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素晴らしい若人たち
 今年の新入社員研修は一つの節目になる。長男の同級生にあたるからだ。当の本人はというと、理科系であることから大学院に進学したので就職は少なくとも二年先だ。

 さて、ゆとり教育世代になって打っても響かない新人が増えたという印象を二年前、一昨年と感じてきたが、昨年から"少し違うぞ!"という感じになり、まだn=27に過ぎないが、今年の新人は"さらに違うぞ!"だ。

 毎年数社の新入社員研修のお手伝いをさせていただくようになってから7年目になるが、過去最高のテンションで二日間を過ごすことができた。やはり震災以降の世相を通じて若い人々も社会や会社に対して、それまでとは異なる何かを感じているのだろうか。

 絆というキーワードは以前ほど聞かれなくなってしまったが、関係性の構築と維持、相手本位なる概念に異常なほどに反応があった。

 こんな子たちが社会に出てきたのであれば、私たち諸先輩さえしっかりすればまだまだ日本は大丈夫だとさえ思えた。ただ、大丈夫ではない諸先輩もたくさんいるし、自分もその一人になりかねないので強い自覚と自律が求められる。

 終了後のアンケートで初めて"受講生に対する愛を感じることができた"旨のコメントを頂いたことにも、驚きとともに一所懸命やって良かったと晴れやかな神戸への帰路であった。
 2013/03/31 18:57  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
必要条件
とあるアパレルの創業社長との出会いがあった。

 コンパクトな規模を堅実に維持してきた、それゆえに世界観とクオリティは傑出しているブランドら。私より10歳年上の大先輩にあたるが、経営上の課題に対する私からのコメントに真摯に耳を傾けて下さった。

 20%や30%増ではなく、倍増を目指そうと考えておられる。何かのお力になれればとビジネス抜きで共感させられた。

 一般論として創業者が偉いわけでも凄いわけでもないが、彼らのIDのひとつは会社および会社で起こることの全てが自分事であるというオーナーシップにある。言い換えれば、ポジティブな意味で逃げるところがないということになる。

 さらにその社長はパターンナー出身で、今でもテーラーに自分で引いたパターンを持ち込んでスーツを作るのだという。ここに"モノ作り"というキーワードが登場する。

 私のおよそ30年前の就職活動では、"モノ作り"と"創業社長が現役"の要件を求めて前の会社との出会いがあった。それらの真逆にあるのが、他人事のようにマニュアルや職務分掌に従ったただの事務仕事をこなす態度と、自分達が扱っているモノやサービスにこだわりや深い理解がない状態だ。

 どうもアパレル業界にそのような社員が増えているように思えて仕方がない。IT化やロジックの進化がもたらした弊害とも言うことができる。超巨大アパレルのロジスティクス責任者に応募してくるもの凄い履歴(米国の大学を出て英語がネイティブレベルで、外資系の企業で管理職経験がある)の30代の人々のことごとくが、ただのメッキで中身は空っぽだとの嘆きも聞かされた。

 何も、デザインができたりパターンが引けたり縫製が自分でできる必要はない。理解して、こだわって、積極的に深く関わっていく。そして自分の周りで起こっていることを全て自分事として、小手先ではなく腹で仕事をしていく。世界的に同族企業が強い所以のひとつはそこにある。

 どんな仕事観と人生観をもつかはそれぞれの自由であるが、少なくともこのようなスタンスで仕事を進めていく人以外は臨時雇いのパートタイマーで事足りる。経営幹部はもとより一人でも多くの正社員にこのモチベーションが求められる。下手をすると店頭のパートタイマーにそんなFAが何人もいるにもかかわらず、本部スタッフが全くそうではなかったりする。

 素敵な出会いを演出してくれたT女史に感謝!
 2013/03/29 07:18  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
いよいよ新入社員
今週からいよいよ新入社員研修がスタートする。

 今年は、6年目に突入する総合商社さんをはじめとして3社のお世話をさせていただく。日程がバッティングすることから断念した2社が残念ではあるが、どんな出会いとエピソードがあるか楽しみである。

 実は私にとって今年の新人研修は一つの節目になる。長男と同学年の受講生と対峙することになるからである。彼は地方国立大に学ぶ理科系であることから大学院への進学を選択し、社会人化には少なくともあと二年の猶予を選択したが、今年の研修対象者はまさに子供たちの世代となるのだ。

 あと二社は、昨年もご一緒させていただいたメガメディア企業さんと初めての製薬メーカーさんとなる。

 昭和史のレビューの一週目が終わった私が、どのようなテンションと反応で次の半世紀を担う人材にメッセージを託すことができるか?
 
 いつものとおり当日のシナリオは無の境地でその場の流れに任せるとして、事後談をお楽しみに!
 2013/03/26 19:29  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
追い出し部屋
追い出し部屋が騒がしい。

 以前は"窓際"と呼ばれていた場所に近い概念だが、全社が比較的客観的な場所を表しているのに対し、後者には企業側の主観的意思が強く働いている可能性があるが故に問題がある。

 師の加護野先生が"窓際には三つの効用があると説かれていた。第一は、そこに居る当事者にとってのもの。「必ずここから脱出してやる!」、もしくは「ここで頑張るぞ!」というモチベーションの源泉になり得ること。第二は、その他の社員にとっては「絶対にあそこには行かないように頑張るぞ!」というもの。

 オチになる第三は「燃え尽きて枯れ果てても最後に行くところがある!」という一種の保険機能を果たしているというもの。

 翻って追い出し部屋の効用はいかなるものか?当事者の能力の再開発や新たな気付きの喚起という効用が表向きのポーズとして示されるが、その運用の実態には様々な問題があろうことは容易に想像される。

 私が物心ついた頃の父の世代の定年は55歳であった。それが60歳になり65歳までの再雇用が義務化されるに至った。高齢化社会の進展と年金制度の不全性からやむを得ない流れではあるが、企業の活力を維持する新陳代謝のメカニズムとは切り離して考えていかなければ社会を守って会社を守れない事態になりかねない。

 米国のダウの久々の賑やかさやアベノミクスへの期待を見ていると、またバブルが再来するのか…とため息が出てくる。目先への楽観的な期待に過ぎないフィーバーをしている場合ではない。

 私たちが未だ経験したことのない人口動態的にシュリンクしていく社会において、どのような経済構造とそれを支える企業活動をデザインし実施していくのか。労働関連諸法規の強化が企業の元気を奪っているというのも加護野先生の論であるが、その圧力からでんぼ(おできの別称で、昭和30年代から40年代にかけて「おできと莫大小(メリヤス)屋は大きくなったら潰れる」と言われていた)のように噴出してきたのが追い出し部屋だ。

 ということは現状の各種施策は企業を元気にするどころか体調不良に追いやるもので、健全な新陳代謝を促すメカニズムとしては機能していない。

 立法と司法に期待薄の今、各企業の人事が構想を練って社内の仕組みに落とし込むことが必然だ。労政事務に追われる毎日ではあろうが、緊急ではないが超重要なこの課題のプライオリティを上げて時間とエネルギーを割くことを強くお勧めする。人事を超えた経営者の仕事なのかもしれないが…。
 2013/03/15 07:44  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
どうなる週指数
週指数はアパレルのMDが業務の出発点にする基本的な指標となるものだ。その週指数が安定的再現性を欠き始めている。

 大きな理由は二点あって、第一は期末のクリアランスの開始時期と引っ張り具合であり、第二は期中の"レジオフ"の時期や期間が変動していることと乱発気味の傾向にあることだ。
以前、価格弾力性と所得弾力性の議論を展開したことがあるが、期中(実需期)の10%もしくは15%オフの弾力性は意外に大きい。

 ルミキャンやマルコとマルオに代表される館が自社カードを通じて決済時にマークダウンするものと、箱(テナント)単位に独自に自店のレジでオフするケースに分かれる。なお、15%オフは野球の優勝セールの常とうオフ率であり、地方の百貨店などの優待も15%となる場合が多い。

 今年のルミキャンが例年より一週間遅れで、2日間プラスして開催されるという。もともとのルミキャンは4日間の潔さで、対抗した丸井が7日間引っ張るという図式になっていた。

 アパレルの週指数は、春のピークが12週と13週に向かって上昇し、GWの18週に連休特需がある館とない館に分かれる。秋は38週に天井を付けて42〜43週のアウターが一気に動き始める。従来のルミキャンは春と秋の週指数のピークを先取り、夏と冬のそれを後ろに引っ張る日程を堅持していたが、ここのところそのカレンダーに狂いが生じ始めていて、この春が決定的に変化をもたらす可能性がある。ズバリ春需要のピークに日程を増強してぶつけてきたからだ。

 超残暑の秋と厳冬と豪雪を経験して、ダラッとした期末のセールがあって消費者の時計も大きく狂っている可能性が高い。春物が立ち上らず2月に大苦戦したファッション業界に春は訪れるのか?

 百貨店の優待日の前週あたりから"お取り置き"の嵐になる。本来的には禁じ手の筈だが、現実的には押さえようがなくPOSデータ上では週をまたいで売上を認識せざるを得なくなる。

 売り手と買い手の間には、一種の「申し合わせ」が成立する可能性があり、それには善玉と悪玉があると考えられる。8時45分に印籠が出てきて一件落着となる申し合わせは長年にわたって視聴者を惹きつけていた。吉本の池乃めだかの、「保安官のロバートです」や「見下ーげてごらんー」などもそれにあたる。

 一方で悪玉の申し合わせは、優勝セールのように消費者は当然のイベントと待っているが、いつ始まるのかどちらが勝つのかがわからない状況で準備を強いられるサプライヤーにとってオペレーションの上では悪玉と言わざるを得ない。

 一物二価はあり得ないとされてきた百貨店アパレルのやり方は、過去においては善玉の申し合わせだった。その点、ユニクロがものの見事に壊し去った影響は少なくない。店舗とネットで価格が異なる場合があること、週末のイベントが終わったら元の価格に戻ることを新しい申し合わせとして成立させたからだ。日本マクドナルドも店舗によって価格が異なる施策に着手している。

 善玉の申し合わせに相当するプロモーションは定期反復的に行うべきである。当然、水戸黄門が終了したようにどこかにその寿命はあるのだが。また、悪玉の申し合わせはランダムに実施して消費者による事前の構えを避けるとともに、サプライズ的な効果が薄れないように気を付けなければならない。楽天モールでのポイント10倍付けがその典型である。

 ポイントと言えば、30倍や100倍まで出てきて、これも需要動向を汚してしまう一因になっている。金銭的還元が短期的特効薬になることは事実であるが、それがプロパーの需要動向を見えにくくさせて、結果的に本来目指すべき付加価値アップによる粗利の回収を困難にさせている。

 誰がこの悪魔のスパイラルの連鎖を食い止めるのだろうか。アパレルに限らず、そういう気概をもって商品やサービスを開発し販売、提供する男前が増えなければ我が国の未来は相当暗いものになる。
 2013/03/11 08:33  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
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プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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