意味と重要性。かなりやばい!(運がよくても)あと三分の一ほどしか残されていない人生。

 自分が生きている世界を、自然科学(物理、生物、化学)としてどれだけ知って理解できているのか。

 さらには、その上で繰り広げられてきて繰り広げられている人間同士の相互作用(歴史、政治、社会)を全く知らない自分。

 究極は、己の精神作用であるところの哲学(宗教や論理)すら何もわかっていない。

 げに恐ろしきは無知。何千冊かは読んできたと思うが、何万冊を読んできた人には足元にも及ばない。残り三分の一で読める量はたかだかしれていることは自明の理ではあるが、だからこそ目いっぱい触れてやる。

 ゴルフのスィングで"力む"ことは何の役にも立たないが、少しでも教養を身につけるべく、読書に対してはちょっと力んでいる。
 2013/04/13 18:57  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
なんとまぁ
昨夜ラス前の新幹線で神戸に戻って、今夜ラス前のフライトで東京に来た道中の出来事である。

 常宿のJALシティに向かう四谷三丁目の地下鉄出口からホテルまでの数十メートルでのハプニング。どこかで見た風体の坊主頭の御仁が、トートバッグを方に抱えて携帯で大声で話しながらすれ違う。

 なにやら目上の偉い人と話しているようで、「先生もうんちゃらくんちゃら…」と耳に入る。ピカイチの百貨店バイヤーから再生事案に身を転じ、GMSの衣料部門テコ入れにも携わり、今は独立して頑張っておられる兄弟でご活躍の業界では有名なその人であった。

 お世話になっているITベンダーさんが主催するとあるセミナーでご一緒したことがあり、こちらは一瞬身構えたのだが先方はマイペースで大声で通り過ぎて行く。ふーん…

 その数秒後、「こんちわっす!お久しぶりです」の二人組に、あれあれと思う間もなくすれ違って。あれは、確か前職の会社のUTの生産担当の、うーん、名前が出てこないなぁと気の利いた一言も発することができずホテルのエントランスに到着。

 およそ十年前後ぶりの路上での思わぬニアミスで、しかも若干年代が異なることから直接的に仕事をする機会はあまりなかったので、それ以上でも以下でもないクロスポイントだった。

 おそらく近所で元の上司と食事でもとっていたのではと思いながら、"桑原"さんのお名前を念じつつチェックインした次第である。

 ボケ顔で歩いていると大変なことになるとは以前も書いたことがあるが、"油断禁物""油断大敵""まさに奇遇"という人生の機微を思い知らされた数十メートルの道のりであった。

 MRを目指すきついプレッシャーの中で頑張っているフレッシュパーソンから終了後かけられた一言に救われた。「おかげて、スイッチが入りました!やれそうな気がしてきました!ありがとうっす!」

 こちらこそ、ありがとう。明日は私を師と慕ってくれるH女史が推進するプログラムなので一層のパワーを込めていざ出陣に臨む。

 数々の師から自分を経て、次の世代へと。すこしはブリッジ役というよりはクーリエ機能を果たすことができていれば…???
 2013/04/10 22:52  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
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プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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