« 2012年04月 | Main | 2012年06月 »
カスタマーの心、企業知らず
親の心、子知らず。カスタマーの心、企業知らず。

 CCCが展開する“Tポイント”ンと三菱商事系の“ponta”の戦いにも、顧客の立場からもマーケティングのロジックからも疑問を感じざるをえません。

 顧客の立場からは、それぞれの会社が独自に行っているサービスとそれらポイントの棲み分け方や、どうすればもっとも得な状態になるのか、いったい何がどうなっているのか訳がわからないいだけでも相当のストレスであり、結局は原価にのせられてるんでしょ!という投げやりな気分にさせられるのがオチです。

 ドトールやファミマのレジでいちいち確認される「Tポイントは…」には、アルバイトの店員の方から「聞いて断られるの面倒くさい」オーラを感じさせられることも少なくありません。pontaが溜まるローソンでも同様のオーラを感じる読者の方は少なくないと思います。

ここでマーケティングロジック上の矛盾点を二点指摘しておきます。

 複数の業種業態をまたいだポイント制においては、ポイント貧乏になるテナントとポイント立地になるテナントが発生します。その統計的データを完全に掌握している筈の楽天が事実を公表することはないでしょうが、通販ビジネスで楽天に出店していたときの経験則を申し上げます。

 日常的な小さな頻度の高い、すなわち最寄品かつ恒常商品でせっせとポイントを溜めて、非日常的な季節性の高い、すなわち買い回り性のある流行商品の購買機会にポイントをドカッと使うという行動パターンの消費者が一般的です。

 したがって、私が扱っていた少し付加価値の高いアパレル商材は完全にポイントリッチ状態でした。コンビニやコーヒーチェーンでの消費活動は前者の典型ですので、一般的消費者の行動パターンとしては、そこで溜めたポイントを他の業態で年に数回しかないちょっとした大きな買い物に使うことになります。つまり、コンビニやコーヒーチェーンでは1%で還元したポイントを1%以上回収する機会は永遠に訪れない可能性が高いということです。

 そもそも薄利(粗利ベースで)の業態がポイント貧乏になって、粗利率の厚い業態や商材がポイントリッチになる仕組みが合理的に永続、発展していくとは論理的に考えにくいことが第一の問題点です。

 第二の問題は、利便性や迅速性を提供価値とするコンビニやファストフードがたった数秒のやりとりに過ぎませんが、それらを犠牲にして粗利を削って経済価値を還元することにビジネスシステムとしての整合性があるのかという点です。

 利便性や迅速さに顧客が価値を感じていれば値引きや安売りは求められない筈です。事実、つい最近までコンビニにおいては定価販売が維持されて、店頭での値引き販売は一切行われていませんでした。

 値引き競争はいい加減卒業して、提供価値の高さ競争に移行しなければ、本当にとんでもないことになってしまいます。ただし、世界には経済成長時差が存在しますので、それがやりたい企業は発展途上国で勝負をして下さい。残念ながら国境を超えることができないドメスティック企業は、即刻ギアを付加価値競争にシフトし直して下さいと声を大にしても申し上げます。

 あなた方だけの問題ではないのです。このままでは少子高齢化が加速度的に進行する我が国においてマクロ的に経済がシュリンクする原因物質をばらまいているからです。

 次回は、業界にとってドキドキものの春夏のクリアランスセールの後倒しの行方について占ってみたいと思います。
 2012/05/28 21:31  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
JALが削ってはならないもの
JALのロイヤルカスタマーに対するサービス水準が低下する一方です。

 会社更生法が功を奏して、2000億もの利益を計上できることは評価に値しますが、「今まで、何やっとったん?」という印象も否めません。 法律上の特例措置もあることから、利益水準で6倍を超える水を開けられたANAの伊東社長の、紙上でのコメントは、「それを理由や言い訳にはしない」という潔い内容だったのが印象的です。

 私がJALのヘビーユーザーとなったのは、たかがここ10年ほどに過ぎませんが累積搭乗回数は1000回を超え、毎年トップクラスのダイヤモンドのステータスを得ているロイヤルカスタマーの筈です。

 私たち顧客がJALから削られたものを列挙させていただきます。

 其の一、数年前までは、マイルの乱発ともいえるキャンペーンが一年のうち三分の一程度の期間にわたり恒例化していましたが、ここ何年かはステータスに応じた倍率のみで沈静化しました。日常的搭乗で蓄積するマイルの爆発力は全くなくなってしまいました。

 其の二、最上級のステータスの特典がオプション化されました。ショッピングクーポンで還元したい人、国内アップグレードもしくは海外アップグレードで還元したい人と分け隔てて、オンディマンド対応になった点は評価に値します。ただ、その申し込み手続きは顧客無視とも言えるもので、毎週のように送りつけられるジャンクPRメールと区別もつきにくいメールで、ステータス達成後、その年の年末までのネット上で手続きをしない限り、勝手に国際線アップグレードコースに押し込められるメカニズムになっています。

 メルマガはタイトルを確認するまでもなく削除するのが通常オペレーションとなっている可能性の高いビジネスパーソンにとっては、「何考えてんねん」というフローです。

 其の三、空港周辺で便利に使えたICクーポンサービスが廃止されます。何年か前からANAのEDYに対抗してイオングループのWAONと提携しているJALですが、この度、電子マネーサービスがWAONに統合されるそうです。

 提供側としては、インフラの統合、利便性のシナジーというロジックなのですが、ユーザー側としては、あらためてもう一枚の新しいカードを作成して所持して使い分けなければならない煩雑さが増す改悪です。そもそもJALダイナースとダイナースプロパーを二枚持ちしている私としてはJAL絡みだけで三枚持ちを強要される状況に追い込まれます。日常的に携行するウォーレットには8枚のカードが限界ですので、勘弁してよという感じです。

 ロイヤルカスタマーが求めているのは微少な経済的価値ではなく、オペレーションのショートカットや精神的エネルギーの削減、癒しの瞬間の享受など、ちょっとしたことや金銭では置き換えにくい価値であることをサービサーは肝に銘じるべきです。

 稲盛さんの存在と手腕は凄いものだと想像されますが、JALでCRMを担当しておられる方々のゴールイメージ、ミッション、顧客満足に関する思想には大きな疑問を感じざるを得ません。

 近しいことが他にも闊歩していますので、続きは次回以降で。
 2012/05/24 19:56  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
ダイバーシティにて
感動的な金環日食ショーを見ることができました。

 神戸では完全な金環にはならないので、完全金環の帯に入っている東京に日曜から入り、常宿とはことなるお台場に滞在して当日に臨みました。

 いささか曇り気味だったものの、1000円を超える投資をした日食双眼鏡のスペックにも助けられて、見事な金の輪っかを見ることに成功しました。

 すぐそばのフジテレビ横では中継も行われており、台場駅からダイバーシティー横を超えてガンダム前の公園までたくさんの人々で賑わっていて、束の間の感動を皆で共有することができました。

 改めて自然の営みの偉大さを感じ入るとともに、私たちは地球において自然に生かされていることの実感を新たにした次第です。

 それにしても、ダイバーシティはヤングのカップル、グループ向けのコンテンツおよびレイアウトになっていて、中高年には優しくない館でした。
 2012/05/21 08:40  この記事のURL  /  コメント(2)  / トラックバック(0)
高業績には理由(わけ)がある!
 我が国随一の経常利益率を誇る企業の、とある事業部の営業責任者の面々とロジカルシンキングでまみえました。

 これまでいわゆるメーカーさんの領域に属する製造業の方々とも研修の場面を数多くご一緒させていただきましたが、数百回の講師経験の中でも衝撃的な一日でした。

 製造業に代表される組織文化は、地味にコツコツと目立たぬように盤石の基礎を技術的にインフラ的に築いていくというイメージがあります。実際にそのような文化の製造業の方々と、新入社員から中堅社員、人事のご担当者の方々と様々な遭遇を経験してまいりました。

 しかしながらまだまだ、経験不足、勉強不足、認識不足の私が今日ここにありました。本日お集まりの方々の人間力と対人影響力たるや半端ではありませんでした。事業部長自ら、土曜日というのに多くの時間をオブザーブに割いていただき、関係スタッフの方々の存在もいつも以上に大きいものがありました。

 そこから伝わってきた、組織構成メンバーの個人個人のキャラクターとモチベーションの際立ち度合いもさることながら、組織やチームとして脈々と流れている関係性のパワーにもただならぬオーラを感じさせられました。

 アパレル業界の営業部門がそこそこのイケイケの乗りだというのは全くの世間知らずです。品質を基盤に比較的固くてしかもCではなくBの客先を対象とする業種業界の営業部門の底力を思い知らされました。

 時間の関係で、「共変」と「相関」と「因果」の議論に言及できなかったことが本日の反省として残っていますが、間違いなく彼らの人間力と組織力が好業績の源泉であり、好業績という結果が彼らをエンパワーメントしているのだと実感いたしました。

 好業績には理由(わけ)があり、それが個人や組織を元気にする好循環をもたらします。このことはニワトリタマゴの因果関係ではなく相関関係であることが経営者やトップを悩ませるのですが、その正のループにはまっている組織や時期は、素晴らしいパフォーマンスを発揮することに疑いの余地はありません。

 最初のボタンがどれなのか、その見極めに我々の力量が問われています。
 2012/05/19 21:14  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
サンデル博士が…
マイケル・サンデル博士がいってしまいました。次の次の日曜の講演を楽しみにしていたのですが、主催者のダイヤモンド社から講演中止の知らせが届きました。出張帰りのメールに即刻反応して、日曜日の東京日帰りを楽しみにしていたのですが、潰えてしまいました。

 協力会社を通じた氏とのコミュニケーションの齟齬があったとかで、講演内容について折り合いがつかなくてドタキャン。お詫びの500円のクォカードは、次男の肥やしとすることになりました。

 想像するに、ダイヤモンド社の思想とコミュニタリアンとしての同氏の考えがすれ違ったのか?
当日の題目に関する表面的なズレなのか?ギャラの0の数と間違えていたのか?真相のほどは、追々明らかになる可能性がありますが、協力会社と称されている実質下請け企業の今後を考えると‥‥‥という気持ちにさせられます。

 組織論においては、結果責任を負うのが管理職で、現場職はプロセス責任で評価されるべきとされます。管理職(この場合は発注元の親会社)はプロセス責任は果たしたと主張し、汗をかきかき頑張った現場(この場合は協力会社)は結果責任として、詰腹を切らされるのではと心配してしまいます。

 私たちに多くの知見を提供してくれる書籍の出版元の同社が、まさか…とは思いながら、サンデル博士とまみえる日を楽しみにしています。

 出産を間近に控えた母親の夫が医師からこう告げられます。「母子ともに救おうとすると50%の確率で両方とも命を失います。子を見殺しにすれば、90%の確率で母親だけは助かります。このケースにおいて、おまえならどうする?」と問答を仕掛けられたのは新入社員のときでした。
そんなもん、両方助けたいわ!というのはただの人情に過ぎず、合理的には母を助けて次なる子を期待するというのがそのときの上司の教えだったのですが…。

 同じような文脈で昨日はVMDの講義をさせていただいた私がここにいるということに深い感慨を覚えるとともに、まだまだ勉強と気が引き締まる思いです。
 2012/05/16 23:39  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
| 次へ
プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

北村禎宏 プロフィール
リンク集
カテゴリアーカイブ
最新記事
2012年05月
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
月別アーカイブ
最新コメント
Sayo
ファッションのコモディティ化 (2015年12月11日)
冨田さより
すごい学生がいたもんだ (2015年08月09日)
しの
日本人の忘れもの (2013年02月11日)
nobu
やっぱやられた (2012年10月24日)
北村禎宏
ダイバーシティにて (2012年05月24日)
最新トラックバック

http://apalog.com/kitamura/index1_0.rdf
更新順ブログ一覧
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード