« 2008年09月 | Main | 2008年11月 »
H&M
アカデミックな世界で活躍されておられる方々以外で固有名詞を出すのは初めてです。

 H&Mは、業界仲間からの評判は最悪ですが、一般消費者の反応はまだ判断を下すには微妙なところという印象ですね。

 私自身が銀座店を見て感じた第一印象は、「日本人をなめてんのか???」というものでした。何の創意も感じられない店頭アトモスフィー、どこに居るのかも分からない店内スタッフ、どんなストーリーを主張しているのか意味不明なディスプレイ…。オイオイという感じでした。
来月にはヤング向けブランドを擁しての原宿出店ですが、お手並み拝見というところですね。

 十数年前、最初に見た米国でのギャップやバナリパには衝撃を受けましたが、その後次々と上陸してきたご本家やZARAにはがっかりさせられました。異国地でのテンションの中で見るそれらと、我が国で受け止めるそれらの違いは、商品そのものが有する絶対的価値だけでは語ることのできないファッションの奥深さ、すなわち関係性とスクリプトに基づいてこそ初めて意味を有する文化がファッションなのだと感じさせられますね。

 まっしぐらにインダストリーに走っている昨今のSPAビジネスモデルですが、文化としての存在意義を忘れたところには、たとえ短期的金銭的利益はあったとしても、中長期的な文化的な成功はないのでしょうね。

 とはいえ、文化では飯を喰えない現実とどこまで闘うことができるか。生き様が問われてますね。
 2008/10/29 00:22  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
景気動向とファッション
社会人になってようやく住宅ローンが組めるようになったとたんにバブルが崩壊。愚息達に費用のかかる最後の数年を控えて今のありさま。生まれたときから家にテレビと洗濯機と冷蔵庫はあったとはいえ、ほとほと昭和36年生まれは景気動向には縁がない世代と見えます。

 さて、経済の世界では、景気動向指数に先行するものと一致するもの、遅行する指標が定義され観察されています。

 機関や自治体によって若干の違いはありますが、概ね下記のとおりです。

先行指標:新規求人数 (企業倒産件数) 自動車新規登録台数、新設住宅着工戸数 鉱工業在庫指数 銀行貸出平均残高など

一致指標:鉱工業生産指数 大口電力使用量 輸入通関実績 有効求人倍率 建築着工床面積 大型小売店販売額 所定外労働時間指数など

遅行指標:(雇用保険受給者実人員) 常用雇用指数 法人事業税調定額 貸出約定平均金利 家計消費支出 消費者物価指数など ()は逆相関する指標です。

 一喜一憂させられる大型小売店販売額はまさに一致指標なので、皆さんが毎日見て感じておられるとおりです。

 我々の業界のブランドやショップの業績は商品企画の良し悪しと在庫コントロールの巧拙が絡んできますので純粋な指標にはならない場合も多いですが、一時期前年割れで大苦戦していたコモディティファッションが機能性を訴求した分かりやすい単品のヒットで盛り返してきたのは07AWあたりからでしたね。

 一方で、大型高級車をはじめとする自動車販売が一気に落ち込みましたが、ブレミアムブランドの勢いが徐々にそがれていくとすれば、それは少し遅行して動いていることになりますね。

 逆に帽子やストールなどの服飾雑貨はいい動きをしていますし、価格帯は少し下がったようですがブーツに対する需要意欲は相変わらず旺盛なようです。

 それらを見ていると、ビジネスで直面する現象には、先行、一致、遅行、逆相関するものと全く影響を受けることがないものの五つがあるということになります。先行指標から今やるべきことを掴み取る。逆相関するものを旨く利用する。遅行するものを諸手を挙げて待ち受けるなど、MDにはそういう技術が必要とされます。

 また、ファッショントレンドはそれを構成する諸要素固有の複数のサインカーブの合成変数であるという理論があります。(これについては、別途時間をかけてご紹介していきます)

 このような変数を操作することがMDだと考えると、感性に依存するクリエイティブな仕事というよりはメカニズムを理解してそれを操作するエンジニアリングという言葉こそMDの本質を言い表しているのではないでしょうか?


 2008/10/28 08:17  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
ファッション業界のマクロとミクロ
原油の投機的高騰に始まり世界同時金融危機かと言われる昨今、ファッション業界に関わりの深いマクロ動向も悲観的な情報で溢れかえっています。

 川上に目を向けると原材料の価格上昇や生産国での賃金上昇、片や川下を見ると15ヶ月連続で減少を続ける百貨店や水面上に頭を出したり潜ったりを繰り返しているSCの動向etc.と抗しきれないマクロ現象が起こっているのは事実です。

 こんな外部環境や景気動向だと、手の打ちようがないとお嘆きの貴兄、
アパレル業界上位10社の売上を合算しても業界全体のシェアの10%にも満たない構造であることを考えてみて下さい。

 小規模多数乱立型が我々アパレル業界の大きな特徴です。ビールや車の業界のように少数寡占型の業界とは構造そのものが異なるのです。

 小規模多数乱立型の業界においては、マクロ動向の影響力もさることながら、それぞれのプレーヤーがどのフィールドで何を目指して何をするのか、ミクロな動きに大きな可能性が見出せる特長があるのです。

 こんな時代背景だからこそ、ファッション業界には他業界にはないチャンスの芽があると考えてみませんか?

次回は、景気動向指数のお話を引用してもう少し議論を深めてみたいと思います。

 2008/10/19 18:19  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
コーティング
ジュエリー業界に新風を巻き起こそうと頑張っておられるイノベーターの方と議論する機会がありました。

 彼は、ジュエリー業界にはまずいないとご本人がおっしゃられる都の西北卒でして、その後、半導体の商社をご経験されて、その後有名なコンサルティングファームを経られて、今に至っておられるそうです。

 経歴もジュエリー業界には稀な方でいらっしゃると容易に想像はつくのですが、深くお話ししてみて、さらに稀な方であることがわかりました。

 アパレル業界とどう接点をもっていけばいいかと言う趣旨の議論だったのですが、実はその彼が、ファッションの妙というか、アパレルのツボの部分を表現こそ違えど、見事に押さえておられる点に感動させられました。

 彼曰く、いわゆるMDという概念とアプローチは存在しないジュエリー業界だそうですがそんな中で、MDを組み立てた上での商品開発を目論んでおられるのです。

 また、昨今のカジュアル化の流れの中で、品を落とさないカジュアル化が求められているんだよねとも。

 さらに彼が発した一言がとても印象に残ったので、思わずPCに向かいました。

 「その人がこだわっている何か、たとえばエコだったり遊び心だったり、それを読み取ってあげて、その人の品を落とさないでそれらの要素でそっとコーティングしてあげる、そんなジュエリーを開発したいんだ。」と。

 コーティングとは車やフロアーや壁の世界に強烈にひもついた言葉という印象があり、コートは、羽織るコートという意味でしか使わない我々ですが、彼の表現、かなりイケてないですか?

 少なくとも私は、とても新鮮なボキャブラリーをゲットしたと大いにテンションが上がったのでした。
 2008/10/14 22:49  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
フェルミ推定
ロジカルシンキングの研修時にフェルミ推定の話しをすると、皆さんの反応が異常なまでによいことに驚かされます。

 私がフェルミ推定に出会ったのは今から9年ほど前のこと。当時、人事関係のプロジェクトでお世話になっていた外資系コンサルティングファームの方から教わりました。

 コンサルティングファームでは面接時にフェルミ推定に関わる質問をすることで、当該人物の地頭の良し悪しを判定するのだと。転じて、当時流行り始めていた人事政策としてのアセスメントにおいても、地頭の良さがわかってしまうものだと。

 フェルミ推定のオリジンは「シカゴにピアノの調律師は何人いるか?」。派生系として、「日本に電信柱は何本あるか?」、「長野県に蕎麦屋は何軒あるか?」等々。面接ではいきなり出された質問に対して数分で応えるというもの。

 感化された私は、当時の社内公募の面接で、「世界中で一日にトイレットペーパーは何m消費されるか?」という問いを出してみましたが、反応は芳しくなく、それ以来言及することはほとんどありませんでした。

 私のロジシンの師匠から教えられた究極のフェルミ推定は、エキスポランドで起こってしまった痛ましい遊具崩壊による転落事故のロジック。車軸の半径を推定して、風塵雷神Uの軌道の長さを推定して、次は、一日当たりの稼動回数、年間あたりの稼動日数を次々に推定すると、開園以来6.5×10の8乗は車軸が回転していることになるそうです。

 実は、車軸破断の原因となる金属疲労は10の7乗の世界で発生することは金属工学の世界では常識らしく、10が一桁異なる非常識の世界に突入しても何も手を打つことがなかったド素人集団だったというオチです。100万回使うと危なくなるものを1000万回使っていたというわけです。100万回のところを200万回使ってしまったということとは、訳が違います。

 地頭の良し悪しもさることながら、我々ビジネスマンにとってはフェルミ推定のようなアプローチは様々な場面で威力を発揮します。

 限られた知識と情報の中から結果や未来を推定する。もしくは、得られた情報を基に未知の情報を推定する。事後的に訓練可能なアプローチですので、皆さんも是非トライしてみてください。
 2008/10/13 18:18  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)
| 次へ
プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

北村禎宏 プロフィール
リンク集
カテゴリアーカイブ
最新記事
2008年10月
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
月別アーカイブ
最新コメント
Sayo
ファッションのコモディティ化 (2015年12月11日)
冨田さより
すごい学生がいたもんだ (2015年08月09日)
しの
日本人の忘れもの (2013年02月11日)
nobu
やっぱやられた (2012年10月24日)
北村禎宏
ダイバーシティにて (2012年05月24日)
最新トラックバック

http://apalog.com/kitamura/index1_0.rdf
更新順ブログ一覧
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード