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職養道のすすめ
「嘘はついても、人は騙すな。」をアップさせていただいたのは9月7日でした。

 今回は、その際に引用した佐藤六龍さん著の「江戸秘伝 職養道のすすめ」をオススメ本としてご案内させていただきます。

 “職養道”とは、江戸時代に年季が明けて独立していく職人達に、師や親方が授けた職業上の心得を集大成したものです。医師や髪結い、鍼灸師、易者、建築関係の職人などの業種の人々の間で口伝(くでん)という形で伝えられたそうです。書き物(マニュアル)としては残されなかったので、明治時代以降はいつのまにか忘れ去られ、易者の間に伝承された“職養道”だけが現代まで細々と伝えられてきました。

ここでは、その全二十条を引用させていただきます。

第一条  同業者の悪口は言うなかれ
第二条  一切の弁解はするなかれ
第三条  思いやりは全身全霊で見せろ
第四条  芝居はするべし、するべからず
第五条  嘘はついてもだますなかれ
第六条  仏壇を見よ
第七条  後の心配りを忘れるなかれ
第八条  値は自分でつけよ
第九条  笑顔は売り物と心得よ
第十条  恩は売り買いするものにあらず
第十一条 金は貸すな、与えろ
第十二条 妖気ある人物とつきあえ
第十三条 金は後からついてくる
第十四条 地元の人に可愛がられるべし
第十五条 仕事の成否は段取り次第
第十六条 天にかなう陽気を心がけよ
第十七条 言葉は身のすべてを表す
第十八条 勤勉だけでは数字はあがらない
第十九条 明日を思うな、今を生きろ
第二十条 客を集めてこそ職養である

 これらは心得に過ぎませんので、実際の行動様式や思考のパターンとしてビジネスの場面で具現化できないと意味がありません。

 人事でコンピテンシーを浮き彫りにしていくアセスメントでは、「自分は常日頃から、こんな信条を大事にして仕事に臨んでいます」では何の評価対象にもなりません。「最初にこうして、次にこう考えて、最後にこのように実行した」という実際の行動や思考のプロセスやパターンが見えてこないとコンピテンシーとしては認められないのです。

 コンサルタントという仕事は、易者業と相通じるところがとても多いので、私はこれらの職養道を常に気にかけて活動しています。アパレル業界の様々な職種の皆さん方も、対人影響力が関係ないといえる業務はほとんどない筈です。

上記二十条の職養道を、コンピテンシーとして体現することに心がけたいものです。

 2008/11/29 08:32  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
スーツは災いの元
ファッション業界でコンサルティング業務を行う際にスーツを着ることは、まずありませんが、研修の講師を務めるときには基本的にネクタイ着用で臨んでいます。

 当然、研修の先方ご担当者との講師顔合わせ時もネクタイスーツで対応しますが、その前後にファッション業界でのコンサルティングが入ることもままあります。

 服飾雑貨の中堅企業にて、「あれっ、北村さん、スーツにネクタイって珍しいですね。」と声をかけられて、思わず「今日は、ちゃんとした会社に行って来たものですから…。」と口走ってしまいました。

 クライアントの反応は、勿論「…。(ウチは、ちゃんとした会社じゃないってこと???)」空気の修復に多大なエネルギーを擁したことは、ご想像のとおりです。

別の日の出来事。

 同じように、ネクタイスーツの必要な場面の後に訪問した、カジュアルシューズのベンチャー企業での一コマ。
 
 流石に、ネクタイは外してオフィスをお訪ねしたのですが、その日のイベントは求人に応募された方の面接のサポート。米国系ブランドビジネスでの営業経験者でいらっしゃるその方は、ビシビシのスーツネクタイ姿でした。

 開口一番、社長からは、「ウチはナチュラル系のカジュアルテイストなので、基本的にスーツはご法度なので…。」こちら側に座っている私としては、汗がタラーッ…。」

 その社長は、バングラデシュの方で日本で頑張っておられるのですが、下手な日本人よりよっぽど日本人らしい経営者なので、波長が合うとともに応援エネルギー充填度120%でサポートさせていただいています。

 毎朝朝礼では、全社員で社訓を唱和します。始業前に社員で社内の清掃を行います。創立記念日には、業務扱いで全社員で懇親のイベントを開催します。社長自ら、全社員のMBO(目標管理)を行っておられます。夜は、ビールと焼鳥でトコトンいきます。

 野中郁次郎先生が、日経ビジネスで発言されています。「これまでの米国流の“経営はサイエンスだ”という定量化、分析指向の形式知をベースにしたアプローチの限界が明らかになり、高質な暗黙知に基づく“しなやかな経営”が求められている。」と。

 ロジックやデジタルも、一時代が終わったということでしょうか?そうなると、アパレルを科学するというテーマでは書きにくくなってしまいますね。
 
 私が業界に入門した1984年の新入社員研修は、マラソンと正座と徹夜と号泣に明け暮れる数日間でした。

確実に時代の歯車が変わり(戻り)かけています。


 2008/11/21 23:51  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
最新三種の神器
昭和の三種の神器は「テレビ」「冷蔵庫」「洗濯機」でした。

 平成の三種の神器は「デジカメ」「パソコン」「薄型テレビ」ですが、景気の波をもろにかぶって、デジカメと薄型テレビは大失速、パソコンは5万円パソコンの登場で市場が荒れています。

 日本の経営における三種の神器はアベグレンが言った「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」でした。実は、アベグレンは“パーマネント・コミットメント”と言ったのですが、経営学者は文学専攻ではないので、それを“永久の誓い”ではなく“終身雇用”と訳したのです。そのことが戦後のわが国の労務に与えた影響は小さくないのですが、本日の議論の趣旨ではないので、割愛いたします。

 慶應義塾大学名誉教授の村田昭治先生が日経ビジネスで次のような発言をされています。戦後日本を悪くしたものに「能率」「マニュアル」「標準化」の三種の神器があり、個性のない店と商品すなわちコモディティ化をもたらし、そこで働く人間をもコモディティ化してしまったことが消費者離れを引き起こしてしまった、と。

 同質化、形骸化する一方のSPAビジネスに対する警鐘的論考を某誌に寄稿させていただく際に村田先生の議論を引用させていただいたのですが、コモディティ化といえば聞こえはいいですが、言い換えれば“痴呆化”と言うこともできるのではないでしょうか?

 マンガばかり読んでホテルのバーを飲み歩いていると、“頻繁”を“はんざつ”に、“未曾有”が“みぞうゆう”に、“有無”が“ゆうむ”に、“踏襲”“ふしゅう”に、“詳細”が“ようさい”なってしまうようです。きっと頭の中がコモディティ化してしまっているのでしょう。

 票を入れてくれる有権者のことばかりが気になっているので、“有”という字は“ゆう”としか読めなくなってしまったのでしょう。ご先祖様の資産と既得権を踏襲しただけの人なので、国民のことは踏みにじっても、そんなの関係ねぇーと思っているから“踏”は“ふ”に、さらには国民はただの子羊だと思っているので“詳”が“よう”としか読めないのでしょう。

 一国の宰相を痴呆化させたのは、「生まれ」「育ち」「大きな勘違い」の三種の神器と考えられますが、アパレル業界を痴呆化させているのは、まさに「能率」「マニュアル」「標準化」の三種の神器ではないでしょうか?

 卸全盛期の諸先輩方は、“辛子明太子”を“さちこのめんたいこ”、“バブル”を“ばるぶ”、“手さばき”を“てばさき”、“マニュアル”を“あにまる”、“カリスマ”のことを“かります”と発音されていました。

 その時代からは飛躍的に進化したはずのSPAなのに…。脱“痴呆化”が強く求められています。

 2008/11/16 12:10  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
不正競争防止法
先日、とあるB2Bサイトの議論しているときに、不正競争防止法が話題になりました。この法律には、前職の法務部時代に大変お世話になったものです。あまり知らない方も多いと思いますので、ご説明いたします。

 発明やブランド名は特許庁に登録することで専用使用権と差止請求権権と損害賠償請求権が発生することはご承知のとおりです。 ところが、ビジネスの世界にはそのような登録によっては法的保護が得られないものがたくさんあります。

 会社の商号や物販の店舗の名称(旅行代理店や保険屋はサービスマークとして商標に順ずる扱いになっています)などがその代表例です。世間を賑わしている著作権は、著作と同時に権利が発生すると規定されていますので、特に登録の必要はありません。余談ですが、わざわざ文化庁に著作権を登録していたTK氏の行為には強い故意を感じざるを得ません。
彼のように世の中には“ずる”をしてでも金を稼いでやろうとする輩が絶えることがないのが残念ながら現実です。

 他人の知名度や周知性にタダ乗りする事例もまたしかりです。特別に登録などの手続で保護されないそれらを守ってくれるのが不正競争防止法なのです。

 前職の社名○○に便乗して、○○直販とか○○インナーという会社は神戸の○○の関係会社と称して訪問販売を行っていました。悪意はないのですが、混同誤認を招くとしてゴルフプラザ○○や○○エステティックとも係争を起こしました。もっとも有名な事案は最高裁まで争ったローンズ○○事件です。

 ブレーンストーミングの際には、他人のアイディアや意見にタダ乗りすることは大いに歓迎ですが、ビジネスの競争の世界でそれはご法度なのです。ちなみに、得意先リストや独自のノウハウなどの営業秘密も不正競争防止法で保護されています。

 大学時代に住宅地図大手でバイトをしたときのこと。一軒一軒訪ね歩いて所番地と表札を確認して住宅地図を修正していく作業です。表札がない場合にはピンポンして、お名前を確認するという手順になっていました。ところが、用件を伝えても出てきてくれない人もたくさんいます。その際に支店長から伝授されたノウハウがあります。「市役所の方から来ました」と言えと。そうするとかなりの確率でドアを開けてもらうことができました。そうです、その会社の岡山支店は確かに市役所に隣接したところに事務所があって、決して嘘はついていないのです。

 嘘はつかないが、人を騙しかねないマネーの世界に辟易したお話しは以前いたしました。やっぱり、嘘はついても人は騙すなの“職養道”でいきたいものですね。
 2008/11/06 23:38  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
遼君おめでとう
内勤業務にいそしむ傍ら、気になって仕方なかったので、TVの画面をonにして石川遼と深堀圭一郎の一騎打ちを追いかけていました。

 15Hでグリーン奥の逆目のラフからの天使のようなロブショットでピンそば10cmで私の目は点になりました。さらに最終Hの水きりショットで目がなくなるくらい思いっきり小さな点になり、彼は見事プロ転向後初優勝を遂げたのでした。

 スウィングやプレーの内容を見ていると格段の成長の後を感じさせられますが、インタビューで実は最終Hのティーアップの時には腕が震えていたと。そうなんだ…

 スコアカード提出のときに、深堀さんが「実力で勝ったんだから」と遼君の腕を軽く叩いて…。 石川は深堀の紳士的な言動を心から尊敬しているそうで、技術もさることながら心の成長が彼を優勝に導いたんだろうなと考えたりしながら、今朝の妻の一言が重くのしかかってきました。

 何気ない日常会話を交わしているつもりなのに、「最近、愚痴っぽくなって、ひがみっぽくなって…」という趣旨の切り替えしをくらったのです。

 ようやく45歳になられた渡辺淳一さん(彼は還暦以降、誕生日ごとに1歳ずつ引いていっているそうです)が週刊誌に次のように記しておられました。「齢をとれば人間の幅や奥行きがでてくるものだと思われているが、実際に体験してみると、むしろこらえ性がなくなり、身勝手になるだけだと。」

 むむむ、精神的修練の吸収力も17歳の若者には勝てないのか…。いやいやそんなことはないはず。頑張って、仕事しよ。

 世間的には三連休に、全日程仕事となってしまった段取り悪い男の戯言でした。
 2008/11/02 16:27  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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