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ヒト
企業内研修の講師として登壇するようになってから5年になります。

 本日、最終日程が終了した情報通信大手企業の新入社員研修は、複数のプログラムで延べ6日間の研修をお世話させていただきました。

 これまで、同じ受講生に対しては3日間の研修が最長でしたので、私にとっては初めての同じ受講生に対する長丁場となりました。それは、日程的にハードという意味ではなく、どこまで感情移入が起こるのか、また、最終日にどれだけサクッと納めることができるのかというチャレンジでした。

 昨年も二日間だけですが、ご一緒させていただいた経験のある先様です。したがって、受講生のケイパビリティと会社としての支援体制の充実度は承知していたつもりでしたが、それでも予想を上回る大きな余韻が私には残りました。

 右肩上がりで市場が伸長している情報通信産業であることと、その中でも雄たるブランド力と技術的背景がある企業であるとはいえ、次世代を担う人材の受け入れ態勢と、その当事者である新入社員のモチベーションの高さと、日々進化するその能力を間近に共有させていただき、感極まるものがありました。

 ほぼ確実に一期一会であることは覚悟した上での現在の講師業ではありますが、出来得るならば彼らの3年後、5年後、10年後、もっとそれ以上に至るまで、ともに考えともに成長していくことができたら…と複雑な心境でした。キッシー、締めの一言ありがとうございました。

 翻って、2割の人員を削減せざるをえない百貨店業界をはじめ、アパレル業界を取り巻く環境は厳しいものがあると言わざるを得ません。長期戦で人材を確保して育成している暇などないというのも、偽らざる本音であることは否めません。

 その一方で、目先の経営テクニックや、原価や粗利や経費に操作対象として目を奪われてしまっている間に、もっとも重要な経営資源である“ヒト”に対する配慮と投資を怠ってしまっては、ゴーイングコンサーンたる企業の基本ミッションを実現できる訳もありません。

古巣の大手アパレルに対する自戒の念も込めて…
大きなレバーが少しづつ見えてきています。
 2010/04/23 22:03  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
軒先貸して母屋に入れず
大手アパレルのライセンスビジネスの出発点を回顧する議論に触れる機会がありました。改めて感動させられた点と、法務的示唆がそれぞれありましたのでご紹介します。

 結果的にライセンスビジネスでも大成功を収めることになった有名ブランドなのですが、その出発点においては、数多あったライセンス契約の引き合いを断腸の思いでお断りしたというお話です。

 ライセンスフィーはとても美味しい収益なので捨てがたいのが現場の本音。でもまずは、自分たちの本業のビジネスモデルが確立してから手を出そうというトップの決断にみんな納得したという。素晴らしいですね。

 その一方で、ライセンスビジネス解禁後最初の時計の契約ではライセンシーに独占権を与えてしまったので、本家本元が当該アイテムを作ることができなくなってしまったというオチが付きました。

 法務的に言うと、商標権者すら排他する条件を付けた専用使用権が設定されてしまったということです。商標権は、“使用権”と“禁止(排他)権”と“損害賠償請求権”とで構成されるからです。それらの組み合わせを間違えてしまうと、家主がその軒先を通って母屋に入ることすらできなくなるのです。

 当時の私は法務担当者の駆け出しで、戦略的法務で助言できるほどの力も立場もなく、ひたすらメンズブランドの偽物を追っかけて市場を走り回っていました。二十数年前のことです。

 久々の法務ネタでした。
 2010/04/21 06:36  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
カンカン帽の悲劇
帽子の世界でのお話です。

 ここ二年ほど男女を問わず“ハット”が大ブレークして、今年はそれが“カンカン帽”に来ています。春夏最後の追加で仕込んだ上代2800円のカンカンをどう売っていくか悩ましい議論がありました。

 回復の兆しが見えかけたブランドもちらほらですが、バッグも一波終わって、足まわりに兆候はあるものの、多くのアパレルやブランドが帽子に力を入れています。そこで、ヤング向けアパレル(カンカン帽はヤングしかかぶりませんので)の出してくるプライスが1500円近辺であることから、帽子専門店としては悩ましいのです。

 カンカンは剣山型のトレンドなので、今年限りのブームに終わることは明らかですが、そのときにどんなプライス戦略で売りぬくかを弾力性のセオリーを踏まえて議論しました。

 すなわち、トレンドに乗っかりたい人々は誰もが買うけれど、二個も三個も買うことがないアイテムをどう売っていくべきかという議論です。特にカンカンはもともとボディとしてのデザインバリエーションがあるわけでなく、しかも天然素材(ストロー)であることからカラーバリエーションも期待薄。リボン等のディテールで違いを出すことくらいしかできないのですが、ということは安いからといって、一人が何個も買うものでなければ、安いからといってレイトマジョリティが手を出す商材でもありません。

 そのような商材で価格競争を行うということは、価格弾力性的には自殺行為であることを皆で確認しあいました。ちなみに5900円のプライスラインのカンカンは堅調に売れ続けています。

 さらには、ボディを500円(原価)で売って、様々なリボンを1000円とか2000円の粗利の塊のプライスで数売って設ける、いわゆるプリンター型のビジネスモデルもあったかもしれないね、という応用議論にまで発展しました。

 復習します。必需品、普及品において価格競争に陥ることは市場の自殺行為です。ファッションの世界ではそれらが春夏や秋冬のたった数カ月の間に一気に変化(飽和)してしまいます。

 深いですMD。だからこそ、知恵を絞った戦いをして下さい。単純な低価格、一定原価率、粗利確保ではない…。
 2010/04/20 18:02  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
私たちは生かされている
今週は日曜も朝から仕事で外出せねばなりませんでしたので、いつもは前週と翌週の仕事の整理をしながら見ている“サンデーモーニング”を、支度しながらあわただしく聞いていました。

 涌井雅之氏のコメントが印象に残りましたので、引用します。

 このところ、環太平洋、大西洋においてマグニチュード6を超える大地震が頻発しています。さらには火山の噴火により、人類の生活は大きな被害を被っています。それもこれも、遠因(真因)は太陽活動の不活性化だということです。太陽の黒点活動が異常に少ないことは、ここ数年報じられてきました。

詳しくはこちら。

http://wiredvision.jp/news/200909/2009092823.html

 涌井氏によれば、太陽活動の不活性化に伴い地球に降り注ぐ宇宙線量が低下する。宇宙線量の低下は、地球のマントルやマグマに含有されている超臨界水(温度と圧力の上昇により液体と気体の境界線がなくなった状態の水のこと)に影響を与え、そのことが大地震や
大噴火の引き金になっているとのこと。

 さらには、地球上の全陸地面積の0.3%しか占めない日本が、マグニチュード6超級の大地震の2割を引き受けている実態を忘れてはならない。すなわち、我が国の地震に対する備えは臨界体制に入っていなければならない、と。

 自然災害への対応においては、人道的行動よりも政治的思惑や経済活動が先行しがちですが、私たちは、より大きな世界によって生かされていることを実感するとともに、そこに還らなければならないと痛感します。

 涌井氏は、「地球は太陽の子である」と表現されていました。今日の売上、今月の目標、今期の事業計画etc.数字に追われる毎日ではありますが、それらは全て、より大きな世界によって生かされていると考えると、目の前にある小さなボタンを押し続けることも怠ってはなりませんが、少し先にある大きなレバーに手を掛けることも忘れてはならないことがわかります。

 今日は中学時代からの親友、NO氏の50回目のバースデーです。最近は数年に一度しか会うこともなくなったので、この場を借りておめでとうと言っておきます。私も、11か月後に追っかけます。50代には大きなレバーに手をかけたいと考えていますので、急がねばなりません。

太陽黒点とファッショントレンドにも相関(因果)関係があったりして…

 2010/04/19 09:50  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
ECの要諦
今更ですが、ECにおいて外してはならない原理原則をアパレルウェブの千金楽さんから教えられました。

 クリック&モルタルで、有店舗に続いてECを展開したアパレルにおいては、店頭で展開する品番はECにおいても全て同時、もしくはむしろ先行して品揃えしないと、まったくもって駄目というものです。

 聞けば当たり前の話ですが、そこまで堅牢な前提として理解し、徹底できているアパレルがどれだけあるでしょうか?

 私自身、大手アパレルでダイレクトマーケティングを推進するにあたって、できたこと、やってきたことは、有店舗側のブランドが在庫を回してくれる商品、十分な奥行きが確保できる商品、通販側で売りたい商品などのフィルターをかけることで何とか品揃えを確保するのが精いっぱいで、それを大きく問題視することもなく当時は当たり前、もしくは仕方ないと考えていました。

 総合アパレルの自前ECサイトにおいて、当該ブランドの全品番をアップすることができている事例がはたしてどれだけあるでしょうか?もしくは、ZOZOに出店しているケースにおいても、それが適えられているケースはいかほどでしょう?

 ファッション雑誌がこぞって仕掛けている通販は、テンポラリーなイベント(キャンペーン)のような位置づけになるので、抜粋や限定が逆に価値を高める場合も多くあると考えられますが、恒常店舗となると千金楽社長のおっしゃられる通りなのでしょう。

 マガシークやスタイライフ、セレクトスクエア、ビスポートなどが苦労する理由のひとつはそこにあるのかもしれません。また、有店舗が全く関係のない夢展望が急成長したりするのも一部説明がつくと考えられます。

 バーチャルからリアルへと展開した場合はどうなるのか、どうすべきかは、聞き逃してしまいました。いつか確認しておきます。
 2010/04/13 11:01  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
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プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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