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らしさ
先週のWBCでは、野球ファンならずとも思わず肩が入って応援、興奮された方々が少なくないと思われます。

 そのことは、野球人気の低迷が囁かれる昨今においてたたき出した視聴率の高さに表れています。また、決勝当日の街中で、ワンセグに見入る人々や、電器店やTVのある喫茶店への人だかりに驚かされた方も多いことと思われます。

 それほどまでに我々日本人を熱狂させた理由はいくつかあると考えられますが、そのうちのひとつに“らしさ”というキーワードがあるのは間違いありません。

 「スモール野球」という表現や、「ベースボールではなく“野球”」という言葉を何度も耳にしましたが、そこに我々日本の野球のゆるぎないアイデンティティがあって、それが世界と真正面からぶつかり合って、しかも正々堂々と互角もしくは互角以上の戦いをしたことに多くの日本人が魅了されたのだと私は考えます。

 今週から、新入社員研修が各地で開催されます。その中で、企業のDNAに関する研修を担当させていただく予定があります。CIが一大ブームになったのは十数年前のことですが、企業文化や組織風土、理念、ミッション、ビジョンなどといろんな表現で近しいことが議論されて、盛り上がったり、下火になったりを繰り返して現在に至っています。

 学説は諸所あってしかるべきですし、各経営者がどのように考えて、どのように捉えるかも自由です。でも、平たく言うとそれぞれの企業や組織には必ず“らしさ”というのがあって、それが戦うエネルギーの源泉になって、それが競争優位性を発揮したときにWBCのような結果が生まれるということではないでしょうか。

 諸説の中のひとつに、「企業のDNAは、未来に向けた新しい競争力の獲得や生き残りの道筋を、環境との相互作用において組織的に体得していく学習プロセスの源泉になるもの。」という考え方があります。

 SPAは公知のデファクトと化しました。次なる競争力や道筋をクリエイトする局面に突入しています。
 2009/03/30 23:28  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
神戸スピリット
田村正紀先生からの20年前のMBAコース創設の頃のお話しを紹介します。

 文部省(当時)が認めないけど始めてしまえという見切り発車、いわば“できちゃった婚”のようなスタートだった。そして、イノベーションの典型的ケース、すなわちアンシャンレジュームと一定の距離が必要で、まさに孤立と連帯が置き換わっていく弁証法的なプロセスであった。

 後発のビジネススクールは、大抵がアメリカの真似をするが、神戸大学は様々な特徴を独自に考案した。プロジェクト方式、夜間開講、ビジネスインサイト(会員誌)の創刊、そして経団連ホールでの立ち上げイベント。

 社会人教官を多数招聘し、ヤマ勘型のソリューションではなく基本的問題を解く力を重視しようと。それには、アプライ型の先生とベーシック型の先生の両方が必要だった。

 何故、立ち上げた、立ち上げることがでできたのか。そこには大変な危機感(対、一ツ橋)があった。ちょうどそのころ多くの企業が本社を東京へ移転し始めていた。大学では輸入型の学問から現場における実証型の学問が進展しつつあった。

 ところが、大学は東京に本社移転することができない。そこで、最新の問題をもって、それを課題認識している人々に来てもらえればと考えた。一ツ橋と喧嘩しようと思うと600キロ分の交通費がかかる、だったら来てもらおうと。

 そうすると、文部省が社会人大学院が必要であり有益であることの証拠を示せときた。必要ならば財界が金を出してくれるはずと考え、一億円をかき集めた。財界が大学ではなく特定学部を支援する事例は最初で最後となった。(イニシャルアドバンテージ)

 我々は人間水族館の中に住んでいて、そこにはイノベーションを阻害する魚類が生息している。これを排除しなければイノベーションは進まない。

 まず、蛸族(蛸壺に入ったまま外の世界に関心をもたない)。次に、カレイ族(砂にもぐって、キョロキョロ周りの様子ばかり見ている)。そして、クラゲ族(面白そうだとフラーっと寄ってくるが、気がつくといつの間にかフラーっと消えてしまっている)。最後に、いわし族(いっぱい群れをなして存在しているが、一人になるとどこに行ったかわからなくなる)。

 教授間で、大学はどうあるべきかの議論を徹底的にやった。ベテランの元老院会やちょっと若手の中年会や、ヨーダのような偉い長老教授の存在もあった。要は、変化の対応に必要な適切なカードを何枚もっているか。関西電力、大阪ガスなどの人事責任者がアイディア段階から参画してくれて、大学教授ではわからない企業の実態や意見を聞かせてくれた。

 それら以外にも絶対的な情報のベースが必要で、例えば図書館、これは全国有数の蔵書を誇る。また、潤沢なファンドを使って、若い先生がどんどん海外に留学することができた。

 これから必要な基盤は、過去のデータベースの蓄積もさることながら、これまでの足跡だけではなく先を考えている人間をできるだけ多く作ること、絶えず先端問題を考えている人材がいかに六甲台に集結するか、そして、こういうプロジェクトやリサーチが神戸で始まっているということをいかに露出していくか。日本、アジア、世界で初めてのプロジェクトが多数、六甲で動いている未来を創って欲しい。

 神戸大学に伝統の言葉がある。小林よしもと先生の「よそ者ほど大切にせぃ」神戸にはいろんな大学の教官が集まっている。異質の統合が一番強い。異質をどう受け入れて、どう管理していくかという機構、異質を管理するノウハウ、100年のノウハウが神戸大学にはある。さらには、教官と学生とOBとの連携作業に期待したい。

 田村先生は、昭和の流通業界の議論を牽引してこられた大学者でいらっしゃいます。私達は昭和を謳歌した卸ビジネスで産湯を使い、平成のビジネスモデルSPAの誕生と進化とともに歩んできました。

 平成も既に21年の歳月が経過いたしました。平成後期のビジネスモデルであるリテールSPAの経営幹部の方々と議論をする機会がありました。平成前期モデルと平成後期モデルという異質が統合して、次なる時代のビジネスモデルの産声を聞く日もそう遠くないかもしれないという予感があります。
 2009/03/24 18:04  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
神大MBA20周年
神戸大学MBAコースが20周年を迎え、記念イベントが20日に六甲大キャンパス思い出の102教室で開催されました。私が94年入学の第6期生になりますので、思えば歴史を積み重ねたものです。

 三品和広先生の進行のもと、前半が4名の教授陣からのやや堅めのこれまで20年の振り返りで、後半が修了生代表4名によるパネルディスカッションでやや柔らかめに振り返るという構成で進められました。

 前半の先生方は、加登豊先生、田村正紀先生、加護野忠男先生、石井淳蔵先生、谷正幸先生と錚々たる面々でした。加登先生、加護野先生、石井先生のお話は、いまでもお聞きする機会がたびたびあるのですが、田村先生、谷先生は現役時代以来のご講話でしたので、とても興奮しました。特に田村先生は、私が現役のときに同じ102教室で特別講演を一度聞いたきりでしたので、とても刺激的でした。

 神大経営学部のイノベーション精神と、自由闊達な環境の歴史的背景を再確認し、そんな風土の中で学問することができ、こうして同窓の仲間と集うことができている幸運を噛みしめたひとときでした。

 実は、後半のパネラー4人のうち一人は私だったのですが、コーディネーターが金井壽宏先生でしたので、いつものとおりパネラーよりもコーディネーターがかなりの時間を割いて自分の言いたいことを言って終わった(笑)感がありますが、これもとても楽しいひと時でした。

 懇親会でも、坂下昭宣先生への15年ぶりのエピソード披露など、様々なドラマが展開された一日でした。

 それぞれのコンテンツに言及すると、一回のブログのボリュームではとても語りつくせませんので、内容は全くありませんが、とりあえず報告レベルの内容をアップさせていただきました。

 中身については、追々ご紹介できればと思っています。
 2009/03/22 19:15  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
またも孫悟空
まったく別の文脈で、またも“孫悟空”が登場しました。“三国”志も中国ですが、孫悟空といい、やはり中国四千年の歴史の深さは恐るべしです。

 本部(MD)と店頭のスタッフとの関係性の議論の中での出来事です。ITの視点から見て、本部と店舗スタッフの間にどのようなグループウェアがあれば有効か、店頭スタッフにとって快適で、かつモチベーションが上がるシステムはどうかるべきかという趣旨で知恵を出し合う場でした。

 とやかく言われたくないし、行き過ぎた管理もされたくない店頭スタッフと、そうは言われても、店頭と店頭スタッフの状況を掌握したいし、管理したい本部側とで利害は対立しますが、どう両立させるかという議論の流れになりました。

 そこでIT企業の社長さんが、アパレル業界で長年のご経験がおありの元大手アパレルの役員さんから聞いた話として引用されたのが「孫悟空とお釈迦様の手のひら」でした。

 その方曰く、孫悟空=店頭スタッフは「筋斗雲(きんとうん)」に乗って、大空を駆け巡っていれば、それが一番の幸せ(主観的には)。でも、大きく引いて見てみると、孫悟空は所詮お釈迦様の手のひらの上で動き回っていただけ…。そういう店舗と本部との関係性がもっとも良いのだ、と。

 深いメタファーですね。夏目雅子さんや香取慎吾さんを通じてだけ「西遊記」を認識している私ですが、深く研究する価値を感じさせられました。

 2009/03/18 23:11  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
ビジネス三国志
本日、「ビジネス三国志」の発信元でいらっしゃる、石井淳蔵先生と議論する機会がありました。

 実務界で活動する者として、とても収まりのよいフレームワークであることと、自分のブログでも引用させていただいたことをお話したところ、ご自身のエッセイにも書いてみると言っていただきました。

 ただ、私達のような実務家がアバウトのイメージで論理立てしても許されるのと違って、アカデミックな世界ではエビデンスと立証が必要だなぁとのこと。

 科学的に精緻に立証することも重要ですが、私達のビジネスの場面では、概ね皆で合意と納得が得られたら前に進もうというケースの方が現実的です。

 概ね皆で合意というニュアンスと、実は本音レベルで???という事柄の区別をつけにくいのが、私達が属する実務界のある意味で限界と言う事もできますが…。

 いずれにしても、アパレル業界が少なくとも中範囲の理論のレベルでのイノベーションにさらされていることは間違いがありません。(中範囲の理論については、090121付けのバックナンバーをご参照下さい)

 石井先生とは、ちょっとしたプロジェクトをスタートアップさせようと画策中です。顛末につきましては、乞うご期待。
 2009/03/17 19:49  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
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プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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