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会議の開放系の勧め
お世話になっているベンチャー企業が、会議体の見直しに忙しくしておられます。

 会議体の見直しって、何か管理部門のマスターベーションのようにも聞こえかねないですが、私はとても重要な課題であると考えています。前の会社でも、何度もそのテーマが全社横断的な重要課題になっていましたし、かなりのエネルギーを注いだテーマのひとつです。

 当該企業の数ある会議体の中でもユニークなネーミングが、“ふりむき会議”と“まえむき会議”です。週次や月次で実績を振りかって、その裏返しに、次なる一週間や一ヶ月を企てる場は、どこの企業でも日常茶飯だと思います。

 ところが、ルーティンの数字中心でマンネリ化を否めない会社も多数あるのが実情だと拝察いたします。

 “ふりむき”と称することで、何か人間的なアナログ知の喚起と、毎週毎月やっているけれど、毎回のそれとはちょっとでいいから、何か違うアンテナで違う情報に反応しようよというメッセージを感じませんか?

 “まえむき”と称することで、イノベーションとか改革とか、肩に力が入りかねないテーマに対して、ごく自然に自分らしく臨む事ができそうな気が沸き起こってきませんか?

 データベースも大切ですし、それらを基にしたデジタルな検証能力が大きな競争優位性になることは間違いありません。一方で、人間ならではの情緒的なイノベーションのスイッチに触れることができて、なおかつそんな人間ならではの能力を引き出す場として、会議の名称を変えるだけでも何か新しい方向性の可能性を感じませんか?

 四角四面のデータまみれの会議、もしくは長老の方々の顔色を拝察するだけの会議から一歩離れてみることを推奨いたします。
 2009/06/30 00:27  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
深淵なるロスシェア
最大手のCVSが公正取引委員会から排除勧告を受ける事態が発生しました。

 もともと独禁法をはじめとする公取が取り扱う事案は、グレーゾーンが極めて広いことから、厳格な法理の適用というよりも、社会的に求められている裁量権の発動という色合いが濃いことは否めず、今回もそのような流れに基づく決定であったと拝察されます。

 我々アパレル業界よりも、よりシビアな日配品(一日で商品の寿命が陳腐化してしまう)を取り扱っている彼らの、発注および在庫コントロールのストレスはいかばかりかと…。しかも、廃棄ロスが100%FC側の負担となる契約条件が普遍的となると…。

 翻って、ディベロッパーとの契約はどうなっているでしょうか?百貨店の歩率が高騰し続けて久しいですが、水準が高いことを除けば、水光費、カード手数料、販促協力金等、一切の追加チャージがない点においては、とてもわかりやすい契約条件です。

 相対的に割安なSCの出店条件ではありますが、駐車場やら店長会運営費やら何やらで、結構な費用をチャージされて汗をかいているアパレルも少なくないのでは?

 カード手数料に至っては、年4回の10%オフで名をはせた○ミネカードの手数料チャージは尋常ではない料率です。今となっては、トップクラスの都市型百貨店の月坪をしのぐ売上効率がたたけるが故の契約条件といえます。

 かの百貨店歩率も、PとBで2%〜数%の傾斜がかけられているのがせめてもの業界慣習です。アウトレットの台頭が著しい各社においては、プロパー店舗と同等の既存の評価基準では、アウトレット店が上位に名を連ねてしまい、制御の仕様がないという嘆きも聞こえてきます。

 日配品を巡るCVSチェーンにおける粗利とリスクの分担の仕方のあるべき姿も、はたして今回の代替案の通りかどうかは、甚だ疑問が残るところです。

 我々アパレル業界の、機会ロスと在庫ロス(厳密に分解すると、期中値下げロスと持ち越しによる値下げロス)はどのようにシェアするのが正解なのでしょうか?

 少なくとも、既存の取引条件の中には、その答えは存在しないように思われます。もっとも大切な商品にクリエイティブが求まれれることは疑いの余地はありませんが、目には見えにくいですが、そのようなインフラ、プラットホームの部分にも創造的議論が必要とされていると痛感させられます。

CVSの雄の出来事を他山の石とせねばなりません。
 2009/06/28 23:50  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
ジュニア・リーダーシップ
研修ビジネスでパートナー講師をやらせていただいている会社主催のフォーラムが開催されました。

 ゲストスピーカーに金井壽宏をお招きして、エキサイティングな議論が展開されましたので、その一部をご紹介します。

 もともと、金井先生には「20代の若手社員がリーダーシップを身に付けるにはどの様なポイントがあるか?」という趣旨の投げかけに対して、「それはちょっと難しいかも…。」と、少し消極的な反応しかいただけなかったことが出発点でした。

 それから半年が経過し、どのような議論になるのか楽しみにして参加させていただきました。

 開口一番の金井先生のエクスキューズが印象的でした。ゼミの学生(20歳前後)には、早くからリーダーシップを発揮せよと檄を飛ばし、ゼミ生選考の要件にすらしているリーダーシップなのに、社会人になったとたん、若いうちは言われたことを確実にこなすことに専念せよ、というメッセージでは二重の基準を語っていることになるという猛省でした。

 その上で、考え方を改められたということで、以下の議論が展開されました。

 経営学のヒューマンリソースの分野では、“モチベーション”と“キャリア”と“リーダーシップ”が三大トピックです。そのうち、モチベーションは外から敢えて教え込まなくても幼少期から自然に身につくものですが、リーダーシップはどうだろうか…。

 そのことを考えていくと、必ず実在する(した)誰かを思い浮かべてしまいます。いったんどんな人々もリーダーシップに入門しているはずなのに、思い浮かべるあまりに偉大な人物がいると、上には上がいてとてつもないスケールの人がいるので、ひとたびそういう人物が出てくると、みんな腰が引けてしまうことになるのです。

 簡単に言うと、リーダーシップとは自発的に誰かが描いた絵に徐々に人々がついてくる、すなわち人々を巻き込むことです。5歳の子供の遊びの世界にも立派なリーダーシップがあります。例えば、遊んでいて、皆が厭きてきたけど誰も口に出さないけど、誰かが言いだしっぺになって、結果的に遊びの種類を変えたときなどです。

 それを会社に当てはめた場合に、若い人のリーダーシップにピンとこなかったのはなぜかと考えると…。リーダーシップのパイプラインがあるという考え方が欠けていたのです。社会人の出発点は担当者だと経営学的に思っていました。つまり、インディビジュアル・コントリビューターです。でも、よくよく考えてみると、担当者時代からリーダーシップに入門している人はしているんです。

 それが出発点になって、パイプラインのように上に繋がっていくのです。目から鱗が落ちたのが今回の議論の機会でした。

 従って、社会人においても相当早い時期に自覚をもってリーダーシップに入門するべきなのです。担当者、チームメンバーのときからリーダーシップの研鑽をやるべきと考えます、というのが金井先生のご講演の趣旨でした。

 このような若いときから磨くべきリーダーシップを、仮称“ジュニア・リーダーシップ”と呼んでいますが、何かいい命名があればと皆で考えています。

 皆さんも、記憶にあると思います。近所のガキ大将が小学校に入った瞬間に一年生。中学、高校で部活でキャプテンやったけど、大学でまた一回生からかいな…。大学でいっぱしのことをやったつもりが、会社では新入社員かいな…。

 でも、そこには歴然とリーダーシップのパイプラインが繋がっているのです。経営学の分野で新しい議論のきっかけになれば面白くなるなとワクワクしています。

 “言いだしっぺ”の発音を頭にアクセントをおいて少し早口でモゴモゴっとしゃべると、“リーダーシップ”聞こえますよね、という関西系のギャグに、東京の聴衆の反応は小さな笑いでしかありませんでした。

 うーん、ざんねんっ。
 2009/06/26 18:19  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
率と額と員数と
高感度高級路線のブランドショップにおけるCRMの議論です。

 従来は年間数百万円以上のお買い上げを筆頭に、最低でも数十万円の線で顧客をセグメントしていました。都内3ショップの業績は順調なのですが、地方主要都市の店舗が不振を極めているということで、問題解決に着手いたしました。

 幸い、プロパー売上は全て顧客ID付きでデータベースになっていましたので、デシル分析を皮切りに、あらゆる角度から顧客の購買構造を分析いたしました。

 そこから得られた知見はいくつもあるのですが、もっとも大きかったことは「えいやぁ」で切っていた従来の顧客セグメントが何の意味ももっていなかったということでした。デシル分析で発見した切り口でヒストグラムを作成して、顧客をグルーピングしてみると、従来とは全くことなる線の引き方が見えてきました。

 次なる発見は、ブランドとして一律のセグメントを定義するのではなく、店舗ごとに固有のセグメントを定義しなければCRMを間違えるということでした。東京の店舗は典型的なファッション最先端立地とお金持ち立地とトップクラスのキャリアウーマン立地なので、それに準じて顧客を線引きすると、地方大都市の顧客の大半は網から漏れてしまうのです。

 地方店舗で施策対象からもれる顧客の購買実績を見てみると、一般的には超上顧客のそれに相当するパフォーマンスであることがわかりました。

 顧客セグメントを行う際には、三つの単位を正しく使い分けなければなりません。すなわち、“率”と“額”と“員数”を適切に対応させなければならないのです。店舗収支を議論する際にも、額モデルと率モデルをうまく使い分ける必要がありますが、CRMの方が変数がひとつ多いだけ、そのバリエーションは複雑です。

 RFMは伝統的なCRMセグメントの三つの切り口ですが、それとは異なるアプローチとして、率と額と員数にも注目してみると新しい切り口が見つかる可能性があります。
 2009/06/19 22:46  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
原価企画
少し前の日経ビジネスに、吉野家ホールディングスの安部修仁社長が、「価格は“下げる”ではなく“作る”」という議論を展開されていました。

 価格は官能であり、「感覚の相場観」なるものがあるそうです。従って、インパクトがなければ官能を刺激できず、効果は薄れるとのことです。そして、「価格で重要なのは、変化への対応ではなく、自らの意志で作って供給する適応だ。」と。

 93年8月に、OZOCというブランドがデビューしました。当時、駅ビル・駅地下街(それぞれ、現在の駅ビルとエチカ、エキナカとは全く様相は異なります)でヤングに支持されていた鈴屋やキャビンの、スーツ29000円というプライスラインに対して、39000円のプライスで百貨店高感度ブランドとして立ち上がりました。

 その後、一年半を経て同レベルの感度で29000円の上代を実現し、大ブレークするに至るのですが、そこには単に上代を下げるのではなく、価値を維持して市場競争価格に挑戦して、そのために原価を作り込むという意志と気概があったような気がします。まさに、安部社長がおっしゃるところの、官能を刺激してインパクトを与えることができたのだろうと回想します。

 翻って、アパレル業界の今は…。官能を刺激しインパクトをもって登場したユニクロや外資軍団の影響もあって、じわじわと上代が下がり続け、その間にプロダクト側はじわじわと原価率を下げ続けた結果、臨界点を超えて消費者から総スカンをくらっているのが現状だと思いませんか?

 上代も原価も、かならずしも下げるべき対象ではありません。それぞれ、意志とこだわりをもって作りにいくものだと考えます。

 経営学の世界で“原価企画”というと、原材料の調達や製造のプロセスを科学的に制御することによってコストを利益に転化するエンジニアリングを指す概念ですが、私たちアパレル業界には、それとはちょっと違った意味での原価企画が必要なのです。

 すなわち、当該ブランド固有の価値を堂々と上代に表現し、それを経営として実現、継続させうる原価を意志をもって作りにいくという姿勢と、それに必要なノウハウです。

 不毛の価格競争と消費者を欺網する原価低減は、もうこれくらいにしませんか?店頭でのセール合戦も同様です。いま、マーケットに官能とインパクトを与えている上記のブランドは、見た目は服ですが、ルールも土俵も全く異なるスポーツなのですから。
 2009/06/12 22:56  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
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プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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