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相対評価と絶対評価
私的メールのやり取りのなかで本ブログに対するレスを頂戴したのですが、是非皆さんと共有しておきたい示唆に富んでいましたので、この場で議論させていただくことにしました。

 090222の「続きがあったとは」に対するレスポンスです。レスポンス主は仕事と母親と妻を一所懸命に両立する努力をしておられる尊敬すべき女史です。以下、原文のままです。

 中・高校生のとき私がなりたかった職業は「小説家」でした。本を読むことが何より好きだったからです。でも、大学に入ってみたら、自分より本を読むことが好きな人がわんさかいて、世の中の作家は「人の心(海)を砕く斧でありたい」というような悲壮なまでの覚悟で物語を生み出していることを知り、自分にはそこまでの能力も覚悟もないことを悟りました。ラオコーンをべたべた触る前に、することありますよね、本当に!

私からは、次のように返信しておきました。

 40歳、50歳を過ぎてから作家になった方もたくさんいらっしゃいます。自分より凄い人がたくさんいるのは、世の中で当たり前のことです。小学校での絶対評価は見事に失敗いたしましたが、理性と経験を十分に兼ね備えた我々大人は自分のことを絶対評価しても、もう大丈夫です。

 さて、私が26歳くらいの頃に、職能資格制度の大御所でいらっしゃる楠田丘さんのセミナーを聴く機会がありました。彼は当時65歳くらいだったのですが、そこに居並ぶ人事関係の管理職(私のような若輩者は少数派でして、30代〜40代後半にかけての人事部長、課長クラスが聴きにきていました)に向かって放たれた言葉があります。

 自分は、還暦を過ぎて数年経ちますが、ようやく幼稚園に通い始めて、世の中のことが少しずつ見え始めたところです。見えると面白いもので、日々が勉強の毎日で楽しくて仕方ありません。自分が幼稚園生なのだから、ここに集まっている皆さんは、生物学的には卵子や精子の単細胞にもなっていない、世の中に出る前の卵のさらにその前の単細胞の、もっとその前の存在なのですよ。

 だから、毎日感じることや発見することに新鮮な喜びを感じるとともに、60歳にしてようやくこの世に生まれる未来に備えて、勉強し続けて下さい…と。

 私の人生における強烈な原体験は、いくつかあるのですが、これはその中でも三本指に入るものでした。




 2009/02/27 00:02  この記事のURL  /  コメント(2)  / トラックバック(0)
こころの時代
どうやら、「こころの時代」の到来は本物のようです。

「おくりびと」と「つみきのいえ」については、もはや説明の必要はありませんね。

 おくりびとに感銘した光岡自動車が発売した「おくりぐるま」。それぞれ漢字で書くと、送り人、積み木の家、送り車となります。

 ご存知のとおり、漢字は表意文字として世界的にも類稀な機能を有する東洋の利器ですが、ひらがなの方がイマジネーションが膨らむのは私だけでしょうか?

 多方面で、こころの時代の到来を耳にします。機能や合理性に辟易した私達人間が、ごくごく自然に原点に回帰しているのだと感じます。08年1月22日に「ルネサンスの予感」としてアップさせていただいた記事がありますが、流れとしては連続していると再確認いたしました。

 生産技術とITがある程度進化した結果、それなりの工業製品を世に送り出すことができるようになった我々ですが、はたして生活者たる人間が求めている本当の価値は何なんだろうかと真剣に考え直してみませんか?

 ルネサンスという現象は、人類の歴史において大なり小なり常に起こっている現象です。スパイラルアップという表現がありますが、それは渦巻状にグルグルと回りながらも上昇していることを指します。数学的に表現すると、Z軸は必ずプラスに進化しているけれども、その過程でX軸とY軸は同じ座標に戻ることが繰り返されるということです。

 阪神大震災のときに、前職の会社の社主が朝礼で次のようにコメントされました。こんなときにファッションが何の役に立つのだろうかと考えながらサンチカ(神戸の三ノ宮の地下街です)を歩いていると、ブティックのウィンドウをしげしげと眺めている作業着にリュック姿の若い女性に出くわしたときのことです。

 「よしっ。この女性たちに一刻も早く綺麗に着飾った日常を取り戻すことに邁進しよう。我々ファッション業界は、人々に元気を与えることに貢献できるではないかと強く確信した。」

 人々のこころに対して、どのような効能を提供することができているのか、できるのか。このことを考え続けることを心がけませんか?本来、立ち戻るべきX軸とY軸の座標はどこなのか…

 例えば、「あいしぃびぃ」「なちゅらるびゅうてぃ」「あんたいとる」とひらがなで自ブランドのIDを問い直してみることも、その出発点になるかもしれません。横文字や漢字では感知できない何かを発見できる可能性が広がります。

 人々は、間違いなくこころに響くものを期待しており、そこには経済合理性が関与する余地は極めて小さいと言えます。
 2009/02/26 00:04  この記事のURL  /  コメント(2)  / トラックバック(0)
30数年越しの真実
四谷の荒木町に、行きつけの焼き鳥屋がありまして。
本日(正確には昨夜)22時前に軽く食事をして帰ろうと、独りで立ち寄りまして。
その店は、「鶏ひで」と申しまして。
http://gourmet.yahoo.co.jp/0000684707/

そこで供された、「常連×たまたま入荷」の限定商品の串が一本ありまして。
それは、つなぎとかなんとかいうそうですが、大将にも名称は定かではなさそうでして。

でも、その味が30年以上前に家族でチャリを漕いでいった、岡山児島の大正園のホルモンと同じ味でして。

当時(昭和40年代後半ごろ)、それが一皿100円でして。
地方公務員の我が家では、赤味のお肉など注文できる筈もありませんで。
もっぱら、100円のホルモンで御飯を食べ放題状態でして。

その味が忘れないまま、年を重ね続けまして。
ちょっとは、赤味も食べられるようにもなりまして。
でも、焼肉屋に行っても、焼き豚屋に行っても、その味には、なかなか辿りつけませんでして。

でも、本日(昨夜)、ようやくそのなぞを解くことができたような気がいたしました。
その正体は、鶏の超レアアイテムであったのではと。

大将の説明によれば、心臓(ハツ)と肝(レバー)の間の微妙な部位であるとのこと。
微妙な部位と言えば聞こえがいいですが、要するに中途半端な、継続性のないアイテム。

できれば、一緒に食したい仲間がたくさんいるんだけどと懇願しても、再現性が乏しいのでご勘弁をとおっしゃる誠実な大将。

継続性と再現性を強調したロジカルシンキングの一日を終えた後の、コントラストの著しい出来事を、酔狂でアップさせていただきました。

別件でキャンセルしたRockyとカシミアンにエクスキューズするとともに、一日かけて真剣勝負にお付き合いいただいた、メディカル系コンサルティング企業の素晴らしい仲間達に、感謝!!
 2009/02/25 00:30  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
続きがあったとは
人類共通の財産を素手でベタベタと触って、おまけに警報装置まで鳴らしていたとは…

 今ではすっかり普通に定着した立ち飲み、立ち食い、ファーストフードですが、私の幼少期から中学時代までは、親からは「立ってものを食べてはいけません。」、学校からは「行き帰りに買い食いをしてはいけません。」と厳しく言われたものです。

 他人の家を訪問したときにも、親から「よそのお家のモノを勝手に触ってはいけませんよ。」と言われると、怖くて触れなかったものです。

 国会議員って、確か立法を司るのがミッションでしたよね。すなわち、わが国が立脚すべき基本的ルールを立案、施行するのが生業ですよね。

 国会議員を身分と勘違いされている議員はたくさんお見かけいたしますが、プロの職業人としての自覚、センス、知識、技術の全ての面で伴っておられる議員が、果たしてどれくらいいらっしゃるのでしょうか?

 「僕は自分を咬んだり刺したりするような本だけを読むべきだと思う。本とは僕らの内の氷結した海を砕く斧でなければならない。」このフランツ・カフカの言葉が私の書く本を正確に定義付けている、と特別な思いを披露された村の上座にいらっしゃる作家の言葉に胸を締めつけられませんか?

 「わが党を咬んだり刺したりするような言動は慎むべきだと思う。党幹部は僕らの内の氷結した海を守るゆりかごでなければならない。これが私達の行動を正確に定義付けている。」と、本音を明らかにしてもらえると、我々国民もより正しい判断を下すことができるはずです。

 次回衆院選では、マニュフェストもさることながら、自分の行動を正確に定義付けているパラダイムを明らかに示すことを義務化することを提案いたします。

 15年前、ニューヨークのウィークリーマンションで自炊した際に、ステーキを醤油で焼いてキッチンを煙だらけにして、火災報知機を鳴らしてしまったのは私ですが…
 2009/02/22 12:22  この記事のURL  /  コメント(2)  / トラックバック(0)
変えられるものと変えられないもの
tamk様からのコメントにレスしようと書き始めたら、とてもコメントへのレスではすまない情報量になったので本文として掲載させていただきます。

木曜金曜と卵たちと真剣勝負してきました。

 システムのプログラミングを生業としていらっしゃる大手企業の昨年4月入社のフレッシュマンです。モチベーションのコントロールに関する知見を学習するプログラムのところで、もっとも反応のあった行(くだり)は次の箇所です。

 我々の周りには、変えられないものと変えられるものがあって、変えられないもののせいにして自省を怠ったり、それを一所懸命変えようとして徒労に終わっているときにモチベーションは下がります。

 だから我々は、自分で変えられる目の前の小さな習慣から変えていくことでモチベーションをコントロールするのです。過去は変えられません。また、他人を変えるには、ちょっとだけ手間と時間がかかりますし、残念ながら 自分の力だけで結果を担保することはできません。自分×未来を変える努力にエネルギーを集中して下さい。

 おそらく、卵たちは会社や上司や先輩のせいにして、一方で自分ではどうしようもない壁に対するぶつかり稽古で体力を消耗し、擦り傷切り傷まみれになっていたのでしょう。

 また、「一ヶ月前に報告書を出し忘れたこと」「お客様に対してつい失言してしまったこと」などを変えられると解釈する方が何人かいらっしゃいました。忘れた書類は出し直せばよい、失言は撤回したり謝ればよいという理解からそのように認識したのだと思われます。それらの過去についても、モチベーションマネジメントの上では変えられないものと考えるということも、彼らにとっては新鮮な発見だったようです。

 私は、TVゲーム世代特有の「リセット文化」の弊害だと諭しました。仕事も人生も、一回チャラにして最初からやり直すことなんでできません。もう一回始めて、あそこにあったレアアイテムを今度はちゃんとゲットしようとしても、過去という道筋に立ち戻ることはできないのです。唯一できることは、自分の未来において自分の行動を変えることのみです。

 また、コミュニケーションの議論では、「コミュニケーションとは違いを認め合うこと」に大きく反応していました。地球人にとっての最大課題は、民族宗教の境と国境が一致していないことにあり、そのために政治と経済と市民生活との調和をとることが著しく困難になっているというたとえ話で説明したところ、うまくお腹に落ちたようです。

 思想心情、趣味嗜好の違いを認め合って、受容し合って、その上で議論すればよいのですが、残念ながら自国(というよりは、自国に帰属するある特定の団体の利害に過ぎない場合がほとんどですが…)の利害のみを主張しあうばかりで埒が明かないのが実態です。

 宇宙飛行士が初めて地球を宇宙から眺めて情緒的にもっとも感動することは、「地球は美しい」ということですが、理性的にもっとも感動することは、「国境という線は、地図の上にしかないんだ」ということだそうです。

 真ん中の川を漂っている人は、居酒屋チャーター便に4100万円も使うお金があるのだったら、それに相当するお金を自腹で払って一度宇宙から地球を眺めてみてはどうですか?私も同乗させていただいて、一連のレクチャーをやらせていただきますよ。旅費交通費はご請求いたしますが、講師フィーはサービスしておきますので。

ここからは、クラスでご一緒させていただいた皆さんへのメッセージです。

 皆さんと皆さんの会社を、外から宇宙から眺めると、上司だの部下だのの境も、仕事のできないやつだというレッテルも、過去にこんな失敗をしたということも、どこにも何もそんな線など見えはしません。

 会社は社会なので、世界に国境が必要なように様々な線引きは便宜上あります。でも、その前に皆さんは個性溢れる、可能性に満ちた美しい卵なのです。

 しょうもない壁にぶち当たって潰れることのないよう、また少々の壁ごときでは潰れないくらいの硬い卵であって欲しいです。そして卵から孵って成長された暁には、卵の行く手を阻むような壁ではなく、それを暖かく包み込むエンゼルハンドになれるよう頑張って下さい。

追伸 tamkさんからの数行のコメントが、仕事を片付けねばとPCに向かった私に、これだけの文章を書くきっかけとエネルギーを与えてくれました。これが、ストロークの力です。
 2009/02/21 10:12  この記事のURL  /  コメント(3)  / トラックバック(0)
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プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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