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顧客の心タバコ屋知らず
恵比寿のタバコ屋さんで、「1カートン、ライター3個つけます!」のPOPを発見しました。

 愛煙家をやめられない時代遅れ人間ですが、タスポは持ってませんのでコンビニやタバコ屋さんでカートン買いをすることがままありますが、普通は100円ライターが一個オマケに付いてきます。

 実はそのサービスが、少なくとも私のとってはかなりのストレスの源泉になっていることをサービス提供者はどれだけわかってくれているか?もしくは考えたことがあるでしょうか?

 小売粗利が10%に設定されているタバコの1カートンの粗利はおよそ300円です。100円ライターの原価が20乃至40円として、メーカーからの協賛もあるだろうことも想定して、約10%の販促費という経済構造が読み取れます。

 第一のストレス:ライターはたばこ10箱あたり一個も消費するアイテムではありません。およそ2ヶ月くらいは使えます。そうすると、すぐに臨界点を超えてやたらライターばかりが家に溜まり始めます。(落としたりなくしたりする歩留まりもありますが…)

 第二のストレス:これ以上ライターが増えてもしょうがないので、たいていは断ります。ときどき街のタバコ屋さんが携帯灰皿をくれたりもしますが、そのように代替品があるケースはごく稀です。

 第三のストレス:家に捨てるほど溜まっているライターを忘れて出張に出てしまうことが年に何回かありますが、そのときに原価が数十円未満で300円の粗利の販促に使われているライターに105円の上代を支払うときの悔しさ。。

 全てのストレスは、禁煙さえすれば健康問題とともに解消されますのでナンセンスが議論です。ただしマーケティング的に考えると、私達がよかれと思って提供しているサービスや価値が、顧客の側で実際はどのような価値連鎖が形成されていて、それは結果として顧客にとって正の連鎖なのか負の連鎖なのかを議論し尽くさなければならないということです。

 フェルミ推定的に3000万人の日本人が年間200箱のタバコを消費すると仮定します。(財務省の1本1円の増税で年間1300億円の税収増の試算に合致します)その消費量の10分の一がライター付きのカートン買いの場合には、一年間で一人二個のライターゲットでライター消費量の下をいくことになりますが、半分の消費がカートン買いになった場合には一人10個のライターが手に入ることになりこれはライターの年間消費量をオーバーしてしまうことになります。

 すなわち、現在の景品ライターの消費ブレークイーブンポイントは、タバコ消費量のおよそ4分の一がカートン買いされるところにあると推定されます。ということは、愛煙家がその閾値を超えるまで私にとってはストレスの源であるオマケライターは続いていくのでしょう…
 2009/12/22 09:39  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
今更のハイボール
二十歳のときに初めて海外を経験しました。

 岡山県の倉敷市に住民票がありましたので、姉妹都市であるカンザスシティにグッドウィルミッションとして派遣されてホームステイをしたときのことです。パンアメリカン航空で太平洋を渡ったのですが、サンフランシスコ空港に着陸したときに私達の団体が思わず拍手すると他の乗客の皆さんも呼応していただけるような、そんな時代でした。

 当時のミズーリ州は21歳以上が飲酒可能年齢だったのですが、そこはそれ、いろんな抜け道があるもので、ご当地で覚えたお酒がバーボン&コークでした。バーボンの銘柄はもちろん“ジャック&ダニエル”です。

 その頃の日本では、パブにスコッチをキープすることがイケていて、ウィスキーのホットミルク割りなんかがちょっとカッコよかったりしたのですが、コーク杯という発想は私にはありませんでした。

 とても口当たりと咽喉ごしがいいことから、帰国後もしばらくマイブーム状態でした。社会人になって、日本酒ブーム、焼酎ブームの陰に隠れてバーボンを含むウィスキーはすっかり日常から遠ざかってしまいました。40歳を過ぎて、二次会三次会がだんだんとしんどくなってきましたが、たまに遅くまで徘徊したときには、ホッピーが復権しても目もくれず、たいていハイボールを飲んできました。

 コークはカロリーが高くなることから避けねばならない年齢になり、水割りだと必要以上につまみに手が伸びてしまうことらかの必然的な選択ですが、注文の際に“ハイボール”とは言えず、ずっと“ソーダ割り”と発注してきました。

 ハイボールは、昭和10年生まれの母から、自分がOL時代にボギー(ハンフリー・ボガード)の映画を見た帰りにはハイボールを飲んだものよ、と聞かされ続けてきたので私のボキャブラリーにはあったのですが、時代がそれを受け入れてくれていませんでした。

 それが一転、今どこもかしこもハイボール。変わらないものを愛し続ける当事者にとっては、うつろい続ける世間と流行に翻弄されかけながらも、クールにマイペースを保とうと決意を新たにするのでした。
 2009/12/20 19:10  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
真のコアコンピタンス
「安い」「早い」「うまい」のフレームワークでトップを走ってきた吉野家をすき屋が店舗数で逆転しました。

 その勢いに乗じて並盛が再び280円の世界に突入です。値下げ競争の是々非々については何度か論じてきましたが、本稿のテーマはコアコンピタンスです。

 当該企業の差別的競争優位性や付加価値の源泉となる中核的能力がコアコンピタンスです。数と価格で攻め入るゼンショーに対して、吉野家が追求している最大価値は“後味”だと聞かされました。彼らがもっとも力を入れて研究開発を重ねているテーマは、いかに「また来たい!」と思ってもらえるような後味を演出するかなのだそうです。

 牛脂はともすればしつこさが残り、明日も食べたいとはなりにくい食材だと言えます。紅生姜もそれを緩和する役割を果たしていると言えますが、牛丼そのものの後味を追求するプロとしての姿勢には頭が下がります。

 また来たい、また買いたい、もっと買いたい、ずっと買い続けたい。そう思わせる効用が単なる低価格に内在しているとは考えにくいですね。

 規模の経済性を最大限発揮して、コスト競争力をもつこともコアコンピタンスになり得ます。ただし、それはインダストリーや恒常品、コモディティの世界でのお話しに限られます。スペシャリティを標榜するブランドビジネスがそれにはまってしまってはなりません。

 自社の、自ブランドのコアコンピタンスの考え時です。
 2009/12/18 18:16  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
文化的ヒントは足元に
先日、神戸のベンチャー企業で引用させていただいた話題をご紹介します。

 この12月、百貨店のお歳暮売場である変化が起こっています。去年まで三千円だったボリュームゾーンが2,500円に下がったのは、「そりゃそうやなぁ」という変化ですが、見逃してはならない動きがもうひとつあります。

 心をこめて贈答する商品の試食サービスが受けているという現象です。試食はデパ地下とSCの風物詩ではありましたが、上階のお歳暮カウンターでは見られなかった光景です。

 誰もがもらいものの味がもうひとつで、お釈迦になったり近隣にスルーパスした覚えはあるはずです。ナショナルブランドやビールであればそのリスクはほとんどありませんが、怪しげな食品を目を瞑って贈答するのは乱暴な話しです。

 しかも、その同じフロアでなんちゃってで開催されている催事形式のファッション製品のセールがことのほか好調とのこと。そりゃそうでしょう。一軒あたり500円を節約したオバちゃん達は、なんちゃって私の服に化けたという消費を楽しんでいるのです。

 みかけのフローはシュリンクしているかもしれませんが、ストックとしてのお金がなくなったわけでも、マインドが冷え込んだわけでもありません。熱くしてくれる何かが欠けているだけです。

消費者を熱くするのが、我々商売人の真骨頂です。
 2009/12/10 06:55  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
おひとり様消費
いま、“おひとり様消費”が熱いようです。

 同時に起こっているわが国の文化的変化のひとつにに“シェアハウス”という住み方があります。マンションや一軒家を複数の見ず知らずの住人がシェアするというものです。

 今からおよそ30年前の私が二十歳のときに、オーストラリアでワーキングホリデーの旅をしていたときの出来事です。まずは、一泊$5程度のバジェットアコモデーションに住みつきました。(ユースホステルの規則が緩いやつと考えていただければOKです)

 キッチンとバスは共用で、部屋は二段ベッドがいくつも置かれたいわゆる蛸部屋でして、あまり不自由は感じなかったのですが、上段のスイス人がマスかいてベッドを揺らすのだけがうざかった思い出があります。

 当地で知った、特に若者の住まいのあり方がルームシェアでした。一人では借りられない値段と広さの住宅を、男女問わずシェアをして経済合理性に基づいて生活するという習慣は、四畳半襖の下張で同棲時代という昭和の文化で育った私にとっては画期的なものでした。

 早速、気の置けない二人(寿司職人の加藤氏と私と同じ学生の鈴木氏)と、三人で大きなフラット(イギリス系の言葉でアパートメントの意味です)を借りました。キーを複製にいって、鍵屋の職人に断られてビックリ。これは複製禁止のキーだと。なんとそのフラットはルームシェアを禁じていたのでした。それが、鍵に記号として記されていて、それを鍵屋が遵守する社会的システムが伴っている…。当時のザクッとしたオーストラリアの印象からはほどどおい苦い経験でした。深い…。一本の鍵を使いまわしながら騙し騙し暮らすこと三日で大家にばれて追い出されるはめになりました。

 今度は間違いを起こすまいと、シェアOKの20畳ほどのワンルームを三人で無事借りることができました。以来、通りすがりの旅人も含めて半年ほどの間にその部屋を通り過ぎていった人々は20数名ののぼり、部屋代のキックバック以外に、いろんな思い出が詰まったルームシェアでした。

 アパレルも百貨店もSCも、突破口を見出そうと必死です。価格や経済合理性だけでは測ることのできない文化に目を向けるとヒントがつかめるはずです。文化が進化、変化、融合していく事実を見逃してはいけません。

 少なくとも、隣のハコで売っている商品とコーディネートした試着すらできない百貨店に誰が価値を見出すでしょうか???
 2009/12/08 20:58  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
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プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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