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海馬マーケティング
海馬といっても、タツノオトシゴやセイウチのことではありません。

 脳の海馬は、記憶や空間認識能力を司るといわれています。海馬マーケティングとは、和雑貨を扱う大阪のベンチャー経営者から、つい先日教えられた概念です。

 彼とはおよそ一年ぶりの再開だったのですが、変わらぬバイタリティで意気旺盛に事業を推進しておられる様子が伝わってきました。

 曰く、右脳や左脳に働きかける感性や機能に訴えるマーケティングから、「記憶」に訴えるマーケティングこそが、いま求められているのだと。

 ここで言う記憶とは、一個体としての生命体が短期でフラッシュメモリーとして蓄えているそれと、ヒト科の生物が遺伝子レベルで蓄積しているそれと、両方を指していると私は理解しました。

 短期フラッシュメモリーには、「おおぉ!80年代やんけ!!」が含まれ、遺伝子レベルのメモリーは、エコや共生というキーワードにつながるものだと考えられます。

 そんな風に考えると、いま世の中で何がもてはやされていて、何がイケていて、何がイケていないのかの説明が、かなりの部分で成立することに気付きます。

海馬マーケティングを真面目に考えてみませんか?

 今日は今日で、所得弾力性と価格弾力性の議論にいたくコミットしていただいたた同志と杯を交わしました。その話は、また別の機会に。
 2010/02/24 22:33  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
主観と客観
トヨタの品質問題は、アクセルペダル、ブレーキともに設計、開発の問題のようですが、ドライバーの“感覚の問題”と表現されたことが起因して事が大きくなりました。

 感覚とはすなわち使用者の主観の問題であるとの見解を示したわけですが、私にとってはまんざら理解できない話ではありません。

 新入社員当時、上司からさんざん「君は主観的だ」と指導されたものです。私のレポートや口頭報告は主観と先入観の塊だったのです。最初は訳がわかりませんでした。自分の意見や意思をもって、それを表明することが、何が悪いのかと。

 まずは惹起している事実を客観的に把握し、それらを共有し、合理的な選択であれば“判断”を行い、不確実性や非合理性を伴う場合には“決断”を行い、その上で必要だったり求められれば主観的な見解を交えるというビジネスでは当たり前のことが理解できるまでに相当の時間を要しました。

 それゆえ私は、主観と客観の問題には人一倍敏感です。ABSの仕組みを正確に把握しているわけではありませんが、概ね次のような理解でよろしいかと。

 タイヤがロックしてしまうと、返って制動距離が伸びてしまうことから、その寸前でブレーキを緩めて制動距離を最短に制御するシステムがABSです。まずは通常路面での縦回転に対する技術として開発、進化したものと想像されます。

 次に、凍結路面などでの横滑りへの対応が技術的ターゲットになった筈です。縦回転のロックは、タイヤの回転が継続している一方でブレーキパッドが静止する動きを相対的に感知すればゼロ百の世界で識別が可能です。一方で、横滑りはタイヤは回転していてブレー
キパッドも静止していないけれど、それを機械的に判断するには縦回転とは異なるモーメントをセンサーか何かで感知するようなシステムではないかと考えられます。

 おそらく何某かの事象の発生を客観的に感知するために、0.06秒のシステム的時間が必要だったのではないでしょうか。このように客観的には説明できるものも、ユーザーにとっては主観的感覚ということになってしまいます。

 アクセルワークを制御するトラクションシステムは、タイヤの空回りを感知すると電子的にアクセルを解除する機能ですが、雨に濡れた路面やマンホールの上で、一瞬自分の右足とエンジンの連携が切れてしまう感覚は日常的に経験します。

 システムがよかれと思って客観的に制御することと、それを操る人間の主観的感覚がシンクロすることはありません。ただし、私たちが理解しておかなければならないことは、路面とタイヤのグリップが失われた状態は、ドライバーとエンジンやブレーキの関係性の先にある、車と路面との関係性を断ち切る最も危険な状態であり、自分とブレーキの関係性が途切れる0.06秒と路面と車の関係性が切れることと、どちらにどのような価値とリスクがあるのかを考える必要があるということです。

 技術的には素人が想像で議論を展開して嘘がたくさん混じっているかもしれませんが、主観と客観の問題を深く考える題材になればと思います。
 2010/02/16 09:44  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
オーナーシップとビジネスマンシップ
サントリーとキリンの経営統合が成立しませんでした。

 週刊誌ではいろんな記事が飛び交い、先週サントリーの社員の方から一筋縄では…というコメントをいただいていたので、すんなりとは進まないと予感していましたが、案の定です。

 形式的には統合比率で折り合いがつかなかったということになりますが、実質的にはオーナーシップとビジネスマンシップが折り合わなかったのではと考えられます。

 独立後、創業オーナー社長と仕事をご一緒する機会が多々ありましたが、私たちのようなサラリーマン出身の人材とは骨の性質が異なることを痛切に感じさせられてきました。

 そもそも、前の会社への入社の決め手のひとつは、47歳の若い創業オーナー社長が仕切っている会社だということでした。やはり、創業、オーナーというキーワードには言葉では表せない迫力と魅力があります。

 トヨタも世間を騒がせていますが、創業家ではあるけれども創業から数代を経た形式的オーナーとそれをとりまくビジネスマン達が織り成すねじれがその根幹にあると考えることもできます。

 ポスト55年体制の創業オーナーである政治家は、世論調査の数字はどこ吹く風で参議院選挙に臨む気配です。

 かくも「創業者×オーナー」には、とてつもないパワーが宿るものですが、それを引き継ぐ創業家とビジネスマンがそれをどう踏襲して永続する組織と仕組みとして育んでいくか。

 あまりにも大胆でデリケートなので、示唆することもはばかられますが、アパレル業界においてもとんでもない経営統合の気配を感じます。

 現実になった暁には、実は…と言及したいと思います。



 2010/02/08 21:57  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
所得弾力性
アパレル業界で「所得弾力性」という言葉を聞くことは、日常的にはあまりありません。

 鈴木貴博氏が、その著書「会社のデスノート」で所得弾力性と価格弾力性に触れておられます。デフレスパイラルから脱却するのは並大抵ではないだの、ユニクロはデフレの元凶であるのか、ないのかなどの議論が盛んに飛び交っていますので、それらの事柄を冷静に考える良い機会になりました。

 ちょっと古い70年の研究によれば、外食の短期所得弾力性は1.6なので、所得が1%減れば外食支出は1.6%減ることになるそうです。実質GDPが6%減少すると外食は9.6%減るという計算になります。

 片や自動車の短期所得弾力性は5.5にもなることから、GDPの6%減は短期需要の33%減を引き起こし、一昨年来の北米市場における自動車販売の落ち込みとほぼ同じ数字になる、すなわち経済理論通りのことが起こったに過ぎないというのです。

 さらに車の長期所得弾力性は1.1に過ぎないという研究結果から、一年〜二年を超える長期スパンの中では、短期で買い控えた人々の需要と長期ではそこまで落ち込まない需要とのギャップがリバウンドとして一気に発生する計算になるというわけです。

 さて、これをアパレル商材に当てはめるとどうなるでしょうか?必需品の所得弾力性は1よりも小さく、贅沢品のそれは1よりも大きいのですが、何が必需品で何が贅沢品なのかと、それぞれが短期と長期でどう影響を受けるのかを見極めなければなりません。

 加えて「価格弾力性」についても考慮する必要があります。価格弾力性は代替材の有無とそれに到達する時間が関係していると言われます。

 いま我々が考えるべきことは二つです。第一は、短期需要の激減を修復する形で長期で訪れるリバウンド需要の対象となる商品を品質と価格の両面でターゲティングして開発することです。第二は、ファストファッションやユニクロでは代替できない価値を定義し、それを商品に反映させることです。
 
 一言で言うと、やみくもに低価格化を追いかけるのではなく、適正価格を見極めて、それに見合う商品価値すなわち原価構造に改めていくことです。原価率を上げて、その上で適正上代を企画すること、これに尽きます。
 2010/02/04 20:15  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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