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人の命は…?
古山高麗雄の戦争文学三部作を読破した。「断作戦」「龍陵会戦」「フーコン戦記」の三冊だ。

 著者が没して10年以上になるが、幕末〜昭和史のマイブームの中でここにきてようやくリーチしたのである。国や将校の目線での記録は数多く残されているが、一兵卒の現場目線での戦争観がそこで繰り広げられた事実の一面を現場のリアリティと人間の本質をもって浮き彫りにした秀逸の作品群であった。

 彼は言う。将校の中にも素晴らしい人物はいたが、小隊長に撃たれた中隊長のようにどうしようもない人間もたくさんいたし、上等兵の中にもいけてないやつはいたと。

 詳しく当時の軍隊の階級をご存じない方のために。大将、中将、少将、大佐、中佐、少佐、大尉、中尉、少尉、准尉、曹長、軍曹、兵長、伍長、上等兵、一等兵、二等兵の17階級。ある種の人々にとっては登りたくなる魅力的な階段だったのだろう。それからすれば、主任や次長はかわいいねぇというところか。

 古山氏は、“人の命は地球より重い”と語った77年当時の首相の発言を、ちゃんちゃらおかしいと切って捨てるのである。兵員数にして20倍〜50倍、火力にして50倍〜100倍の彼我の差を、大和魂をもってして1人が20人を撃滅すれば勝てると前線に駆り出された当事者からすれば当然の思いであろう。ランチェスターの法則に従えば確率論的に勝敗は明白であるが、その理屈を超えて人を動かすとんでもない力が働いていたとしか考えられない。お国や軍隊などの組織が陥る集団催眠状態とそれを構成する個人が陥る大きな勘違いと、その両方がそれぞれ因果をなして泥沼にはまっていったのだろうと想像する。

 遠くアルジェリアでの情報が未だ定まらない。事実は過去の出来事として確定しているがそれを知るすべがないのだ。戦時中に出征した家族の安否を銃後で心配する人々も同じ心境であっただろう。事実と認識とそれを受け入れるということは時間差をもって私たちに襲いかかる。

 当該当局にとっては、武装勢力、人質を問わず、それらの人命は自らの政権と利権を維持する大目的にとってみれば天秤にかけると上に上がってしまう軽さのただの分銅に過ぎず、第一次大戦と第二次大戦においてそれらのことをやり尽くした先進国の現代にとっての人命の認識と、彼の国にとってのそれとは歴史的フェーズに大きなズレがある。大きくズレた国家や人類が同じ時を共有して生存しているのが地球の実態なのだ。

 仮に人の命が地球よりも重いとすると、私たちはこんなちっぽけな日本の交通社会を維持するために年間数千個の地球を犠牲にしていることになるし、毎年三万個の地球が自らその命を絶っている社会はいったいどんな世界なのか?

 前の会社の同期に、現場の社員のことを“兵隊”と表現する人がいる。その都度注意しようかと思いながらその機会を数回逸したまま今日に至っている。彼はある会社のトップも務めたことがある戦時中で言うと将校クラスなのだろうが、後ろから撃たれないことを祈るのみである。

 会社の管理職〜経営層は将校〜大本営の相当すると考えると、そこが組織として集団催眠状態に陥らないことと、それを構成する個人が大きな勘違いをしないことがどれほど重要か。

 現場の一兵卒は冷めた目で現実を見据えて、機会あれば後ろから撃ってやろうと覗っているやもしれない。脱走兵は軍法会議で重罪に処せられる軍隊と異なり、退職や転職は自由になった今、企業は一兵卒の辛辣な審判にさらされていると言える。一部には人事考課や出世を担保にギリギリの誤魔化しは効いているが、その緊張の糸がきれた企業は内部崩壊しかねない。船を動かしている人間どもよりもネズミの方がよっぽど賢いのである。
 2013/01/21 10:04  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
邁進
京都のWの若手7名と熱い宴会が催された。

 一昨年からロジカルシンキングの研修でご縁があって、ちょうど一年前にそのときの受講生3名と鍋をつついたが、その今年バージョンが規模を拡大して開催されたのだ。

 昨年12月の受講生のいじられ役のH氏が早速動いてくれて、今回の受講生3名と前年度の4名と二代に渡っての小宴を企画してくれた。

 いつものように早々に酔っ払いながら、業界論や人生論を語らうオッサンに三時間もお付き合いいただいた面々に感謝!社会人2年目、3年目というのはこうなんだと改めて自分の当時を思い出しながら…。

 わかったつもりで、できるつもりの自分が当時のそこにいたが、大いなる勘違いであったことを恥ずかしく思う。ボスのM氏の呆れ顔が昨日のように目に浮かぶ。

 そのボスは賀状に、「地球温暖化で思い出の地が‥」と書き添えてくれていた。モルディブに新婚旅行に行ったことを覚えてくれているのだ。けちょんけちょんにやられた三年間の随所でこんな風に言われた記憶がある。

 「私に言われていることを逐一メモにして集積しておけば、新入社員を教育する立派なマニュアルになって本が書ける」と。書き言葉としての形式知は一部しか残存していないが、私にインストールされたノウハウとして少しでも次世代に伝えることができているとしたら、少しは恩返しになっているだろうか。

 次世代を担う業界人を育てていくこと、これに勝るライフワークはない。
 2013/01/17 20:25  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
大国の陰謀?
超大手IT企業からアパレル業界に転じたI氏との議論で盛り上がったお話しをシェアします。MBA的与太話としてご笑読を。

 ソニーやシャープ、パナソニックの苦戦の原因を戦略論でひも解くと次のようになる。
ハードウエアの製造プロセスの垂直統合には成功したものの、ソフト(コンテンツ)の統合には関心を持たなかった日本勢はソフトを垂直統合してハードの製造は水平統合したアップルに敗れ去った。

 実はその裏にもうひとつある意思が働いていたのではないかと大いに盛り上がった次第である。日本勢に共通するのはバブル崩壊以降「選択と集中」に邁進し、その結果として現在のビジネスドメインがあるという点だ。

 選択と集中は今となっては普通のビジネスロジックであるが、それをお経のように日本の各社に説いて回った当事者はB社をはじめとする米国大手コンサルティングファームの面々であった。

 そこで活用されるツール、PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)は皆さんよくご存じかと。同様のフレームワークであるビジネススクリーンはGE社の社内ナレッジだ。GEが白物から撤退したのはビジネススクリーンを通した戦略的意思決定であったことは余りにも有名だ。

 時を同じくして人事系のコンサルタントが旗を振り我も我もと実力主義に走った挙句、大きな揺り戻しに直面ことは記憶に新しい。ふと気が付けば私たち日本企業は大きな財産だった終身雇用と年功序列のよいところまでかなぐり捨ててしまっていた。

 ちなみにアベグレンのもとの表現は“ライフタイム・コミットメント”であったが、占部都美による最初の訳が終身雇用とされたのでそれが定着した。ライフタイム・コミットメントとして原語でイメージすると、終身雇用とは若干異なるニュアンスがイメージされる筈だ。定年まで雇用を保証する法的、仕組み的問題というよりも、生涯を通して強く関与するという精神的動員を指している。

 さて、繊維や自動車の分野では摩擦が表面化した結果“構造協議”なるもので徹底的にその牙を抜かれた日本企業であるが、家電構造協議というのは記憶にない。

 それに代わる手段としてこの失われた20年の間に、私たちには見えざる誰かの意思が働いていたとしたら‥。ビジネスフィクションとしては面白い筋立てになるよね、と。
 2013/01/10 08:16  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
一段落
トータル17クール(うち私の担当は11クール)の大型研修案件が本日終了した。

 のべ400百人弱が受講対象となる本件も4年目に突入しているが、これだけのシェアを担当したのは初めてなので、肩の荷が下りたというのが正直な感想だ。

 とともに、今年もたくさんの刺激と学びを与えてくれた皆さんに感謝!実務経験が6年目を超えるいわゆる中堅社員の吸収力と学習意欲の高さには並々ならぬものがある。かく言う私も四半世紀前には同じ世代であったが、口数が減らないだけのやんちゃだった自分を思い起こすと恥ずかしさすら覚えざるをえない。

 いまはこうして熱心に彼ら彼女らを導かんとするピュアな時間を過ごすことができる立場にあるが、会社員時代にそれができていたかと言うと?が立つ。残念ながら、当時の自分は後進を正しく導くかよりも、自分がいかに成果を上げるか、自分がいかにいいポジションをゲットするかに重きが置かれていたのは否定しようのない事実だ。そんなことはない聖人のような組織人もたくさんいらっしゃると拝察するが、所詮自分はその程度の存在に過ぎなかった。

 その結果、できなかったこと、失ったものを数え上げればきりがないが、なんとか矯正することができ今にいたることができたのは有難いことだ。

 閉じた組織の中でプロパーの人間ができることと言えることはたかだか限られている。だからこそ私たちのような商売が成り立つのであるが、自浄作用が健全に働く組織や社会であることに越したことはない。研修ビジネスを通じてその端緒を感じることができるシーンは数多くある。

 コンサルティングを通じてもいくつかのクライアントからはその萌芽を感じ取ることができる。その反面、直接関与はしていないけれども、その欠片すら伝わって来ない企業も数多く存在している。

 実際には迫りくる閉塞感を無理やり追い払いながら、追い払った振りをして虚飾の達成を追いかけるよりも、自然な開放感の下で誰にもやいのやいのと言われない、やっている感とやった感を感じることが私たちが生きている証であって、限定的なお金や地位や名誉は主観的なそれらとはまったく無関係であることを私たちはあまりにも知らなさすぎるか、知っていても鈍感すぎると思ってしまうのは、もはやオッサンを通り越してオジンなのだろうか???

 オジンのミッションは二つしかない。後に続く時代に迷惑をかけないことと、後に続く時代を担う人々に正の土産を残すこと。
 2013/01/08 22:43  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
始まった
 仕事は4日5日とスタートを切ったが、いよいよ明日から本格的に今年がスタートする。

いきなり大阪一泊二日と東京二泊三日と大阪二日通いの7連荘が開始される。その間、新年会も4発あって、ありがたいことだ。

 色んなしがらみを背負って転職した人、海外に赴任する人、中学からの親友、そしてファッションビジネスリーダー養成塾の面々。

 今年は既に初ラウンドも初練習も済ませている。スイミングにも二度行けている。田舎のそれぞれの両親にも挨拶してきた。腰は悲鳴を上げる寸前であるが、何とかもってくれることを祈る。

 インフルエンザの予防接種の10日後から風邪気味の体に鞭打って、さあて2013年もエンジン全開だ!

 二年連続で同期会に顔を出せないのが残念至極ではある。
 2013/01/06 17:54  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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